ギタリストが知っておくべき用語をすべてカバー! Go!Go! 音楽用語辞典 第1回 あ・い【Go!Go! GUITAR プレイバック】

日本語や英語、はたまたイタリア、ドイツ、ラテン語まで入り交じっている音楽用語。本来の意味や語源を知ることで君たちの音楽人生はより豊かになる! これは、ギタリスト、バンドマン目線で書き下ろした至極の音楽用語辞典である!
解説/平川理雄
あ行
◆あ
・アーチドトップ
・アーミング
・アーム
・アウトロ
・アカペラ
・アクセント
・アコースティックギター
・アッチェレランド
・アーティキュレーション
・ア・テンポ
・アドリブ
・アベイラブルノート
・アボイドノート
・アポヤンド
・アルアイレ
・アルダー
・アルペジオ
・アレンジメント
・アンサンブル
・アンプシミュレーター
◆い
・イオニアンスケール
・イコライザー
・移調
・移調楽器
・異名同音
・11th(イレブンス)
・インストゥルメンタル
・インテンポ
・イントロ
・インプロビゼーション
・インレイ
◆あ
●アーチドトップ
ギター 形状
ギターのボディ形状の一種。アコースティックギターの表板の中央部分が曲面を描いて膨らんだ形状をしている。フルアコースティックギターやピックギターなどとも呼ばれる。かつてはピックアップは装着されていなかったが、現在はマグネット式ピックアップが装着されているものがほとんど。
●アーミング
ギター 奏法
ギターの奏法の一種。Arm.と表記。ギターに装着されたトレモロアームを用いて音高変化を得る。またこれを一定周期で行うことでアーミングビブラートが得られる。
●アーム
ギター パーツ
ギターでアーミングを行うために操作する棒状のパーツ、またはブリッジまで含めたユニットの呼称。トレモロユニット、ビブラートユニット、ワーミーバーとも呼ばれる。
👉トレモロユニット
●アウトロ
音楽用語 理論・作編曲
後奏。イントロと対を成し、曲のエンディング部分を飾るパート。イントロや間奏とリズムやコード進行を統一させることが多い。
👉イントロ
●アカペラ
音楽用語 編成
楽器伴奏のない状態で合唱や重唱を行うこと。あるいは楽曲中に伴奏がなくなりボーカルだけで歌う箇所。
●アクセント
音楽用語 強弱
音楽のある部分を特に強調して際立たせること。通常は「>」を用い、さらに強調する場合に「∧」を使うこともある。「sf」(スフォルツァンド)などと同じ。また、その音を伸ばしたければアクセントテヌートを、短く切りたければアクセントスタッカートをそれぞれ用いる。
●アコースティックギター
ギター 種類
リュート族の撥弦(はつげん)楽器で、エレクトリックギターではないギターの総称。クラシックギター、フラメンコギター、フォークギターなどがある。マグネット式ピックアップが装着されたものにはフルアコースティックギターやセミアコースティックギターと呼ばれるものもある。
👉フォークギター、エレアコギター、フルアコースティックギター、セミアコースティックギター
●アッチェレランド
音楽用語 速度
だんだん速く。accel.と略記。元のテンポに戻すa tempoとの組み合わせで使用されることが多い。
●アーティキュレーション
音楽用語 演奏指示
ひとつのフレーズに様々な強弱や表現を与え音の繋がりを整えることで、フレーズにより明確な意味を持たせること。スタッカートやテヌートなどの記号で記譜される。
●ア・テンポ
音楽用語 速度
元の速さで。a tempoと表記。アッチェレランドやリタルダンドで速度が変化した後、元のテンポに戻すために使われる。
●アドリブ
音楽用語 演奏指示
ラテン語のアド・リビトゥム(ad libitum)からきた言葉。「自由に」などという意味で、音楽用語としてはコード進行やモードをもとに自由に即興演奏すること。ジャズなどでよく用いられる。インプロビゼーションとほぼ同義ととらえることもできるが、インプロビゼーションが即興作曲的な意味を強く持つのに対し、アドリブとして使われるフレーズは既存のものであることも多い。
👉インプロビゼーション、即興
●アベイラブルノート
音楽用語 コード・スケール
ジャズ理論で用いられる用語で、アベイラブルテンションとも呼ばれる。特定のダイアトニックコードやスケールに追加する音として、そのコードの機能を変化させないままで使用可能な音。例えばCメジャーキーでG7(機能=ドミナント、スケール=ミクソリディアン)の時のA音(=9th)とE音(=13th)はアベイラブルノートである。
👉アボイドノート、テンションノート、ドミナント、ミクソリディアン
●アボイドノート
音楽用語 コード・スケール
