“闘うゴス”山岡重行(社会心理学者/AUTO-MOD)の人生と音楽 【Premium Playlist】


80年代から革新的なパフォーマンスで注目を集め、日本のロック史において極めてユニークで伝説的な存在として知られるAUTO-MOD。フロントマン・GENET(ジュネ)の弟であり、メンバーの一人でもある山岡重行氏は、ユニークネスを研究する社会心理学者だ。自身の文化体験からオタクや腐女子といったマイノリティーの心理を明らかにする氏の生き様を、プレイリストとして紹介してもらった。

自分の価値は自分で決めれば良い。仕事も音楽も、何だって好きなようにやれば良いのだよ!


─AUTO–MODでの活動、心理学者としてどんな分野を研究しているのかなど、山岡先生の簡単なプロフィールから伺えますか。

山岡:専任教員として、99年から聖徳大学に勤務しています。社会心理学からパーソナリティ心理学の領域を専門に研究していますが、臨床心理士の資格も持っています。昨年までは明治大学の情報コミュニケーション学部で、前期はヒーロー、オタク系サブカルチャーについて、後期はロックを中心とした若者音楽から若者文化、若者のパフォーマンスをテーマにしたゼミを15年ほどやっていました。このヒーローゼミとロックンロールゼミが非常に好評だったので、今はそれを本にしようと思っています。興味のある出版社の方がいれば、是非ご連絡を(笑)。

子供の頃から心理学に興味があり、それと並行して、特撮、SF、ホラー系も好きでした。音楽に関しては10歳ぐらいでロックを好きになったのですが、4歳上の兄(GENET/AUTO-MOD)がバンドをやっていた影響は大きかったですね。兄が東京でバンドを始め、そのライブを観に行くようになり、高校生ぐらいからライブハウスに出入りするようになりました。77年頃の話です。

自分の価値は自分で決めれば良い。仕事も音楽も、何だって好きなようにやれば良いのだよ!	(1)

(AUTO-MOD・GENET氏と山岡氏)

高校3年生の夏休みの1ヵ月間、東京の塾に通うために兄貴のアパートに居候したんです。昼は予備校に行って、ライブのある日は夜、ライブハウスに行っていました。その年の夏、今はマリオンが建っている場所にあった日劇で『ゴジラ大全集』というイベントをやっていて、『キングコング対ゴジラ』『怪獣大戦争』『ゴジラ対メカゴジラ』の3本を毎日上映して、最後にその日だけのスペシャルな東宝特撮映画を上映するというイベントがありました。ライブに行かない日は、そっちに行っていました。そんな生活でよく大学に受かったもんです(笑)。大学入学後も、新宿のロフト、渋谷の屋根裏によく行きました。

─その頃のエピソードを先生の同級生の方がブログに書いてあるのを拝見しました。ミッション系の大学のキャンパスに異様に黒ずくめの人がいて……という。

山岡:あぁ。ちなみにあのブログだと私のことをGENETと父親が違う義理の弟と書いてあるんですが、本当の兄弟です。まぁその方がドラマチックな感じがするのかもしれませんが(笑)、私が祖母の姉の家を継ぐために養子に行ったことで18歳から名字が変わっているので、勘違いしたんだと思います。

その頃からAUTO-MODのステージにも上がるようになったんです。最初は81年ぐらいだったかな。屋根裏の昼、ルースターズが初めて東京に出てきた頃のライブで、対バンがAUTO-MODだったんですが、ジュネから「風邪引いて声が出ないから」と前の晩に電話が掛かってきて、ツインボーカルでやりました。それが私のステージデビューです。その後、メンバーがリザードに持っていかれる事件があったり、ジュネもステージで「AUTO-MODは辞める」と言ったり……。メンバーが足りないこともあって、リズムボックスとベースシーケンサーをくっつけて、それプラス、ギターで変則的にやろうと。リズムボックスなどの機械のオペレーションは「お前がやれ」みたいな感じで私が担当しました。

─先生の活動は、助っ人的な感じだったのですか?

