北欧周遊♪エモさ際立つギター・ポップ・トリップ【音楽で廻る世界の旅】


人生を豊かにしてくれる音楽と旅——。
観光地を巡り、美味しいものを食べるだけじゃ勿体無い。現地の音楽、バンドに注目すれば、旅の思い出は何倍も素敵な記憶になる。世界的に移動や行動が制限され、旅行どころじゃなくなっている今だからこそ、音楽好きの皆さんに“音楽で廻る世界の旅”をご提案。音を聴き、その音を生み出した地への旅を妄想するお手伝いになれば、これ幸い。
IKEAやマリメッコに代表されるデザイン大国であり、独自の感染対策でも注目される北欧エリアの音で、非日常感を味わう旅はいかがでしょう。まずは、日本から直航便のあるフィンランドのヘルシンキに入り、スウェーデン、ノルウェーを巡ります。この3カ国に共通する音楽は、ギターポップ! 北欧らしい哀愁のメロディと、エモーショナルなバンド・サウンドに癒されて頂きたいと思います。

日本からもっとも近いヨーロッパ! 旅の始まりはフィンランドヘルシンキ

 

実は、日本からもっとも近いヨーロッパがフィンランドだってことをご存知でしたか? 成田からフィンランド航空の直行便で約10時間の距離です。まずは、首都のヘルシンキへ行ってみましょう。この街の音楽シーンというと、ヘヴィ・メタルが世界的に有名ですが、ギター・ポップも少なからず存在します。

最初は、ヘルシンキを拠点に活動する4人組バンド、ローン。ザ・スミスやザ・リバティーンズといったUKのギター・ロックに影響を受けたというだけあって、研ぎ澄まされたサウンドとエモーショナルなメロディのミックス具合は見事。スタイリッシュな音作りは、北欧デザインにも通じるセンスの良さを感じます。

Roan「Tell Me」


お次は、同じくヘルシンキのバンド、ディレイ・トゥリーズ。2007年に結成され、2009年にデビューしています。シンセサイザーを効果的に多用したギター・サウンドが特徴で、空間的な広がりのあるサウンドが印象的。4人のアンサンブルで、シューゲイザーなどから影響を受けた独自のドリーム・ポップを展開します。

Delay Trees「Brightest Eyes」


続いては、2011年にデビューしたザ・ニュー・タイガース。バルト海に面したトゥルクという町を拠点にしている4人組です。この曲は、ノイジーでエモーショナルなバンド・サウンドでありながらも、どこかレトロなオルガンの音色を差し込むあたりが技ありといった印象。港町らしい男気を感じます。

The New Tigers「Chewing Gum」


ヘルシンキからストックホルムまでは飛行機で1時間。でもここではあえてゆっくりと、フェリーに乗って船旅を楽しんでみては。年間通して毎日運行している定期客船は、夕方に乗り込めば次の朝には到着します。小さな子供連れの家族には、ムーミンのデザインがかわいい客室「ムーミンファミリールーム」などもあり、家族サービスにも最適です。

 

バルト海をクルーズ! 音楽大国スウェーデンストックホルム

 

スウェーデンは、日本でもよく知られた音楽大国。あのABBAを輩出したことでも知られています。90年代にはカーディガンズを始め、スウェディッシュ・ポップのブームもありました。
 


さて、そんなスウェーデンのギター・ポップでまず紹介したいのが、リーダーのカール・ラーソンを中心としたラスト・デイズ・オブ・エイプリル。20年以上も活動を続けるベテラン・バンドで、もともとパンクからスタートしたというだけあって、エモーショナルながらも泣きのメロディが秀逸。ちょっぴり情けない男性ヴォーカルは、ギター・ポップならではといえるかもしれません。

Last Days Of April「The Artist」


ストックホルムから列車で3時間ほど行った場所にあるスウェーデン第二の都市ヨーテボリ。ここから出てきたのが、アルパカ・スポーツです。もともとはアンドレアス・ジョンソンのソロ・プロジェクトでしたが、現在はリーセル・ミットニックを加えた2人組ユニット。渋谷系を彷彿とさせるわかりやすいポップさが魅力です。

Alpaca Sports「Nobody Cares But Me」


ストックホルムと並ぶ文化都市マルメを代表するヤストは、2007年結成、2012年にデビューしました。粗削りのギター・ロックを甘い蜜でコーティングしたようなサウンドが美しく、きらびやかな雰囲気を持ち合わせています。少しなよっとしたヴォーカルと、ドリーミーな世界観の融合がたまりません。

Yast「Together Forever」



スウェーデンの首都ストックホルムからノルウェーの首都オスロまでは、飛行機で1時間、高速鉄道でも5時間程度。少し時間はかかりますが、リーズナブルな料金に加え、Wi-Fi&コンセント完備、シートも広くて快適だと評判の列車の旅がおすすめです。

 

SJ High Speed Trainでノルウェーオスロに到着!

 

ノルウェーの大スターというと、なんといっても「テイク・オン・ミー」の大ヒットを飛ばしたa-haでしょう。また、クラシック、ジャズから民族音楽まで多様な音楽が盛んです。
 


ザ・ロッホ・ネス・マウスは、そんなのノルウェーの音楽シーンでもっとも注目したい一組。男女のツイン・ボーカルを全面に押し出し、とにかく甘美なメロディとソフトなサウンドが魅力。プリファブ・スプラウトやエヴリシング・バット・ザ・ガールなどからの影響を多大に受けた、ネオアコやギター・ポップの王道です。

The Loch Ness Mouse「Bamboo (Love Is Not Cool)」


一方、ノルウェー第二の都市ベルゲンで活躍するカックマダファッカも要チェクのバンド。キングス・オブ・コンビニエンスのアーランド・オイエがプロデュースしたことでも知られ、適度に抑制されたロック・サウンドとポップなメロディが独特。日本でも徐々に人気を集め始めています。

Kakkmaddafakka「Naked Blue」


昨今話題なのが、ドリーム・ポップ・ユニットのボーイ・パブロ。中心のニコラス・パブロ・ムニョスはデビュー時は10代と非常に若く、溢れんばかりの才能で曲作りを行っています。こちらもベルゲン出身で、さらにルーツはラテン・アメリカだというのも、親しみやすさの理由かもしれません。間違いなく、今後の北欧シーンを牽引する存在になるはずです。

Boy Pablo「Sick Feeling」


さて、北欧3国を巡るギター・ポップの旅はいかがでしたでしょうか。それぞれ個性的ですが、どれも透明感があってメロディアスなのが共通点。澄んだ空気に似合う音楽だといえます。ぜひ、白夜の風景を思い浮かべながら聴いてみて、旅の候補地に加えてみてください。

 

ワールドミュージックトリップ(1)

 

筆者のInstagramでは、「おうちにいながら旅気分!」というテーマで世界のバーチャル旅をお届けしています。​​​​​​​

https://www.instagram.com/tabirhythm/

みなさんの気が少しでも晴れますように。Bon Voyage!

 


 

Text:栗本 斉
Edit:仲田 舞衣