超絶テクの10代メタルバンド ASTERISMが語る 魂を燃やす音楽へと導かれたルーツ


闘う若手アスリートとの対談企画が話題のインストバンドASTERISM。「バトルミュージック」をテーマに掲げ、HR(ハードロック)/HM(ヘヴィメタル)で世界に飛び出すティーンエイジャーのメンバーたちをさらに深掘り! ブーツィー・コリンズをも唸らせた超絶技巧をいかにして身につけたのか?音楽的ルーツ、野望に迫る。

大人顔負けの構築美で、やる気や闘争心を刺激する!

大人顔負けの構築美で、やる気や闘争心を刺激する!

 

ASTERISM(アステリズム)は紅一点のHAL-CA(G)、兄弟のMIYU(B/弟)、MIO(Dr/兄)で構成された3ピース編成。メンバー全員がまだ10代ながら、超絶技巧の演奏とシーンへのリスペクトを感じさせるアツいステージングで注目されるメタルバンドだ。2019年、1月のアジアツアーを皮切りに、3月には世界最大のカルチャーフェス「SXSW2019(サウス・バイ・サウスウエスト)」への出演も決定するなど、ついに世界への挑戦が始まった。

―まず、1stアルバム『IGNITION』で伝えたかったメッセージは?

HAL-CA:"燃焼"、"発火"、"点火"という意味そのままに、聴いた人の魂に火を付け、何かに対して新しい一歩を踏み出す勇気とかやる気を出してほしい! という思いを込めて作りました。1枚を通して、私たちの「バトルミュージック」というコンセプトをストーリーとして感じてもらえると思います。特にブーツィー・コリンズさんにプロデュースしてもらった「BLAZE」は、一曲入魂というか…リズムも難しいし、Aメロからずっと休む暇なくBメロでのベースとの掛け合いに突入するところとか、本当に自分との闘いだなって、ライブのたびに思います。

MIYU:本当にそうなんです。ちなみにそのBメロでは、親指だけのスイープで対抗しているのでライブとかで注目してもらえると嬉しいです。

MIO:初めて10分近い曲に挑戦した「DAWN」もそうですが、それぞれのテクニックを最大限に活かしながらどうやってストーリーを構築するか、緻密に考えました。アルバム全体としては聴いてくれる人に勇気を与えたいし、やっぱり本能的に頭を振りたくなる作品にしたかったので、ライブでアルバムの曲をやるようになってから、お客さんの反応に手応えを感じています。
 

 

​​―福岡(HAL-CA)と佐賀(MIO &MIYU)で離れていますけど、普段のコミュニケーションはどんな風に?

HAL-CA:LINEでやり取りしてます。毎日じゃないけど、やり取りするときは一日中やってるよね。

 

HAL-CA(G)
HAL-CA(G)

 

MIO:でも、未だに喋ってる時間より演奏で合わせてる時間の方が長い気がする(笑)。というか、まともに喋れるようになったのはここ最近ですからね。

HAL-CA:シャイ、人見知り、ポーカーフェイスの3人が揃っているんです(笑)。

 

MIO(Dr)

MIO(Dr)

 

MIYU(B)

MIYU(B)

 

MIYU:最初は何も喋れなくて、「これからどうしよう……」と思いましたからね。

MIO:自分は最初、ステージ上で目を合わせてプレイするのが恥ずかしくて。

HAL-CA:え! それ初めて知った(笑)!

MIO:前の2人は威圧感が強いからね……(笑)。

 

ASTERISM流メタル英才教育のルーツに迫る!

左から上下2枚ずつMIYU、HAL-CA、MIOの順で影響を受けた作品

左から上下2枚ずつMIYU、HAL-CA、MIOの順で影響を受けた作品

 

―ここで改めて、3人の音楽ルーツを聞かせて下さい。今日は一人二枚ずつ影響を受けた作品を持って来ていただきました。

HAL-CA:私はLOUDNESSの『SINGLE COLLECTION 1981-2012』と、ARCH ENEMYのDVD『TYRANTS OF THE RISING SUN』を持ってきました。私は、2012年11月16日金曜日の福岡DRUM LOGOSでLOUDNESSのライブを観て、ギターを始めたんです。それからずっとこのCDを聴いていたので、私にとって始まりの一枚です。

―LOUDNESSのライブを観て、HAL-CAさんは体中に電流が駆け抜けたとか?