山岡:そうですね。まぁ、半ば無理矢理な感じでしたけど(笑)、自分自身も楽しんでオールマイティープレイヤーとして動いていました。その後、やはりベースは必要ということで、パーソンズの渡邉貢が入って来ました。それで約1年、シングルは2枚ぐらい出したかな。

当時、しょっちゅうツバキハウスに遊びに行っていたんですね。早めに入ると、1500円ぐらいで朝まで飲み放題、食い放題で遊んでいられたから、金がない奴らはみんなそこに集まっていて。ある時、そこで布袋寅泰と高橋まことに会ったんです。その前にも原宿のライブハウス・クロコダイルで一度共演していて、サックスやキーボードなど、まだBO∅WYが7人いた時代ですけど、「この前やったよね」なんて話から好きな音楽の話で意気投合して、今度セッションをやろうと。その後ロフトでオールナイトのイベントをやったときに、ベースは渡邉貢で、布袋と高橋まことが加わって。そしたら結構いいじゃないかと、布袋はその頃BO∅WYとペッツというバンドでもやっていたから、掛け持ちで。それで1年間活動していました。私は前の年までリズムオペレーションをしていましたが、布袋たちが入った後はサイドボーカル、コーラスをやることになりました。そして、『時の葬列』というシリーズギグをやり始め、『時の葬列』(84年)というオムニバスアルバムを出しました。タイトル曲「時の葬列」のギターは布袋寅泰で、最初にドイツ語のセリフが入っていますが、それは私です。
 


ファースト・アルバム『レクイエム』でもコーラスをやっていたり、ライブの時は機材を運んだり、最近はグッズのプロデュースをしたり……そんな具合でちょこちょこAUTO-MODに参加しながら、ずっと東京のインディーズシーンで遊んでいます。

自分の価値は自分で決めれば良い。仕事も音楽も、何だって好きなようにやれば良いのだよ!	(2)

(7月1日に開催された「東京ダークキャッスル」にてAUTO-MODのライブを見守る山岡氏)

自分の価値は自分で決めれば良い。仕事も音楽も、何だって好きなようにやれば良いのだよ!	(3)

─そうした活動と並行して、大学院に進学されたと。社会心理学を研究しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

山岡:子供の頃は、ウルトラシリーズや仮面ライダーに周りの子供たちも騒いでいたのでそうでもなかったのですが、中学になるとアイドル全盛期になり、自分はまったく興味を持てなかったので、“自分の好きなものが他人とあまりかぶらない”ということに気がつき始めました。それが決定的になったのは、大学ですね。

─時はバブル前夜ですよね……。

山岡:陸サーファーとか、なんとなくクリスタルな時代です。オールナイトフジで女子大生がチヤホヤされたり、おにゃん子も全盛期で、そういう文化に熱狂している人たちと自分は随分違うなと日々感じている中で社会心理学を学び、これは面白いと思うようになりました。そもそもは、中学生の頃に「精神分析で人の心が読めるとか、本人にも分からない無意識を解明するのはカッコ良いんじゃないか」と思っていました。ただ、実際に心理学会に入ってみると、精神分析なんて科学じゃないというか、今となっては昔そういうのもありましたね~というレベルでしょうか。

─フロイトやユングの精神分析のことですよね?

山岡:そうです。科学的に実証できないので、今は否定されています。とは言え、推理小説やSF、特撮のプロットにも精神分析が使われていたりしましたので、自分の興味としてはそこら辺から入った部分はあります。大学3年生の時に、指導教授が『ユニークネス』というアメリカの心理学者が書いた本を紹介してくれて、夢中になりました。当時3年生で、卒論のテーマにして、それ以来ずっとやっています。基本的に人と同じじゃつまらない、面白くない。人が面白いと思っているものに、自分が面白いと思えないことが多い。私が面白いことをやろうとすると、人と違うことになっていく……。こうしたことを、論理的に証明したいと思いました。自分のことをやっているのかと言われれば、その通りなんですけど。自分の体験だけだと主観でしかないので、客観的にデータを取って研究をしていくのは面白かったですね。

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闘う心理学者!

─では、もう35年ほどユニークネスの研究をされているわけですね。社会心理学者として、確信されていることを教えてください。

山岡:確信しているのは、人は自分勝手をするのが一番気持ち良いのですが、“自分たちとは違う自分勝手をやる奴らを否定する”ということです。ユニークな少数派の意識の研究から、奴らは我々とは違うという、多数派が少数派をどう見るかという意識の研究になっていったのです。少数派に対する差別というような視点から研究するうちに、血液型性格の研究も始めました。きっかけは授業でウケが良かったからですが、こういう調査結果やデータが無いな、じゃあ自分で取れば良いじゃん、ということで始めたのが99年。いまだに断続的にデータを取っていて、血液型性格に関して、世界で一番まともなデータを持っているのは私だと思います。他の人がとった大量のデータを血液型で分析したものはありますが、血液型性格肯定派がA型はこうでB型はこうだという項目を使って調査したり、あるいはなぜ血液型を信じるのか、血液型性格のためにどんな不快な思いをしているのか、そういうデータを持っているのは世界で私だけだと思います。調べているとB型、AB型が差別されているのが明らかになり、そこに少数派差別という観点が生まれ、俄然面白くなりました。私のテーマに繋がっているんです。

