【レコードジャンキー富和】第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」


mysoundマガジン読者の皆さまにはもうお馴染み、レコードの深遠なる魅力をお伝えする【レコにまつわるエトセトラ】。その著者であるディスクユニオン新宿ロックレコードストア店長の山中明氏が、なんと今度は漫画の連載をスタート!? 得意のイラストを武器に間口はより広く、しかしディープな内容をポップにご紹介していきます。

第15話では、いつになくシリアスな顔をした富和が、読者(?)に向けて問いかけるシーンからスタート。オリジナル盤の貴重さを強調しながら、訴えかけたいことはどうやらレコードの保管方法のようで…。

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(1)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(2)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(3)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(4)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(5)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(6)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(7)

 第15話「レコードを未来へ繋ぐづら!」(8)


ヴァシュちゃんのお隣に住む“ハルじい”のお宅を訪問した富和。そこで見たものは、カビによる“死相”が浮き出た名盤のジャケットでした。そんな悲劇を二度と繰り返さないために生み出したはずの究極のレコード保護ボックス「NOAH」の素晴らしさを実演しようとして…、また別の悲劇を生んでしまったようです(笑)。
 

 

 

★今回のレコードMEMO★

 

レコードをコレクションするにあたって、四季があり高温多湿である日本の環境は大きなハードルとなります。そしてここで特に問題となるのは、古くから後生大事にしまわれてきたレコードたちです。

私も数多くのご自宅のレコードを見てきましたが、一枚一枚ビニールで封をされ、押入や倉庫の奥底に大事に保管されていることが多いものです。これって英米ではそれほど見かけない光景で、日本の国民性としてモノを大事にしようという気持ちが元々根付いているのかもしれません。

ただ、このモノを大事にする国民性と日本の環境が合わさった時、レコードにとっては非常にマズイ状態に見舞われているケースが多いのです……。そう、それが今回の話にもあった「カビ」の脅威です。

数十年の間、悪環境で聴かず取り出さずで保管されていると、ビニールはベタリと貼り付き、ジャケには多量の点シミが発生し、盤にはもっさりとしたカビが群生する、そんな最悪の状態になってしまうのです。しかもこの被害件数、本当に恐ろしく多いのです……。

ただ、今現在コレクトされている方たち(当時の方も後追いの方も)においては、レコードとの距離感も変わってきたのでしょう。自然とその保管方法自体も変化し、確実にその被害は減ってきています。もちろん、エアコン等の家電の性能も大きいと思いますけど。

まぁあまり細かく考え過ぎるのも疲れるものなので、なるべく換気の良いオープンな場所で保管したほうが良い、ぐらいにぼんやり思っておいていただくだけでも良いかなとは思います。ただレコードにとって一番良いのは、定期的に取り出して聴いてあげることだとは思いますけどね!

とにかく今回私がお伝えしたいことは、今あなたの手元にあるレコード、特に過去のオリジナル盤たちは、先人たちが生んだ過去の遺産だということです。もし私たちの手によってその状態を損ない失ってしまえば、後世に残らない音源だってあるんです。

まぁちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、大事にして皆で共有して楽しんだほうがハッピーであることには間違いありません。さぁ、レコードを未来へと繋いでいきましょう! ではまた次回!
 

 

 

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<登場人物 プロフィール>

 

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富和(とみかず)
3度の飯よりレコが好き、ナチュラル・ボーン・レコード・ジャンキー。
好きな音楽はブリティッシュ・ロック。高円寺在住。

 

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ヴァシュちゃん

レコード初心者なオテンバ娘。
レコ部の紅一点.。

 

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キューくん
富和の同級生。
顔も趣味も度を越しているが、根は優しい富和の良き友達。基本CD党。

 

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フレディのおっちゃん
富和の一番のレコ友。
QUEENに全てを捧げる漢。

 

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ボビー
クールに決めるレコード仕事人。
数少ない富和憧れのディガー。

 

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マック店長(テンチョー)
富和行きつけのレコ屋、ディスクオニオン高円寺本店の店長。

 

 


 

Text&Comic:山中明(ディスクユニオン)
Edit:大浦実千