目指せ!グルーヴマスター 弓木英梨乃が教える「カッティング超入門」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


ブラッシングや休符を交えながら、音を“カット=切る”ことでリズミカルな効果を演出する奏法、それがカッティングだ。今回はカッティングの名手、弓木英梨乃にその極意を聞いた! グルーヴィな演奏満載の動画も要チェック!

 >デモプレイ動画はコチラ!  

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「ギタープレイ全般に活きる」
「私、カッティングがすごく好きなんですけど、何でそんなにハマッたかというと、ギターを弾く上ですごく基礎になる部分が多いなと思ったから。カッティングの手首の振りはストロークのときに役立つし、ミュートの仕方はギターソロを弾くときに活きるから、ギタープレイ全般に活きるんですよね。すごくカッコいいギターソロよりも、カッティングのほうが勝つことがあるくらい大好きです。何かあったらすぐにカッティングを弾くくらいなので(笑)」(弓木)

「体全体でノルことが大事!」
「カッティングを弾くときに大事なことは、リズムを体で取りながら弾くこと。私も家では鏡の前で体を動かしながら弾いてます(笑)。あとは、CDに合わせたりメトロノームに合わせて弾くのも大事。今回は右手と左手を別々で練習しますが、それらの動きが一致しないといけないので、そういう意味でも体でリズムを取ることが必要なんです」(弓木)
 

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 コツ①  ピッキング動作は“うちわ”を仰ぐように
「右手のピッキングの動きは、うちわを仰ぐ動作と同じ。うちわを仰ぐときって、完全に下方向までは手首を返さないじゃないですか。ピッキングもそれと一緒で、手首を下まで完全に振り切ってしまう動作は余計な動きなんです。効率が悪い。弦がある部分だけを狙って、うちわを仰ぐように弾くのを意識してから、私もカッティングが上手くなったと思います」(弓木)

 ダウンピッキング 

カッティング超入門(1)

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 アップピッキング 

カッティング超入門(2)

▲肘をボディに置き、手首の回転を意識して右手を振るようにしよう。力んでしまうとリズミカルなカッティングは弾けないので、脱力が大事!


 コツ②  右手の振り幅は一定をキープ!
「さっきの右手の効率化の話にもつながりますが、右手は一定の振り幅で動かしたほうがいいですね。右手の動きのバラつきを整えることで音粒を揃えることができますし、テンポキープにもつながると思います」(弓木)

 振り幅を保つことでリズムキープ 

カッティング超入門(3)

▲ダウン/アップピッキング時の右手の振り幅を、意識しながら弾くことが大事。なるべく一定になるよう気を付けよう!


 コツ③  6本の弦を1本の弦だと思って弾こう
「“あ、自分の演奏すごく変わったな!”って思った瞬間が、手首を柔らかくしてうちわを仰ぐ動作を意識したときと、6本ある弦を“1本の弦だと思う”ようになってから。6本の弦だと思うと、ピックを当てるのがバラバラになっちゃうんですけど、1本の弦だと思って弾くと“塊”感でザクッと鳴らせるし、そのためにすごく右手をシャープかつスピーディに振れるようになりました」(弓木)

 × 6本の弦だと思うのはNG 

カッティング超入門(4)

× 6本の弦だと意識すると…
・ピックを当てるのがバラバラに
・右手の振りが遅くなりがち
・音の粒が不揃いになりがち

 ◎ 1本の弦だと意識して弾く 

カッティング超入門(5)

◎ 1本の弦だと意識すると…
・右手をスピーディに振れる
・塊感のあるトーンが出せる
・ピックの当て方を揃えることができる


 コツ④  ピックは垂直に当たるように
「右手は弧を描くように振るんじゃなくて、できるだけ垂直に振り下ろすように。弧を描くように振ると、ピックが弦に対して斜めに当たってしまうので、トーンにキレが生まれないしピックがズレてしまう原因にもなるんです。カッティングって右手をずっと振っているので、演奏中にピックがズレると持ち直す時間がないんですよね」(弓木)

 × 弧を描くように右手を振る 

カッティング超入門(6)

▲弦に対してピックが斜めに当たり、ピックがズレる原因に。


 ◎ 弦に対して垂直に当てる 

カッティング超入門(7)

▲ピックを垂直に当てると、トーンが揃い、ピックのズレを防止できる。

 

 右手特訓フレーズ 
右手フォーム&音のキレが向上!
「右手に特化した練習で、キレのあるピッキングができるようになります。左手は弦に軽く触れたミュート状態で弾いて、音にバラつきがないか、まとまって音が鳴っているかを確認。ダウン/アップピッキングで同じ音量、トーンで弾けるようになるのが理想です!」(弓木)

カッティング超入門(8)

 

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 コツ①  カッティングのときのミュート方法
「ミュートというのは、弾かない弦に左指を触れておくことで、ノイズや余計な音が出ないようにすること。ミュートで大事なのは、左手は弦から離れる瞬間がないということです。つまり、弦を押さえているか弦に触れてるかのどちらか。あと私は手が小さくて、親指で低音弦をミュートすることができないので、たとえば3弦を弾く場合は、低音弦を弾かないように3弦を狙って弾きます」(弓木)

