ハイレゾで味わうクラシック vol.2 ~優雅さと癒しの古典派~


「梅雨明けしました」と言われても、「えっ、梅雨……いつきてた?」と返したくなるくらい暑い日が続いていますね。とくに夜の睡眠は翌日を元気に過ごすためのサプリの役割を果たす重要なものですが、こう暑くて寝苦しいと、寝るのにもパワーが必要ですよね。一日を充実させるためにも、まずはよい睡眠をとることから始めたいところ。というわけで、今月は、不快さを吹き飛ばし、充実した眠りや優雅なリラックス&リフレッシュ・タイムを過ごすのに心強い味方となってくれるハイレゾ音源をご紹介したいと思います。

眠りをやさしくサポートする作品


最初は漫画・アニメ・映画で大人気だった『四月は君の嘘』のテーマ曲ともいえる「きらきら星変奏曲」。モーツァルトの音楽の透明感、やさしさといったものが集約したようなこの作品が、あなたの睡眠をやさしくサポートしてくれるはずです。シンプルなメロディがこんなにキラキラと違う表情を見せてくれるんだ! という発見を続けているうちに、スッと眠りに落ちているかもしれません。とくにハイレゾで聴くと、絶妙に変化する和声の色彩がもっとわかりやすく味わえます。

『四月は君の嘘 トゥインクル リトルスター』より
・モーツァルト:きらきら星変奏曲 K.265

モーツァルト:きらきら星変奏曲 K.265
四月は君の嘘 トゥインクル リトルスター

 

 

続いてはベートーヴェンのピアノ・ソナタから夜にピッタリの4曲を。まずはしっとりと、またどこかヒンヤリとした大人の夜の世界を感じさせてくれる「月光」ソナタ。静かに時を刻むような第1楽章、夢の世界でのダンスを思わせる、軽やかで美しい第2楽章の組み合わせはあなたをゆるやかに眠りへと誘ってくれることでしょう。第3楽章は非常に激しいので、どうしても眠れないときやイライラした気持ちを吹き飛ばしたいときのためにとっておくのがオススメ。
第27番のソナタからは第2楽章を。語りかけるような優しいメロディが別の旋律をはさみながら繰り返され、大きく表情を変えることはないので、穏やかな気持ちになれる作品です。もっとこのやさしい世界に浸っていたい……と思われたら、同じ“ミ”の音が基調となっている第30番をつなげて聴くのも素敵です!
漫画やドラマ、映画で人気を集めた『のだめカンタービレ』のなかで重要な役割を果たした「悲愴」ソナタ第2楽章も、甘くて切ないメロディが穏やかな気持ちにさせてくれますし、ちょっと切ない気分に浸りたいときに聴くと、気持ちにピタリと寄り添ってくれます。夕方から夜へと移ろっていく時間帯に聴くのにもオススメですよ。

『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第2巻「愛」』(小菅優)より
・ソナタ第14番 作品27-2「月光」全楽章

ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2「月光」 第1楽章 アダージョ・ソステヌート(アタッカ)

ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2「月光」 第2楽章 アレグレット

ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2「月光」 第3楽章 プレスト・アジタート


・ソナタ第27番 作品90より 第2楽章

ピアノ・ソナタ第27番ホ短調 作品90 第2楽章 速すぎないように、そして十分に歌うように

 

『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第5巻「極限」』(小菅優)より
・ソナタ第30番 全楽章

ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 作品109-第1楽章ヴィヴァーチェ、マ・ノン・トロッポ

ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 作品109-第2楽章プレスティッシモ

ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 作品109-第3楽章じゅうぶんに歌い、心の底からの感情を持って
 

・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章

ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 作品13「悲愴」-第2楽章アダージョ・カンタービレ

 

上記の4曲は小菅優さんの演奏をセレクトしました。小菅さんの演奏は、ベートーヴェンの作品のなかにある“やさしさ”や、寄り添ってくれるような“あたたかさ”を、とても丁寧に伝えてくれます。

 

一日の幕開けに


心穏やかな夜を過ごしたらきっと目覚めもスッキリするはず。気持ちのいい朝のおともには、ぜひモーツァルトの「エクスルターテ・ユビラーテ」を。躍動感あるリズムの上で軽やかに歌われていく爽快さ、森麻季さんの透明感あふれる声は一日の幕開けにピッタリです。

『ピエ・イエス~祈りを込めて』(森麻季)より
・モーツァルト:エクスルターテ・ユビラーテ(喜び踊れ、幸いなる魂よ)全4曲

アリア:喜べ、喜び躍れ

レチタティーヴォ:輝かしい日が君臨し

アリア:あなたは純潔な者たちの王冠です

アレルヤ

 

極上のリラックス・タイムに​​​​​​​​​​​​​​


暑さが一段と厳しい時間帯に聴きたい、圧倒的爽やかさを放つのがハイドンのオラトリオ『天地創造』からの2曲。ハイドンというと、きっちりとした交響曲をたくさん書いているイメージなのですが、こんなにのびやかなメロディも聴かせてくれるのです。冷やしたお茶を飲みながら聞いたら至福の時が得られるかもしれません。そのままお昼寝したい……というかたは、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をぜひ。木漏れ日のやさしい光を思わせるようなあたたかい音楽が、極上のリラックス・タイムを提供してくれるはずです。

『ピエ・イエス~祈りを込めて』(森麻季)より

レチタティーヴォ:神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と」

アリア:今や野はさわやかな緑を

 

『アヴェ・マリア』(森麻季)より​​​​​​​

モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス

 

いい一日はいい眠りから……ということで、夜から朝、そしてお昼以降を過ごすのにオススメな音源を、古典派を代表する作曲家3人の作品からご紹介しました。古典派はルールのしっかりした音楽ということで“カタい”イメージを持たれがちですが、そのキッチリさは、安心感や心地よさにもつながっていくものなのです。それをさらに魅力的に彩るハイレゾ音源による音の粒ぞろいの美しさ、息遣いを近くに感じられるリアルさは、音楽がそばにいてくれるような感覚を味わえるはず。ぜひおなじみの曲での新たな発見や、初めての作品との出会いをハイレゾで体験してみてください。
次回は9月1日(金)更新予定で、テーマは「妄想の翼広がるロマン派音楽」です。どうぞお楽しみに。​​​​​​​