ハイレゾで味わうクラシック vol.9 ~イライラを撃退!ストレス解消にピッタリな作品~


寒い日が続きますね……。寒いとそれだけでも気分が落ち込んでしまうのに、日常ではいろいろなイライラにも襲われてしまうことも多いですよね。ということで、今回は襲い掛かる敵のようなストレスに立ち向かうあなたを応援する、スピーディでダイナミック、ビート強めの作品をご紹介。最後には戦うあなたを優しく癒してくれるメロディもご用意しています。イライラや不安と戦うお守り代わりに聴いてくださいね。

ストレスを吹っ飛ばす! 激しくエキサイトな楽曲 


超絶技巧を誇るピアニストであり、作曲家でもあったリストの恐るべきテクニックが存分に盛り込まれた作品です。動きにくい薬指や小指にも高速の動きが要求されるなど、細かい音符が楽譜に所狭しと並べられています。自分で弾くとなるとかえってストレスがたまりそうな(!)難曲ですが、“ヨーロッパでいちばんチケットのとれないピアニスト”とも言われているラン・ランはこれを余裕で、しかも豪華絢爛に聴かせてくれます。ハイレゾ・サウンドで聴けば、限界の速さを誇るジェットコースターに乗っているような気分がさらに盛り上がるはず。一気にストレスを吹き飛ばしてしまいましょう!

リスト: 半音階的大ギャロップ変ホ長調 S.219 


フランスの作曲家、ベルリオーズによる、自身の失恋体験を描いた標題音楽です。全5楽章から成り、のちにベルリオーズの結婚相手となる女優、ハリエット・スミスソンを表わす旋律が楽曲のあらゆるところに登場します。魔女たちの不気味な踊りをオーケストラの全楽器がありったけの音量で圧倒的なクライマックスを構築していくこの作品、ハイレゾで聴けば魔女たちの足取りがもっとリアルに感じられ、ストレスもおびえていなくなってしまうかもしれません!

ベルリオーズ:『幻想交響曲』第5楽章「魔女の夜宴の夢」


紀元前にウクライナを中心に活動していたイラン系遊牧騎馬民族および遊牧国家である“スキタイ人”の兵士ロリーと、スキタイ人たちが信仰する太陽神の娘アラをめぐるバレエ作品として書かれる予定でしたが、種々の事情から組曲として作曲されました。邪神チュジボーグと7匹の悪魔による踊りのシーンということで不気味さいっぱいなのですが、力強いリズムと切れ味鋭いリズムは圧倒的なパワーであなたの踊りを誘発し、“ストレスってなんだっけ?”状態にしてくれるはずです。踊りすぎ注意!?

プロコフィエフ: スキタイ組曲『アラとロリー』より「邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り」


2017年から18年にかけての〈東急ジルベスターコンサート〉のカウントダウン曲としても使用されたので、記憶に新しいかたも多いかもしれません。ロシアの作曲家ムソルグスキーが、亡くなった建築家 / 画家の友人の遺作展で10枚の絵から着想を得て書いた10曲から成るピアノ組曲で、のちにフランスの作曲家ラヴェルがオーケストラのために編曲しました。ピアニストにとっては腕の見せどころが多い難曲、オーケストラにとっても重要なレパートリーとなっています。今回はその曲集から2曲を。「バーバ・ヤガの小屋」は冒頭からパワー全開! のリズミカルさが魅力で、「キエフの大門」は威厳を感じさせるスケールの大きさが感動的です。“負けてられない!”ということがあるとき、これを聴けばあなたの最高の応援団となって、さまざまな困難に打ち勝つお手伝いをしてくれるはずです。ドゥダメルの指揮によるパワフルなオーケストラ版と、ブニアティシヴィリのダイナミックかつキラキラとした音色でのピアノ版、ぜひ聞き比べで楽しんでみてください。どちらもハイレゾ・サウンドによる奥行きある音色によって、作品の力強さをより味わうことができるはずです。

♪ムソルグスキー: 『展覧会の絵』より「バーバ・ヤガの小屋」「キエフの大門」(聞き比べ)

グスターボ・ドゥダメル指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
組曲《展覧会の絵》: 鶏の足の上に立つバーバ・ヤーガの小屋
組曲《展覧会の絵》: キエフの大門

カティア・ブニアティシヴィリ(p)
組曲「展覧会の絵」:にわとりの足の上に立つバーバ・ヤーガの小屋
組曲「展覧会の絵」:キエフの大門

 

ゆりかごのような優しさの和音に包まれて​​​​​​​​​​​​​​


今回はストレスを“吹っ飛ばす”系の激しい作品が並びましたが、癒されたり、静かにゆったり過ごしてストレスと向き合いたいときもありますよね。そんなときはショパンの美しいメロディとうっとりするような和声が存分に楽しめるこの作品を。右手が奏する優しく、聴いていると心がすうっと透き通るような気分になるメロディが魅力ですが、左手の奏でる音に耳を澄ませると、じつは最後で少し変化する以外はまったく同じ和声の伴奏になっています。これがゆりかごのような効果を発揮し、いつの間にか優しく穏やかな気分にさせてくれるヒミツです。外山啓介さんのあたたかく包み込んでくれるような音色をハイレゾ・サウンドで心ゆくまでご堪能ください。

ショパン: 「子守歌」op.57 

 

現代社会では“ノー・ストレス”で生きることは難しいですよね。でも音楽をおともに向き合うことで、上手に心と体のバランスをとっていけば、イライラや悲しいことと戦う自分のことをもっと好きになれるのではないでしょうか。ぜひ素敵な音楽たちからたくさんパワーをもらって、あなたのエネルギーにしてくださいね。次回は4月6日(金)更新予定で、「新生活を彩るキラキラ☆クラシック」(仮)をお送りいたします。お楽しみに!