ロイ-RöE- 芳しき“違反”の淵へと誘う『ストロベリーナイト・サーガ』オープニングテーマ。


2018年10月に1st Digital EP『ウカ*』で、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル“unBORDE”からデビューを果たしたばかりのシンガーソングライター、ロイ-RöE-が1st Digital Single『VIOLATION*』をリリースした。フジテレビ系 木曜劇場『ストロベリーナイト・サーガ』のオープニングテーマに抜擢された今作では、デビュー作とは真逆とも言える雰囲気を醸し出している。ドラマの世界観に寄り添いつつも、サウンドからアートワークに至るまで作品全体で“ロイ-RöE-”の意志と美学を表現した本作の魅力に迫るインタビュー。

「その人のいる環境やバックボーンの違いで“アメ”にも“ムチ”にも聞こえるようなものを作りたい」


今回の「VIOLATION*」を聴いた時に、ナイトメア(※悪夢)感があるなと思ったんです。ドリーミーなんだけれども、どこか違和感が残るというか…。

ロイ-RöE-(以下ロイ):“気持ち悪い”感じが好きなんですよね。たとえば映画の『パプリカ』(2006年/日本)とかもそうなんですけど、ちょっと気持ち悪くて、後味が悪いというか…でもちゃんと美しさもあるようなものが好きで。そういうところが(今回の楽曲にも)表れているのかもしれないです。

昔からそういう世界観の作品が好きなんですか?

ロイ:いや、曲を作り始める前はもっとミーハーでしたね。その頃はまだ“美しさ”といったことは、特に考えていなくて。『ドラゴンボール』(漫画・アニメ/鳥山明)がすごく好きで、18号(※人造人間18号/『ドラゴンボール』の登場人物)になりたいとしか思っていなかった(笑)。

確かに今のルックスは18号っぽいですけど(笑)。

ロイ:18号に憧れて、金髪にしています(笑)。

1st Digital Single『ウカ*』の時とは、アーティスト写真の雰囲気も変わったように思うのですが。

ロイ:『ウカ*』の時は“無垢”で“純粋”な感じにしたくて。一番最初の作品なのでまだまっさらで、これから何色にでも染まっていける感じを出したかったんです。でも今回は真逆な感じにして、二面性を出せたら良いなと思っていて。自分のテーマが“アメとムチ”なので、そこを1作目と2作目で上手く表せたら良いなと思っていました。

“アメとムチ”がテーマなんですね。

ロイ:たとえば“光と影”みたいな、二面性があるものを表現したいんです。女の子って化粧をしてキレイに見せたりするけど、その裏にはドロドロとしたものがあったりもするじゃないですか。そういうところが面白いなと思っているし、好きなんですよ。だから、自分でもそういうものを表したいと思っていて。

表はキレイでも、その裏には真逆のものが隠れていたりする。

ロイ:「泡と鎖*」(『ウカ*』収録)では“一緒にいて”とかもっともらしいことを歌っているけど、よく中身を見てみれば“ムチ”なんですよ。すごくワガママというか。そういう部分で意識的に“こう言ったほうが面白いな”とは考えていますね。聞き手によっては、その人のいる環境やバックボーンの違いで“アメ”にも“ムチ”にも聞こえるようなものを作りたいんです。​​​​​​​

どの歌詞もアメ”と“ムチ”のどちらにも解釈できるものにしているのかなと。​​​​​​​

ロイ:そうですね。“押し付け”っぽいものが好きじゃなくて。同情や共感を求める感じのものは、あまり好まないんです。それよりも歌詞を見て、そこから想像を膨らませられるもののほうが楽しいから。自分もそういう方向で行きたいですね。

 

RöEインタビュー(1)

 

「これは面倒くさい歌なんですよ(笑)。ひねくれているから、遠まわりしまくるっていう」


「VIOLATION*」はTVドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』のオープニングテーマなわけですが、ドラマの世界観を汲み取りながらもロイさん独自の膨らませ方や解釈をしているわけですよね?​​​​​​​