HAL-CA:はい。ギターをやる前はドラムをやっていたから、それまではライブでもドラムばかりに目が行ってたんです。でも、LOUDNESSを観たときは高崎さんばかりに目が行って、「ギターをやりたい!」と思うようになりました。

―楽器を転向したい!と思うほどの衝撃だったんですね。

HAL-CA:高崎さんのギターに心を打たれました。今思うと、LOUDNESSの曲はヘヴィだけど、キャッチーさもあるので、そこに惹かれたのかなと。

―ギタープレイで影響を受けた人は?

HAL-CA:ARCH ENEMYのマイケル・アモットさんです。プレイはもちろん弾いてる姿も好きです。

 

ASTERISM流メタル英才教育のルーツに迫る! (2)

 

―それ以前はどんな音楽を聴いていたんですか?

HAL-CA:OZZY OSBOURNE、JUDAS PRIEST、車の中ではお父さんが好きな、Dr.Feelgoodがよく流れていました。最初、お母さんは私にガチャガチャした音楽を聴かせることに抵抗があったみたいで。お父さん的に、Dr.Feelgoodならセーフじゃないか? みたいな(笑)。

―ガチャガチャした音楽(笑)。

HAL-CA:お父さんはEXODUSも好きで。スラッシュメタル、OZZY OSBOURNEだと「月に吠える」(原題「BARK AT THE MOON」)をよく聴いてました。

―そこから自分でもメタルを掘っていった?

HAL-CA:
はい。最近はRAGEの『UNITY』、『SOUNDCHASER』、ADRENALINE MOBをよく聴いています。あと、BLACK SABBATHもよく聴いてましたね。

―BLACK SABBATHを最初に聴いたときはどう思いました?

HAL-CA:怖かったですね(笑)。でも耳に残る中毒性があったので、子供の頃から歌ってました。ギターを始める前にBLACK SABBATHの映像を観たときにギーザー・バトラーがかっこいいと思って、ベーシストになりたいと思った時期もありました。

 

MIYU:そうなんだ! それは初めて聞きました(笑)。僕も、幼稚園の頃にBLACK SABBATHにハマッてました。

 

ASTERISM流メタル英才教育のルーツに迫る! (2)

 

―幼稚園でBLACK SABBSTHの良さがわかったんですか!?

MIYU:うちも車の中で流れてたんですよ。BLACK SABBATHの世界観が好きで、OZZYの声は不気味だけど、色気があるなって。誕生日プレゼントにOZZY OSBOURNEのソロライブDVD『LIVE AT BUDOKAN』を貰って、ギターがザック・ワイルドのときですね。

―なるほど。MIOさん、MIYUさんは兄弟なので音楽環境は似ているわけですよね?

MIO:OZZY OSBOURNE、WHITESNAKE、MR.BIGとかですね。あと、DOKKEN、RATTもよく流れてました。

―それもお父さんの趣味?

MIO:はい。家や車の中でもよく流れていたので、自然と聴くようになりましたね。

MIYU:DVDもずっと流れていたので、いろんなアーティストのマネをよくやってました。グラハム・ボネットさんは唇をよく曲げるんですけど、それのマネとか(笑)。

―メタル英才教育! ハード・ロック/ヘヴィ・メタルのどの辺に惹かれたんですか?

MIO:単純にかっこいいと思って。あと、ほかの音楽を聴いたことがなかったので、それしか見えてなくて。

HAL-CA:わかる! 逆にそれ以外のものがわからなくて。だって、記憶があるときからそういう音楽がずっと流れていたから。

MIO:うん。で、成長してから、周りが聴くような音楽に触れるようになりました。

―では、MIOさんが持ってきてくれたのは?

