【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談 ~“旬のギタリスト”はどのように生まれた?~

ギタリストが考えるギターを弾く“コツ”


LUCKY TAPES・高橋健介×DATS/odol・早川知輝によるギタリスト対談の後編。ここではまず、2人が現在の所属バンドで、どんなことを考えながらギターを弾いているのかを伝授してもらった。ブラック・ミュージックにエレクトロ・ポップ、そしてギター・ロックと、現在のトレンドとなっているサウンドを支えるうえで、プレイヤーとして意識するべきポイントとは? さらに、記事の後半では2人が現在使用しているギター/エフェクターを紹介してもらうと共に、これからギターを始めるためのコツも解説。これを読めば、きっとギターが弾きたくなってくるはずだ。バンドマン/ギター初心者は特に必見!

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(1)

 

―ここからは、お2人がバンドに貢献するために意識していることを伺いたいです。まずLUCKY TAPES(以降、ラッキー)は、ブラック・ミュージックを意識的に取り入れることが、バンド結成時からのコンセプトですよね。そこで健介さんが心掛けていることは?

高橋:ラッキーは楽器が多いから、音をまとめるのが難しいんですよ。だから最近は、リズムやグルーヴについて厳しく意識していますね。(バンド全体で)どういうノリでグルーヴさせるのかをしっかり話し合いますし、ギターもその演奏のなかに溶け込まないといけない。

―上手くやるコツってあります?

高橋:周りの音を良く聴くことです。それと、ひたすら練習あるのみです。クリックに合わせて、音符を正しく弾けるのが当たり前の世界なので。それは大前提だとして、どのようにノリを表現するのか。結局は、「気付き」が大事なんだと思います。経験を積まないと気付くことができない。ブラック・ミュージックにおけるギターは、主役というよりもオカズやスパイスなのかなと。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(2)

 

―その一方で、華やかなギター・ソロも健介さんの持ち味ですよね。どんなことを意識しながら弾いていますか?

高橋:どうだろう、勢いかな(笑)。ソロを弾くときはシチュエーションを意識して、「こんな感じにできたらいいな」とイメージするようにしていますね。例えば、新しいEPに収録されている“シェリー”では、スタジオ級の会場をイメージしてギターソロを弾きました。

―「ギター・ソロは顔で弾く」とも言いますが。

高橋:僕はかなり顔で弾いていますね、無意識ですが(笑)。ギター・ソロは一種のパフォーマンスでもあるし、真顔でつまんなさそうにするより、気持ちのこもった表情で弾くほうが、観客にも伝わりやすいでしょうから。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(3)

 

―次は早川さん。もともとギター・ロック的だったDATSが、現在ではエレクトロニックな音楽性に舵をきったこともあり、最近はサンプラーを使ったり、マルチ・プレイヤー的な役割が求められているのかなと。

早川:
僕はさっきも話したように、ボーカルの杉本(亘)が作る曲が好きでDATSに入ったので。「ギタリストであること」が先ではなかったから、フレキシブルに徹することができたんだと思います。そのなかでまずは、楽曲を引き立てることを真摯に考えていますね。ギターが必要だったら弾くし、もっと違うアプローチを試す場合もあるし。

―odolの一員としては?

早川:根本的には同じですね、ミゾベ(リョウ)君のボーカルをいかによく聴かせるか。odolのほうがたくさんギターを弾いているのは間違いないけど、9月に発表した新しいEP『視線』にも、レコーディングでギターを弾いていない曲が入っているので。

―どちらのバンドでも、早川さんのギターにはテクスチャーを生み出す役割が求められている気がします。

早川:そうですね、ギターをギターとして使わない場面もありますし。あと、DATSのライブで弾く場合は、シーケンスの音に対して「刺さる音」を狙っています。馴染ませるんじゃなくて、ぶつけるというか当てにいくイメージ。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(4)

 

―お互いのプレイヤー観を形にするために、どんなギターを使っているのか知りたいです。

高橋:ライブで主に使っているのは、フェンダー・カスタムショップ製の1963テレキャスターのリイシュー。ストラトキャスターは一本ずつ音が結構違うなかで、これはハイが抜けているし、弦の響きもいなたい。音は太いけど、ちょっと枯れている。そういうところに惹かれました。

―音作りの肝になっているエフェクターは?

高橋:ワウ・ペダルですね。今はJAM Pedalsという、ギリシャのハンドメイド・ブランドによるものを使っています。本来は歪み系のサウンドと相性がいいんだけど、僕はクリーンな音で使っていて。VOXよりはCRYBABY寄りの音ですね。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(5)

▲高橋が使用をしているフェンダー・カスタムショップ製の1963テレキャスターのリイシュー

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(6)

▲高橋が使用をしているエフェクターボード

 

―早川さんはどうでしょう?

早川:DATSではミュートの単音弾きで良い音を出すために、いろいろ試していったなかで、フェンダー・ジャパン製のレースセンサーというピックアップを搭載したストラトに辿り着きました。逆にodolでは、もう一人のギタリスト(井上拓哉)がジャズマスターを使っていて、シューゲイズ的な歪みを担当しているので、僕はアンビエントな空間系の音を出すことが多い。そこで、癖のない綺麗な音が出せる、Sugiという国産メーカーのDS499を使っています。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(7)

▲早川がDATSで使用をしているフェンダー・ジャパン製のエリック・クラプトン・モデルのストラト

 

―エフェクターもバンドによって使い分けている?

早川:もう真逆ですね、エフェクター・ボードもそれぞれ別のものを用意しています。どちらでも共通して使っているのが、LINE6のMシリーズというマルチ・エフェクター。DATSでは同シリーズのM13を使っているんですけど、これ1台あればライブができるくらい(エフェクターを)全部詰め込んでいますね。odolでも曲によってディレイを3つ以上使う場面も出てくるので、気軽にバンクで呼び出せるマルチ・エフェクターは重宝しています。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(8)

▲早川がDATSで使用をしているエフェクターボード

 

―この記事を読んで弾きたくなった人のために、ギターをはじめるうえでのコツを伝授してもらえますか。

高橋:まず、ギターは見た目で選んでほしいですね。最初のうちは挫折するポイントも正直多いし、ギターにずっと触っていたいと思えないと、だんだん愛せなくなってしまうといけないので。そのあとは実際に握って、手にフィットするかを確かめる。最初は10万円前後のギターを購入するのがいいと思いますね。あんまり安物を選ばないほうが、あとで後悔しないと思う。

早川:気合いを入れて買ったほうが、練習のモチベーションにも繋がるでしょうし。あとは練習を続けていくうちに、自分の長所が見つかると思うので。そこを伸ばしていくのが、バンドでの音作りにも役立つと思います。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(9)

 

―今回の取材でご協力いただいた新大久保・TC楽器は、初めてのギター選びにもオススメですか?

高橋:そうだと思いますよ。品揃えがとにかく充実しているし、値段もお手頃なので。今使っているフェンダーもここで購入しました。中古店だから宝探し感もありますし。

早川:ギターやアンプ以外に、エフェクターも種類がたくさんあるんですよ。高校生の頃に初めてきてから、ここで何台買ったかわからないです(笑)。保証面も充実していますしね。

 

【後編】LUCKY TAPES高橋健介×DATS早川知輝のプレイヤー対談(10)

 

Interview&Text:小熊 俊哉
Photo:大石 隼土