ロイ:MVもそこは意識していて、どこまで『ストロベリーナイト・サーガ』の要素を入れるかということは考えました。ただ、イチゴは欲しいと思っていて。キレイだし、自分の表現したいこととも合っていたから。曲自体も『ストロベリーナイト・サーガ』に寄り添いながら、その中でどこまで表現しようかと考えましたね。あと、MVについてはテーマがもう1つあって…。​​​​​​​

もう1つのテーマとは?​​​​​​​

ロイ:(自分が)“少女から女性に変わりゆく間の危うい部分を描きたい”と言ったら、MV監督の方が“じゃあ、少女が女性になる儀式みたいなストーリーにしたら良いんじゃないか?”と提案してくださって。『ミネハハ 秘密の森の少女たち』(2005年/イタリア・イギリス・チェコ合作)というちょっとグロテスクで、少し気分の悪くなるような映画があるんですけど、そういうものをオマージュするのも良いんじゃないかという話になったんです。​​​​​​​​​​​​​​

確かにグロテスクな美しさのようなものを今回の楽曲から感じました。

ロイ:『ストロベリーナイト・サーガ』はグロテスクな描写もあるんですけど、そのグロテスクなところをいかに美しく見せるかというところにこだわっているように感じていて。ただグロいだけじゃない、アート的な演出とかがすごく好きなんです。だから、そこは絶対に壊したくないなと。もし自分がグロいだけの曲を作ったら、ドラマのオープニングで流れた瞬間に『ストロベリーナイト・サーガ』がせっかくこだわっていた部分も弾け飛んでしまうなと思ったから。そこは絶対に尊重したい部分でした。​​​​​​​

なるほど。

ロイ:あと、姫川(玲子 ※主人公)の“弱いけれど、か弱い部分がない”という良さも表したくて。“ただ病んでいるだけじゃないし、か弱くはない”というところは絶対的な軸として置いていましたね。自分も“かわいそう”とか“悲しい人”と思われるのがイヤだし、(人前で)悲しむのが恥だと思っているから。そういうところから、“違反”という意味の「VIOLATION*」という曲を作ったんです。​​​​​​​

自分の弱い部分を人に見せることを“違反”と捉えているんですね。​​​​​​​

ロイ:歌詞の中でも“わたしは凍えている”と書いているけど、最後は“なんとなく凍えている”にしているんです。“色んな理由はあるけど、結局は寒いだけかな”と強がっている感じというか。“わかっているけど、(それは)違反だからわからないふりをする”みたいなところを表しました。だから、これは面倒くさい歌なんですよ(笑)。ひねくれているから、遠まわりしまくるっていう。​​​​​​​

そういうところも自分自身と重ねられるんでしょうか?​​​​​​​

ロイ:そうですね。だから、この曲では全然取り繕う必要がなかったんですよ。明るい曲だったら絶対にどこか取り繕わないといけない部分があると思うんですけど、(この曲は)自分ともピッタリ合うというか。自然に寄り添うことのできる作品だったから、そこはすごく良かったですね。

 

RoEインタビュー(2)

 

「“ギリギリのところを攻めてきたな”というものが来たら、キュンとなります(笑)」


今回はFace 2 fAKEと楽曲を共作したわけですが、それによって自分のイメージをより具現化できたところもある?​​​​​​​

ロイ:たぶんFace 2 fAKEのお2人とは、真逆だと思うんですよ。作る曲も真逆だし、性別も逆だし…。そんな中で初めて一緒にやったのに、とても寄り添ってくれたというか。“これは違うな”と思うことが何1つなくて、ちゃんと私の意見も尊重して理解しようとしてくれたのがすごく嬉しかったです。​​​​​​​

ロイさんの意志を汲み取った上で、一緒に作業してくれた。​​​​​​​

ロイ:“この曲、良いね~”とか“こんなAメロ、ロイにしか書けないよ”みたいな感じで、褒めるのも上手くて(笑)。自信もついたし、“ここがロイらしいんだ”とわかったところもありました。1人でやっていたら、“どこが自分らしいか?”もわからないじゃないですか。そういうところにも気付かせてくれたので、すごくためになりましたね。​​​​​​​