体の特徴で誰かを否定的に扱うのは差別ですよね。血液型も自分では選べないし、変えられない体の特徴です。その体の特徴で、ましてや少数派のBやABをネガティブに扱っているわけです。「B型はこうだから」と言われて、不快に思って抗議したとしても「何マジになってんの? 遊びじゃない! こんなの本気で信じている訳ねーじゃん!」みたいなところに逃げるんです。「みんなで楽しく話をしているのに、マジで反論する奴ダメじゃん。空気読めよ!」みたいな形で口を塞ぐんです。血液型性格にはそういう卑怯な構図があります。

異質な奴がいると、自分たちが正しいという意識が脅かされるんです。自分と同じ人がたくさんいる、他者との合意が自分の正しさの証明になると考えるところがあるため、人が賛成してくれると正しいと思う。人間だれもがそういうところがあります。私自身の話で言えば、大学院に入り、学界デビューをすると、その当時長髪にピアスをして学会に行くような男性はいなかったので、「何かスゴイのが来たぞ」といった反応がありました。大学院時代は当時の助手からいわゆるアカデミックハラスメントを受けました。異質なものへの否定です。ただ、学会の重鎮たちには面白い研究をやっていると認められました。

オタクや腐女子についても研究しています。オタクに関しては昔ほど否定されなくなりましたが、腐女子は未だに否定的イメージが強い少数派なのです。昨年『腐女子の心理学』という本を出しました。ただ、この本を出してから社会学の連中から攻撃されるようになりました。この攻撃は根拠のある批判というよりも感情的な反発みたいなものなので、痛くもかゆくもないのですけどね。どうも社会学では腐女子は男性社会と闘うフェミニズム戦士で、オタク男は男尊女卑の抑圧者とされているらしいのです。これは今年のいくつかの心理学会で発表するのですが、私の調査結果では腐女子とオタク男に社会学者が言い張るようなジェンダー意識の違いなんてないのです。社会学者の主張は根拠がないだけではなく、オタク男を差別するものです。さらに男性と恋愛したいという腐女子の欲求を否定し、腐女子さえも抑圧するものなのです。血液型と性格、腐女子とフェミニズム、あるいは宗教とテロリズム、人種と優劣のように関係がないものをあると言い張る人たちが少数派を差別するのです。私は、自分たちだけが正しいと思い込み、ないものをあると言い張り少数派を差別する連中と、今も研究を通じて闘っているのです。

─色々と興味深い研究をされていらっしゃるので是非もっと伺いたいのですが、そろそろプレイリストに……(笑)。

山岡:そうでした。今回のプレイリストは、研究=闘いに出るときにテンションを上げる意味で聴くものを選んでみました。

 

大黒摩季「Anything Goes!」


『仮面ライダー オーズ』の主題歌ですが、『オーズ』は音楽が基本スカで統一されているので、その点でも非常に面白いです。子供の頃から仮面ライダーが好きで、平成になっても見ています。平成ライダーで言うと、クウガは非常にレベルの高い作品だと思います。響鬼もレベル高いです。W、オーズ、フォーゼも楽しくて好きです。フォーゼのメインライターの中島かずきさんは大学の同じゼミの先輩ですし。

話を「Anything Goes!」に戻すと、何より歌詞が良いんです。「自分の価値は自分で決めるものさ」とか「外側にステータスを求めないで、内に秘める自信が大事」「その背を比べ並んだって意味なくない? 一抜けしよう」「大丈夫。みんなと違ってもいい 別々それぞれだからそう、奇跡的!」「Anything Goes! その心が求めるものに正直になればなるほど Life goes on! 加速ついて止められなくて負ける気しないはず!」となるんです。

違ってもいいんだよ、負けないよ、というのがユニークネスと繋がりますし、多様性を求めている。同じ基準で比べて他の人から四の五の言われたって、自分の価値は自分で決めればいいんだから、好きなようにやれば良いんだよ。そういうメッセージですね。よし、今日もアカハラ、パワハラなんかに負けずに頑張ろう! と思える一曲です。

