ハイレゾで味わうクラシック vol.8 ~キレイを応援する曲~


みなさま、2018年のいいスタートは切れましたか? あっという間のお正月休みを終えて、すぐお仕事や勉強をスタートされてお疲れのかたも多いかと思います。今回はそんなあなたに、身も心もキレイにしてくれそうな美しい曲をお届けします。優しく語り掛けるようなメロディ、彩り豊かなハーモニーが重なり合い、ドラマティックに変化していく音楽に身を委ねているうちに気分は晴れやかになり、笑顔が一段と素敵になることでしょう。

内側から美しく 


ショパン(1810-1849)が20歳で書いたピアノ協奏曲で、彼の故郷ワルシャワに対する告別と、音楽の都ウィーンでの成功を夢見る強い想いが込められています。華やかなパッセージや故郷ワルシャワの民俗舞踊「マズルカ」のリズムがちりばめられたこの作品には、同時に若きショパンのなかに広がる美しいイメージも込められています。全3楽章どれも魅力的ですが、とくに今回ご紹介する第2楽章についてはショパン自身が「美しい春の夜の、月光を浴びながら瞑想する、そのようなものでもある」と述べていますが、実際に空気の澄んだ夜を思わせるこの作品では美しくも儚げな旋律が奏されていきます。独奏者のチョ・ソンジンのピアノは輝きに満ちた美音が魅力的ですが、ハイレゾ・サウンドによって温度すら感じさせてくれるようです。いろいろなモヤモヤが洗い流されていくような感覚になり、内側から美しくなれそうな気がします。

♪ショパン: ピアノ協奏曲第1番ホ短調op.11 第2楽章 ロマンツェ 

 

優れたオルガン奏者でもあったフランスの作曲家、フォーレ(1845-1924)の作品は、19世紀末から20世紀初頭に開花した装飾性に富む諸芸術“アール・ヌーヴォー”との関連性も語られ、さまざまな旋律が絶妙に絡み合い、そのなかからハッとするような甘美なメロディが浮かび上がってきます。彼はとくに歌曲創作で“花”をテーマにした作品を数多く残し、多くの女性とのロマンスも語り継がれているなど、美しいものを心から愛した人でもありました。この「バラード」は、フォーレの作品のなかでもとくに大規模なピアノ曲のひとつで、寄り添ってくれるような温かさ、何かを強く求めるような情熱をたたえた作品です。さまざまな場面がドラマティックに転換していき、色とりどりの美しい花束を受け取ったときのような感動を感じさせてくれます。ユジャ・ワンの力強くも色彩豊かな音色がハイレゾ・サウンドによって際立つことで、美しい花の花弁の質感まで感じさせてくれるようです。

フォーレ: バラード嬰ヘ長調 op.19 
 

 

ドレスアップしたような気分に 


フランスの優れたフルート奏者であり作曲家でもあったフィリップ・ゴーベール(1879-1941)は、多くのフルートとピアノのための作品を残しました。艶やかな色気のある「ノクターン」と、星がきらめくような美しさを感じさせる「アレグロ・スケルツァンド」の二つの部分から成るこの楽曲を聴けば、キラキラとしたアクセサリーを身に着けてでかけたくなります。ダヴィデ・フォルミザーノの輪郭のはっきりとした、でもやさしさにもあふれる音色は、素敵なブランドスーツに身を包んだ紳士を思わせます。奏者の呼吸や響く音色の流れまでクッキリと聴かせてくれるハイレゾ・サウンドで聴くことで、素敵な男性がそばにいてくれるような安心感を味わえるかも……!?

ゴーベール: ノクターンとアレグロ・スケルツァンド 

 

ソナタやシンフォニーで荘厳な建築物のようなどっしりとした作品を多く残したイメージの強いベートーヴェン(1770-1827)ですが、とてもロマンティックで繊細な人でもあり、それは多くの作品にも反映されています。この曲もそのひとつで、ベートーヴェンらしい厚みのある響き、力強さもたたえていますが、どこかキュンとしてしまうような切なさに満ちていて、なつかしさも感じさせます。アンネ・ゾフィー・ムターの深い響きをもった音色が、ベルベットのドレスを身にまとったかのような感覚を与えてくれることでしょう。

ベートーヴェン: ロマンス第2番ヘ長調 op.50 ​​​​​​​

 

誘惑に負けそうになったら ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


フランスの作曲家、マスネ(1842-1912)が作曲した、歌劇『タイス』の間奏曲です。享楽のなかに生きていたタイスでしたが、修道士アタナエルとの出会いによって信仰の道へと入り込んでいきます。ゆったりと時の流れる瞑想のなか、ヴァイオリン独奏によって奏でられるこの作品はひとりの女性のどこまでも深い愛に満ちた作品と言えるでしょう。さまざまな誘惑に負けそうになった時、静かに目を閉じてこの曲に浸ることで、まっすぐな気持ちやあきらめかけていた目標などを取り戻せるかもしれません。ハイレゾ・サウンドで響くムターの凛とした響きがそれをお手伝いします。

マスネ: 歌劇『タイス』より「瞑想曲」

 

優雅な香りを楽しみ、上質な眠りでリフレッシュ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


フランスを代表するオペラ / バレエ作曲家、ドリーブ(1836-1891)による、敬虔なヒンドゥー教徒であるラクメの悲恋を描いたオペラからの二重唱です。ラクメが侍女のマリカとともに、花が咲き乱れ、鳥の歌声が聞こえる小川のほとりで歌います。ジャスミンやバラが咲き乱れる美しい風景のなかで歌われるこの曲は、聴いているだけで優雅な香りが漂ってくるようですが、ハイレゾ・サウンドによって森麻季さんと林美智子さんの歌声がよりクリアに響くことで、香りの華やかさが増すような感覚になることでしょう。

ドリーブ: オペラ『ラクメ』より「花の二重唱」


ドイツに生まれ、のちにフランスに帰化した作曲家であるオッフェンバック(1819-1880)の最後の作品であるオペラからの二重唱です。物語は、詩人で音楽家のホフマンが恋した3人の女性とのエピソードを語るという形で進みます。この曲は危険な香りのする高級娼婦ジュリエッタが学生ニクラウスとともに魅惑的な夜の情景を歌います。美しさは上質な眠りによってもたらされます。ぜひ眠りのおともにこの曲を聴いていただき、素晴らしい夢を見て、翌日をまたキラキラとした笑顔で迎えてください。こちらも森麻季さんと林美智子さんの優美な歌声をハイレゾ・サウンドでお楽しみいただけます。

オッフェンバック:オペラ『ホフマン物語』より「ホフマンの舟歌(美しい夜、おお恋の夜)」 ​​​​​


​​いかがでしたか?魅力的な音楽は美しいものを色鮮やかにイメージさせ、お聴きになるみなさんの心や頭のなかにある素敵なものを呼び起こしてくれるはずです。輝くばかりの美しさにあふれたこれらの作品を日常に取り入れて、ぜひ内側からあなたのキレイを目覚めさせてください。次回更新は3月2日(金)、「イライラを撃退! ストレス解消にピッタリなクラシック」をご紹介いたします。​​​​​​​