MIO:TOTOが大好きで、一番好きなロック・バンドかも知れません。この『宇宙の騎士』(原題『TOTO』)もそうですけど、作品トータルの流れが好きです。いきなりインストから始まって、最後はメロウな感じで終わるので、その計算されてる感じにグッときます。その後のAORぽくなった時代も好きだし、スティーヴ・ルカサー色が強くなった8枚目(『KINGDOM OF DESIRE』)、サイモン・フィリップスが入った9作目(『TAMBU』)も好きだけど、このアルバムは一番聴きましたね。

 

ASTERISM流メタル英才教育のルーツに迫る!(4)

 

―もう1枚はデイヴ・ウェックルの『MASTER PLAN』ですが、これは?

MIO:YouTubeで見つけたジャズ/フュージョン系のドラマーです。ほんとに叩く姿がかっこ良くて。以前はいろんなバンドを聴いて、ドラマーに集中して聴くことはなかったんですけど……フィルの流麗さとか、こんなにドラマーがかっこいいと思った人は初めてでした。パラディドルというドラムの効率的な叩き方をやったスティーヴ・ガッドをさらに発展させた叩き方で。手足のコンビネーションも巧みだし、美しいドラムを叩く人なんですよ。このCDを聴く前と後では叩き方も変わったし、今もスランプになったときは、このCDを聴くようにしてます。

MIYU:あっ、そうなんだ! それも初めて知りました。

―バンド内でかつ兄弟でも知らないことが多発してますね(笑)。ではMIYUさんの音楽ルーツというと?

 

ASTERISM流メタル英才教育のルーツに迫る! (5)

 

MIYU:僕の始まりはMR.BIGの『LEAN INTO IT』ですね。1stアルバムも好きなんですけど、この作品の1曲目「Daddy,Brother,Lover,Little Boy」を聴いて、ドリルを使っているってことに衝撃を受けました。「こんな人がいるんだ!」って。「Addicted To That Rush」のビリー・シーンのライトハンドの入りにも鳥肌が立っちゃって。その後にポール・ギルバートと一緒にユニゾンするパートもかっこ良くて。「Just Take My Heart」みたいな聴かせるベースも良いし、ジャケットのアートワークも良いし、とにかく最高のアルバムですね。

―メタルの入り口というと?

MIYU:やっぱりOZZY OSBOURNEですかね。ジェイク・E・リー時代が好きです。DVDだとブラッド・ギルスが入った頃の、『SPEAK OF THE DEVIL』をよく観てて、ブラッド・ギルスのアーミングは凄いなと思います。

―MIYUさんはベーシストなのに、ギタリストの話ばかりですね(笑)。

MIYU:確かに(笑)。それで、なぜベースにはアームが付いてないんだよ!って、1、2年前に念願のアームを付けてもらったんですよ。それはギタリストの影響です。スティーヴ・ヴァイさんも好きだし、ソロで出してるインスト作品も凄いですからね。兄が最初にハマッて、僕もそれから聴くようになりました。

MIO:最初はWHITESNAKEの『SLIP OF THE TANGUE』(*スティーヴ・ヴァイ初参加の作品)を聴いて、スティーヴのソロ作にも触れたんですよ。インストで売れてる作品という意味で聴いたんですけど、独特な音色だし、スケールも多種多様ですからね。スティーヴは自宅にピラミッドがあったり、自分にしかわからない文字で日記を書いたりしてて、そういうミステリアスな人間性にも惹かれます(笑)。

MIYU:それを聞いて、僕も自分にしかわからない文字で日記を書いてみたんですど、気持ち悪くなって捨てました。

―マネしたんですか(笑)!

MIYU:はい……。今、言っててかなり恥ずかしくなってきました(笑)。

―では、ベース・プレイで影響を受けたのは?

MIYU:ビリー・シーンもそうですけど、やっぱりジャコ・パストリアスの『JACO PASTRIUS』です。中学生のときに誕生日プレゼントでこのCDを頂いて。ベースの神様と言われているだけあって、聴いたときは「マジでやべえ!」と思いました。出だしからやばいんですよね、サックスが入った曲(「Come On,Come Over」)なんですけど、めちゃくちゃムズい。今でも半分ぐらいしか弾けないんですよね。あと、「トレイシーの肖像」(原題「Portrait Of Tracy」)という曲が好きで、ハーモニクスを使ったメロディを弾いてて、音も全部使いこなしてますからね。ほんとに神様だなと思います。この作品を聴いたら、フレットレス・ベースが欲しくなりますね。僕もこういう伝説的なミュージシャンになりたいです。

 

最終目標は、ASTERSIMでのワールド・ツアー!