 指の腹部分などミュート 

カッティング超入門(9)

▲4弦を弾く場合は、人差指の腹部分で1~3弦、親指で低音弦に触れてミュートしよう。


 中指・薬指を使ったミュート 

カッティング超入門(9)

▲手が小さく親指で低音弦をミュートできない人は、写真のように中指や薬指でミュート。


 コツ①  キレの良し悪しは音の長さにあり
「カッティングの練習で私がすごく意識していたのは、とにかく音を短く切るということ。音を長く伸ばすのは、弦を押さえたままにすればできるんですけど、音を短く切る動作は練習しないと難しいんですよね。音をいかに短く切るかで、カッティングのキレ、軽快さが左右されます。弾いた瞬間に左手を浮かせる(触れる)くらいの気持ちを心がけましょう!」(弓木)

 

カッティング超入門(10)

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カッティング超入門(11)

▲弦を弾いた瞬間に左手を脱力して、弦に軽く触れた状態にする(写真右)。音をいかに短く切るかが上達のカギ。

 

 左手特訓フレーズ 

本当は教えたくない!? カッティング万能フレーズ
「シンプルなんですけど、アクセントを1拍ずつズラしていく練習。カッティングを弾けるようになりたいなら、これだけやればOK!っていう練習です(笑)。右手特訓フレーズの発展形で、音を出す場所が1小節ごとにズレていきます。音を短く切りましょう!」(弓木)

カッティング超入門(12)

 

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「前半がコードカッティングで、後半が単音カッティング。前半は3つ塊でアクセントがズレていくので、リズムが崩れないように、ちゃんと拍を取りつつアクセントを意識してください。音も短く切るようにしましょう。後半の単音カッティングは、弾く弦以外の弦をしっかりミュートして、全弦鳴らしても弾く弦しか鳴らない状態が好ましいです。まずは、1小節単位で苦手な部分を重点的に練習するのもいいですね」(弓木)

カッティング超入門(13)

 

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カッティング超入門(14)

 

  コーラス 
味わい深い音色や雰囲気重視のときに使用
モジュレーション系の一種で、うねりの効果を加えることで音に広がりを演出するペダル。写真のモデルはボスのCH-1。「カッティングでは雰囲気重視のときに使いますね。古臭い感じというか、味わい深い音色にしたいときに使います」(弓木)

  オーバードライブ 
ロックでワイルドなカッティングで使用!
歪み系の一種で、ロックやポップスなど幅広い音楽で用いられるマイルドな歪みが特徴。写真のモデルはボスのOD-2。「ロックでワイルドなカッティングのとき、迫力を出したいときに使いますね。ワウとの相性も最高にいいです」(弓木)

  コンプレッサー 
音を整えることで音の粒やサステインを豊かに!
フィルター系の一種で、音の波形を圧縮して整えることで音の粒を揃えたりサステインを伸ばすことが可能。写真のモデルはボスのCS-3。「コンプを使うと、クリーンカッティングでアタックを強調させることができます」(弓木)

  ディレイ 
コーラスとの同時使用もオススメ!
空間系の一種で、やまびこ効果を再現することで奥行きのある音色を演出。写真のモデルはボスのDD-6。「フワっとさせたいときに使います。フィードバックを上げすぎると、音がグチャグチャになるので控えめに」(弓木)

  ワウ 
ペダルを踏むことで帯域が変化!これぞファンク!な音色
フィルター系の一種で、ペダルを踏むことでフィルターをかける帯域を変化。“ワウワウ”という独特な音色が特徴。「ワウはファンキーな雰囲気を出したいときに使います。コードカッティングでも単音カッティングでも使いますね」(弓木)

 


 

【PROFILE】
ゆみきえりの/90年、大阪出身。09年、シングル「LφST [ロスト] 」でメジャーデビュー。13年からKIRINJIの正式メンバーに。さまざまなアーティストのライブサポートや、楽曲提供、アレンジ制作など幅広く活躍している。

【LIVE INFORMATION】

カッティング超入門(15)

弓木トイ“おっとっトイ MYSTERY TOUR”
1st アルバム『みんなおもちゃになりたいのさ』リリースを記念して、弓木トイ初の東阪ツアー“おっとっトイ MYSTERY TOUR”の開催が決定!

― 東京公演 ―
◆2019年7月19日(金)
東京・duo MUSIC EXCHANGE
Open 18:15 / Start 19:00

― 大阪公演 ―
◆2019年8月1日(木)
大阪・ESAKA MUSE
Open 18:15 / Start 19:00

■CAST:弓木トイ(Vo&Gt)、鈴木正人(Ba)、小田朋美(Key)、石若 駿(Dr)
■チケット料金:¥4,850-(税込/全自由/ドリンク代別)
■一般販売:2019年5月19日(日)
★チケットぴあ:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1918419
★ローソンチケット:
https://l-tike.com/search/?lcd=72882%2C54389
★イープラス:
https://eplus.jp/sf/detail/2936240001?P6=001&P1=0402&P59=1
■問:ネクストロード 03-5114-7444


(月刊Go!Go!GUITAR 2016年11月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海