Anything Goes!
大黒摩季

伊福部昭「宇宙大戦争/「宇宙大戦争」/ヤシオリ作戦」

朝の出勤時、出撃感を出すには伊福部マーチです。子供の頃から好きで、伊福部マーチがかかると条件反射的に精神が高揚します。その中で『宇宙大戦争』を選んだわけですが、『宇宙大戦争』という映画のクライマックスで流れる曲です。シンゴジラのクライマックスでも使われていますね。もうちょいテンポを落とすと、ゴジラ映画の『怪獣大戦争』のメインテーマになります。

宇宙大戦争/「宇宙大戦争」/ヤシオリ作戦
鷺巣詩郎 伊福部昭

グスタフ・マーラー「交響曲5番 第4楽章アダージェット」

これは逆に寝る時に良く聴きます。映画『ベニスに死す』のオープニング、エンディング、クライマックスでも効果的に使われた曲ですが、美少年に心を奪われた老音楽家の心の葛藤と死を描いた映画ですので、私の腐女子研究と関連づけることができます。むせ返るようなロマンティシズムと言いますか、腐女子のみなさんがBLに感じている魅力はそういうところなのかな……とも思いますね。

SYMPHONY No.5 IV- Adagietto. Sehr langsam
エリアフ・インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団

JAPAN「Nightporter」

リリアーノ・カヴァーニ監督の映画『愛の嵐』にインスパイアされた曲です。私は基本的にラブストーリーに興味がなく、人がたくさん死ぬ、SF、ホラー、特撮、そういう映画が大好きなのですが、その私が唯一好きなラブストーリーが『愛の嵐』です。これはナチス親衛隊の元将校が戦後、身分を隠してホテルの夜のフロント係として働いていて、そこにアメリカ人指揮者夫妻が泊りに来るのですが、その奥さんが収容所時代に自分が弄んでいたユダヤ人の美少女だという設定で。その奥さんも最初は逃げるんですが、戻って来て収容所時代の歪んだ愛に火がついちゃう……という。『ベニスに死す』もそうですが、死に至る愛、濃厚な死の香りがします。ジャパンも好きなバンドでして、そのバンドが、『愛の嵐』をテーマに曲を作った。そりゃ、大好きになるしかないです。さっきのマーラーの5番も寝るときに第4楽章だけリピートして枕元で流しますが、この『ナイトポーター』も同じ使い方もしています。

Nightporter
Japan

David Bowie『Blackstar』、「Heroes」

同じく、寝る時に繰り返しリピートしているアルバムのひとつが、デヴィット・ボウイの『ブラックスター』です。昨年、ボウイの訃報を聞いた時に、ヤラれた! と思ったんです。ラストアルバムを出して、闘病生活を感じさせない完璧なプロモーションビデオも撮って、こんな完璧な死に方があるのか! と。自分の人生をドラマとして完成させた、完璧な人生、完璧な死だと思います。憧れます。

Blackstar
David Bowie

「ヒーローズ」に関しては、世界を変えるのに貢献した曲として繰り返し聴いています。1987年6月にボウイがベルリンの壁のすぐ近くで野外ライブを行った際、スピーカーの4分の1をベルリンの壁に向け、MC中にドイツ語で「壁の向こうの友人たち聞こえるか」みたいなことも言っているんです。この曲だけで世界が変わったわけではないですし、いろんな事が重なってのことですが、世界を変える象徴、冷戦を終わらせる、ベルリンの壁を壊すひとつの象徴となった曲として、ロック史的にも重要だと思います。ボウイが亡くなった時、ドイツ政府が感謝の意を表していたことも印象的でした。

Heroes (1998 Remastered Version)
David Bowie​​​​​​​

 