スケールの中で、その音を長音価(大抵は1拍半程度以上)で弾いてしまうとそこでのコードの機能を変化させてしまうため、その意図がない限り長音価で使用しないのが望ましい音。例えばCメジャーキーでG7(機能=ドミナント、スケール=ミクソリディアン)の時にC音(=11th)を弾いてしまうとコードの機能がトニックであるかのよう聴こえてしまうため、C音はアボイドノートとなる。
👉アベイラブルノート、テンションノート
●アポヤンド
ギター 奏法
ギターのフィンガーピッキングにおける右手の奏法で、指を打弦直後に次の弦で止めることで、重量感のある太い音を出す。スペイン語で「支えながら」という意味。また、エレクトリックベースでのツーフィンガー奏法は基本的にこの奏法が用いられる。
●アルアイレ
ギター 奏法
ギターのフィンガーピッキングにおける右手の奏法で、打弦直後に指をそのまま空中に浮かせておく。軽く繊細な発音が特徴。スペイン語で「空間に向かって」という意味。
●アルダー
ギター 素材
カバノキ科ハンノキ属の広葉樹。淡い紅褐色。比較的柔らかく加工性に優れる。ギターやベースのボディ材として使われ、中音域に特徴的な粘りのある音がする。
●アルペジオ
ギター 奏法
分散和音及びその奏法のこと。Arp.と表記。和音の各音を同時にではなく、下または上から順番に演奏する。イタリア語の「ハープを演奏する」という言葉が語源。
👉スリーフィンガー、分散和音
●アレンジメント
音楽用語 理論・作編曲
編曲、アレンジ。楽曲を実際に演奏するための演奏形態(楽器編成や演奏時間など)に応じて改編すること。また元のメロディを残しながらコードやリズムを変えること。リミックスと呼ばれる別バージョンを作成することも同義。
●アンサンブル
音楽用語 編成
2人以上の演奏者による合奏、合唱。楽器の種類を問わず、デュエットから総奏と呼ばれるトゥッティまですべてを指す。
●アンプシミュレーター
ギター エフェクター
エフェクターの一種。アンプを鳴らさなくてもまるでアンプをマイク録りしたかのような迫力のあるサウンドを作り出せる。有名アンプを模した音色がプリセットされていることも多い。
◆い
●イオニアンスケール
音楽用語 コード・スケール
グラレアヌスがその著「ドデカコルドン」で主張した教会旋法のひとつ。アイオニアンスケールとも。「完全1度、長2度、長3度、完全4度、完全5度、長6度、長7度」の7音で構成され、特性音は第4音。また、この音階は長音階と同一。
👉教会旋法(チャーチモード)
●イコライザー
ギター エフェクター
等化器。EQと略記。割り当てられた特定の周波数を増強または低減させられるグラフィックイコライザー(図)や、自らが指定した周波数やQを調整できるパラメトリックイコライザーがある。またプリアンプのベース/ミッド/トレブルもEQの一種。
●移調
音楽用語 理論・作編曲
楽曲全体を異なる高さの調に移して音域を変えること。ボーカリストの音域に合わせて原曲を移調することが多い。カラオケ機器に付いている音域を変える(+/ー)のボタンもこのためのもの。
●移調楽器
音楽用語 記譜
実音(実際に鳴る音の高さ)とは異なる調で書かれた楽譜で演奏する楽器。同じ調であっても異なるオクターブで記された楽譜を使う楽器も含む。ギターやベースは1オクターブ上げ表記(実音は記譜より1オクターブ低い)する移調楽器。
●異名同音
音楽用語 記譜
C♯とD♭、D♯とE♭など、平均律では音名や記譜法は異なるが実質的に同じ高さになる音。
●11th(イレブンス)
音楽用語 コード・スケール
コードの構成音を基本形で並べたとき、1オクターブより高いところにある音(テンションノート)の中で、基音から数えて11度の高さにある音。またそれを含めたコード。ナチュラル11thとシャープ11thの2つがある。
👉テンションノート
●インストゥルメンタル
音楽用語 編成
ボーカルの入らない、楽器演奏者のみの楽曲。インスト。
●インテンポ
音楽用語 速度
「正しい速さで」という意味。一般的には演奏速度を一定に持続することをいう。
●イントロ
音楽用語 理論・作編曲
前奏。楽曲のテーマに入る前の導入部。雰囲気作りやリズムパターンの提示によりスムーズに主題に受け渡す役割を持つ。イントロダクションを省略した呼び方。
👉アウトロ
●インプロビゼーション
音楽用語 演奏指示
即興演奏。演奏者の独創的なアイデアと技巧、そして音楽的な構成力などが瞬間的に発揮される即興作曲のこと。楽譜上はアドリブと記される。
👉アドリブ、即興
●インレイ
ギター パーツ
ギターやベースの指板上のポジションマークやヘッド部のブランドロゴなど、装飾的にはめ込まれた細工。
(Go!Go! GUITAR 2015年6月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海