―なるほど。それぞれのルーツが分かってとても興味深いです。2019年はアジアツアーを皮切りに、3月にはSXSWへの出演が決まりました。ASTERISMとしての今後の野望は? 

HAL-CA:フェスへの出演は夢だったので、本当に嬉しいです! あとは『Wacken Open Air』にも出たいし、やっぱり最終的にはワールド・ツアーをやりたいです。

MIYU:僕はベースを始めた頃から自分がフェスに出てるイメージがあったので(笑)、とても楽しみにしています。『Wacken Open Air』もそうだし、『Download Festival』にも出てみたいですね。

MIO:イギリス、ドイツ、アメリカももちろん行きたいけど、やっぱり『FUJI ROCK FESTIVAL』に出たいですね。ワールドワイドに活躍しつつ、日本でも人気のあるバンドになりたいです。

HAL-CA:早く大きなステージで観客を揺らしたい!

MIYU:サークル・モッシュもやってみたい!

―いつか共演したいアーティストは?

HAL-CA:私は絶対、高崎晃さんですね。やっぱりそこはどうしても……。早く共演したいです。

MIYU:僕はMR.BIGですね。パット・トーピーさんは亡くなりましたけど、ビリー・シーンと共演して、早くベース・バトルをやりたいですね。「世代交代だ!」って(笑)。

―それは頼もしいですねぇ!

MIYU:ほんとに世界で活躍できるベーシストになりたいから、それぐらい言わないとダメかなと。ただ、本人の前で言えるかはわからないですけどね…(笑)。

MIO:僕はTOTOのスティーヴ・ルカサー、DREAM THEATERのジョン・ペトルーシと一緒にセッションしてみたいですね。早くそういう凄い方々と渡り合えるような実力を付けなきゃいけないと思ってます。

―最後に読者に向けてメッセージを!

HAL-CA:とにかくライブを見て欲しいです。画面越しと生では全然違いますから! 皆さんにお目にかかれるのを楽しみにしています!​​​​​​​


<PROFILE>

●ASTERISM

ASTERISM

L→R:MIYU(B)、HAL-CA(G)、MIO(Dr)


福岡、佐賀を拠点にする3ピ―スHR/HMインストバンド。
2014年に開催されたヤマハグル―プ主催の音楽コンテストThe 8th Music Revolutionで出会い、意気投合し結成。Facebook上に投稿した動画が話題となり爆発的に認知が拡散する中、ジェ―ムスブラウンのバンド“JB'S” のブ―ツィ―・コリンズが自身のFBで動画をシェアしたことからさらに拍車が掛かり、ペ―ジ内動画「155」は15,000,000人の目に触れ、現在も拡散され続けている。
2017年徳間ジャパンコミュニケ―ションズより5TRACKS ALBUM『The Session Vol.1』でメジャ―デビュ―。

2018年8月22日、待望の1st フルアルバム『IGNITION』をリリ―ス!

IGNITION


◆オフィシャルサイト http://asterism.asia/

 

【ASTERISM×闘うアスリート バトル対談シリーズ】​​​​​​​
■Vol.1
aste-utami​​​​​​​
トップを目指す! 10代プロ対談 ~ギタリストHAL-CA (ASTERISM)vs 女子プロレスラー林下詩美~

■Vol.2
aste-nasukawa
“神童”キックボクサーに聞く! 世界への挑戦 ~ASTERISM vs 那須川天心~

■Vol.3
aste-ram
世界チャンピオンに聞く!プレッシャーとの闘い方 ~ASTERISM vs B-GIRL RAM~


Text:荒金 良介
Photo:Great The Kabukicho
​​​​​​​Edit:仲田 舞衣​​​​​​​