バルトーク『歌劇《青ひげ公の城》』

SF 特撮とホラー映画が子供の頃から好きだったので、必然的にゴスにたどり着きます。AUTO-MODの世界観でもあるゴス的なオペラとして、バルトークの「青ひげ公の城」も大好きです。青ひげ公の新しい妻ユディットが、城の7つの扉を次々に開けていきます。拷問部屋、武器庫、宝物庫、庭園、領土、涙の湖、どの部屋にも血の痕、血の影があります。そして最後の7番目の扉の中から、殺されたと噂される青ひげ公の3人の妻が現れます。「夜明け」「真昼」「夕暮れ」を支配する3人の妻に続き、ユディットは「夜」を支配する妻の座に就きます。ユディットに光を求めた青ひげ公は、光の中ではなく闇の中に消えていきます。これもむせかえるような死の香りがします。仕事の邪魔にならないので研究室のBGMとして使っています。
ゴスと言えばヴァンパイアは必修です。ヴァンパイア・モチーフのBauhausの「Bela Lugosi’s Dead」も外せません。カトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイがヴァンパイアを演じた トニー・スコット監督の映画「ハンガー」(1983年)の冒頭でも、クラブでBauhausが「Bela Lugosi’s Dead」を演奏するシーンがあります。

ロック系でゴスと言うと、パンクの後にポストパンクと呼ばれるものが出てきて、それからポジティブパンク、ゴスという流れになります。もう少し細かく分けることはできますが、ざっくり言うとそんな感じで、ポストパンクでゴスの誕生に大きな役割を演じたのがバウハウスなんです。日本だと、ポジティブパンクからゴスの中心にいたのがAUTO-MODになります。ホラーが好き、ロックが好きで、そういう連中がパンクを通ると必然的にゴスに行くんですよね。ということで、最後は日本でゴスを取り入れているメジャーバンド、BUCK-TICKを。

バルトーク:歌劇《青ひげ公の城》 (2011年 まつもと市民芸術館 (ライヴ))
小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ/マティアス・ゲルネ/エレーナ・ツィトコーワ

BUCK-TICK「くちづけ」、「夢魔-The Nightmare」

BUCK-TICKがメジャーデビューするかどうかの時期に、みんなでAUTO-MODの『時の葬列』を見に来ていたそうなんです。今も、ドラマーのヤガミさんは「東京ダークキャッスル」に良く遊びに来てくれるので個人的にも交流があり、毎年、年末に武道館でやるコンサートにはいつもAUTO-MOD皆で招待してもらっています。

BUCK-TICKはいろんなスタイルの曲をやっていて、ゴスバンドとは言えませんが、ゴスは重要な要素で「くちづけ」もヴァンパイア・モチーフですし、「夢魔 The Nightmare」は学生たちとカラオケに行くと、自分のテーマソングとして必ず歌います。学生には私は魔王で、通常は人間に擬態していると説明しているのですが(笑)、その人の個性を示す“パーソナリティ”と言う言葉は、古代ギリシャ劇の仮面を意味するペルソナから来ています。自分がどんな人間か? というのは、仮面によって規定される。日本の能も若い女性の仮面、老女の面、老人の面……と、面によって役割が決まっていますね。人格というのは、自分がどのキャラクター、どの仮面を選ぶのかと言うこと。私の仮面、これはJAP工房に作ってもらったのですが、これもそういうことなんです。

くちづけ
BUCK-TICK

夢魔-The Nightmare
BUCK-TICK​​​​​​​

BUCK-TICK「くちづけ」、「夢魔-The Nightmare」(1)

ゴスとは何か? これは私の捉え方ですが、くだらない現実を乗り越えるイマジネーションであり、そのイマジネーションを実現する力、意志、それがゴスだと思います。そして、そういうものを求める態度ですね。残念ながら、自分だけが正しいと思っている奴らが、関係がないものをあると言い張って異質な少数派を差別しているのが現実です。そういったくだらない現実に抗い闘うのがゴスという生き方、アティチュードなのです。

BUCK-TICK「くちづけ」、「夢魔-The Nightmare」(2)

 


LIVE

【AUTO-MOD】
dieS presents「見る幻に毒を盛れ 2017 -2DAYS SIX/NINE-」
日程:2017年9月8日(金)
会場:目黒 THE LIVE STATION

† STREET BLOOD vol.7
日程:2017年9月29日 (金)
会場:新宿 SAMURAI

AUTO-MOD presents「TOKYO DARK CASTLE Vol.115 ハロウィン」
日程:2017年10月14日(土)深夜
会場:新宿 Christon Cafe

【Yukino & Hikaru】
日程:2017年8月19日
会場:池袋 手刀 (stylus)

日程:2017年10月6日
会場:原宿 Crocodile (Krishna Blue)

【Hikaru】
日程:2017年9月18日
会場:大阪 KING COBRA (Justy-Nasty)

AUTO-MOD オフィシャルサイト
http://www.auto-mod.com


Text:仲田 舞衣
Photo:Great The Kabukicho