吉澤嘉代子4thフルアルバム『女優姉妹』先行試聴会＆トークショーレポート

mysound編集部

Event Report

吉澤嘉代子が4thフルアルバム『女優姉妹』の先行試聴会を、10月30日（火）ヤマハ銀座スタジオにて開催。いち早くアルバムを聴けるということで、抽選で選ばれた参加者は期待に胸を膨らませた様子。その一方で、初めての試みに吉澤は緊張した表情を見せる。

彼女と馴染みのあるラジオDJのサッシャが司会を担当し、イベントは終始和やかなムードに。アルバムのテーマについて吉澤は「これまでのアルバムは内省的なものを作っていて、自分の中の初期衝動みたいなものをテーマしていたなって、今となっては思うんです。でも『女優姉妹』は、他者としての女性、個人としての女性を描いたので、外に向かっている印象です」と語った。

ジャケット写真の四姉妹は、本作と関わりのあるメンバー。「ミューズ」のミュージックビデオ（以下、MV）とジャケット写真に登場した安達祐実、「月曜日戦争」が主題歌となったドラマ『架空OL日記』に出演していた佐藤玲、「残ってる」のMVに出演していたモトーラ世理奈、「女優」のMVで主演を務めた小川紗良だ。なお、アートワークのイメージは昨年から考えていたそう。

この日は、小川紗良と「女優」MVの監督を務めた枝優花がゲスト出演。「女優」のMV撮影にまつわる裏話を披露した。
ポルノ女優が主人公の「女優」。想い人である男性のそばにいたいがために、騙された自分を演じ続けるという主人公の哀愁をイメージして書いた楽曲だが、曲の物語が小川紗良のイメージとは異なっていたことと、受け手の解釈を広げるという意図で、MVでは楽曲と異なる物語を紡いだ。
「“女優”というパワーワードを使うことはできるんですけど、聴いてくださった方のイメージが膨らむようなものを作りたいなと思って。吉澤さんがやりたいことの一つが“小川さんの瞳で終わりたい”という話だったので、（歌詞の）〈微かな光〉が〈確かな光〉になるような物語を作りたいなと思いました」（枝）

そして枝が作り上げたのは、バイト先の先輩・後輩という2人の女性を描いた物語。主演を演じるにあたり、小川はすべての女性に共通する普遍性を見出したそう。
「女の人っていろんな人の前で表情が違ったり、日常で演じることってみなさんあるじゃないですか？　だから、そういう意味での“女優”になったらいいのかもしれないって私なりに解釈しました」（小川）

左から吉澤嘉代子、小川紗良、枝優花

その後、会場に用意された大画面で「女優」のMVを鑑賞。MVは横浜で撮影されたそうで、光を意識して照明にもこだわったと枝は語った。
楽曲を大事にする想いが強いゆえに、いつもMVをチェックしたあとに何かしらの要望を提示していたという吉澤。しかし、「女優」のMVに関しては初めて一発OKを出したという裏話も。
なお小川は、6月開催の《吉澤嘉代子の発表会》を見て感銘を受け、ミュージックビデオに出演したいと吉澤に直談判。そして、今回のMV出演が実現したそうだ。
「完成したミュージックビデオを見て、好きな人に会う前のときめきの表情や一途な想いが感じられて、私が入れたいと思っていた“切実さ”を紗良ちゃんの表情や眼差しから受け取ることができました」（吉澤）

トークショー後は『女優姉妹』の試聴会へ。まずはアルバムの聴きどころを吉澤が解説。「自分との対峙というところに決着する曲を選曲していて。明日を生きる術を提案するようなアルバムになっています」と語った。

試聴会では、参加者各々がじっくりと『女優姉妹』の楽曲を堪能。その様子を会場後方から見ていた吉澤は、試聴終了後に「初めてアルバムを聴いてもらう瞬間って、なかなか立ち会えないじゃないですか？　その背中を見ているとグッと来ちゃって…嬉しかった…」と感極まった様子。その後もアルバムに関するエピソードを披露した。
「よるの向日葵」は、『女優姉妹』の選曲の軸からは外れていたが、「残ってる」の前に入る曲として相応しい曲をということで収録。伊澤一葉がピアノを演奏していることもあり、お気に入りの一曲ということで、ファンの反応が気になっていたそうだ。
「どんな反応をするかなって思っていたんですけど…みんなビクともしなくて（笑）。でも、私のファンの方っぽいなと思いました」（吉澤）

さらに、「質問に答えたくて堪らないです！」という吉澤の要望を受けて質問コーナーも！　しかし、リアクションを表に出さない吉澤嘉代子のファンらしく（!?）、はじめは誰も手を挙げず…。吉澤とサッシャの賢明な呼びかけに応じて、3名のファンが挙手。アルバムを聴いたばかりのファンの率直な感想に対して真剣に耳を傾けたり、質問に丁寧に答えていた。