誰と一緒にやるかによって変わることのできる自由さは、ソロアーティストの強みだと思います。​​​​​​​

ロイ:そうですね。いっぱい変わりたいけど、芯はブレたくないという想いがあって。そこも“バトル”だと思うから。誰かと共作することで“その人っぽくなる”んじゃなくて、“絶対に自分のほうがクセを出してやる!”という気持ちはあります。だから今回の「VIOLATION*」も“ロイの曲”にしたいし、ちゃんとロイの曲になるようにFace 2 fAKEのお二人も(配慮)してくださいましたね。​​​​​​​

今回の楽曲にはどう展開していくか読めない、スリリングさも感じました。​​​​​​​

ロイ:“読める方向には行きたくないな”という想いはありますね。ドラマや映画でも、(先が読めると)冷めるじゃないですか。だから、どうなるのかわからないほうが良いなと思うし、“期待をどう裏切ろうかな”とはいつも考えています。​​​​​​​

タイアップ作品の世界観に寄り添いつつも、それだけにとどまらない楽曲を作りたいわけですよね。​​​​​​​

ロイ:自分は縛られるのが好きなんです。その中で自由を見出すのが面白いというか。逆に“自由にして”と言われたら、(何をやったら良いのか)わからないんですよ。色々と規約があってギチギチに縛られている中で“いかに自分の個性を出すか”ということをやっているほうが、すごくカッコ良いなと思うから。​​​​​​​

ある程度のルールがある中で、“違反”しない程度にギリギリのラインをつくことに楽しさを感じているのかなと。​​​​​​​

ロイ:そういうところにすごくスリルを感じているし、興奮しますね。だから自分もクリエイターの方に衣装やアートワークを依頼した時に、相手の方が“自我を見せてきたな”と感じると嬉しいんですよ。“ギリギリのところを攻めてきたな”というものが来たら、キュンとなります(笑)。​​​​​​​

そういう意味でも、今回は満足のいくものが作れたのでは?​​​​​​​

ロイ:今回の「VIOLATION*」は曲も自信があるけど、周りを固めてくれたアートもすごく良いんです。アーティスト写真もジャケット写真も良いし、衣装も可愛いし、MVにもすごく力を入れて。全部、誰かに任せきりにするんじゃなく、ちゃんと自分の意志を伝えるようにしました。これだけ自信作ができたのに、(関わる人間の持つイメージが)違ったら中途半端なものになるなと思ったから。全てのクリエイターと意思の疎通はしましたね。​​​​​​​

ちゃんと全ての部分に、ロイさんの意志やイメージが反映されたものになっている。​​​​​​​

ロイ:そうですね。後から“これ、本当はあまり好きじゃないんだよね”みたいなことは絶対に言いたくないから。(誰かに)“見たよ”と言われた時に、“めっちゃ良くない?”と言いたいんですよ。実際に今も言っていますけど(笑)、そういう自慢できるものをこれからも作っていきたいですね。

 


 

【プロフィール】
頭から離れないメロディーと個性的な歌詞を紡ぎ出すシンガーソングライター。
中学卒業後から独学で作曲を開始。
2017年夏に行われた、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル<unBORDE>が主催するライブイベント
<unBORDE Summer Xmas Party 2017>において、レーベルへの所属を発表。
2018年、<unBORDE LUCKY 7TH TOUR>に出演。
10/19、1st Digital EP「ウカ*」をリリース、unBORDEよりデビューを果たす。

Official Site
http://roeworld.com/

Warner Music Japan Site
https://wmg.jp/roe/

【リリース情報】
Digital Single『VIOLATION*』
2019.05.22 Release

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【ライブ情報】
6/18(火) 月見ル君想フ
6/30(日) 下北沢LIVEHOLIC