新曲満載で紡がれる、新たな物語の幕開け。KAMIJO JAPAN TOUR 19 “PERSONA GRATA”初日レポート。

大浦実千

KAMIJO(Versailles)、夏のツアー「JAPAN TOUR 19 “PERSONA GRATA”」が7/26にマイナビBLITZ赤坂で開幕した。物語のドラマティックな展開と共に、次々と新曲を披露するという今回のツアー。開催直前の公式Twitterでも“本編は新曲の方が多い”とまで本人がつぶやいていただけに、ファンは期待が高まらずにいられないだろう。現在のKAMIJOのライヴスタイルだからこそ成し得る新しい形のツアー、その初日のレポートをお届けする。

LIVE REPORT

KAMIJOライブレポート(1)

“諸君、そろそろ物語の始まりだ”というアナウンスが流れると場内が暗転し、ステージ後方の大きなモニタにニューヨークの夜景が映し出される。その次に表示されたのは、「サンジェルマン伯爵はアメリカへと、エミグレを持ち込んだ」という一文。どうやら今回の物語は、アメリカを舞台にしているようだ。

なお、“エミグレ”とは、蘇らせた人間の血を発電させて新エネルギーに変えるという“エミグレ制度”のこと。2018年3月にリリースしたアルバム『Sang』で登場した概念だが、今回はその続きの物語となっているらしい。画期的な新エネルギーの登場に沸くアメリカの報道番組を模した映像の後、“長官”と呼ばれる人物が何者かに撃ち殺されるという急展開が冒頭から訪れる。

銃声が場内に大きく響いた後、ヘヴィなサウンドを掻き鳴らしながらKAMIJOとバンドメンバーが遂にステージへと現れた。そして奏でたオープニングチューンは、疾走感溢れる未知なる楽曲だ。1曲目からまさかの新曲披露に熱狂するオーディエンスに向け、“さぁ、物語の幕開けだ！”と宣言したKAMIJO。畳み掛けるように放たれた「Nosferatu」ではサビで大合唱が起き、早くもフロアを一体感が包み込む。

KAMIJOライブレポート(2)

再び差し込まれた映画仕立ての映像では、先ほど殺害された人物がアメリカのエネルギー省長官であることと、エミグレ制度の導入を阻止しようとする勢力の存在が示唆される。それに対抗するがごとく“ここにいるお前たちみんなの力を見せてくれ”というKAMIJOの呼びかけに、象徴的な楽曲「Emigre」で会場全体が声を合わせて“Vive le Roi(※国王万歳)”と力強く唱えた。

そこからも間に挟まれたドラマの内容と呼応しつつ、次々とアグレッシヴな楽曲が叩き込まれていく。「Vampire Rock Star」でヴォルテージをさらにブチ上げると、“かかってこい！”とKAMIJOが観客たちを挑発。「Ecstasy」ではサビでフロアからたくさんの拳が突き上げられ、早くも絶頂を迎えてしまいそうな勢いだ。「闇夜のライオン」「Castrato」と、轟音の嵐の中を駆け抜けるような展開が続く。

長官の暗殺には(エネルギー事業の対抗馬である)シェールガス関連の企業に属する人物が関わっているらしい…という情報がドラマで明かされる中、この日初めてとなるバラード系の楽曲が奏でられる。壮大なスケール感を持った美しいサウンドに乗って、エモーショナルに歌われるのは“PERSONA GRATA”というフレーズ。もしかしたら、この楽曲こそが今回のキーとなるものかもしれない…？

続くドラマでは、物語のキーマンであるサンジェルマン伯爵と見られる人物が、アメリカ大統領との会談後に襲撃を受ける。この日3曲目となる新曲が披露された後、襲撃現場に残されていたという紋章がモニタに映し出された。それは7/24に発売されたばかりのニューシングル『Eye of Providence』にも描かれていた、中央に配置された瞳が印象的なマークだ。

そして始まったのは、荘厳なイントロから一気に激しくバーストしていく「Eye of Providence」。KAMIJOの美しいファルセットに、スリリングなハリウッドサウンドが重なる新たな名曲が本編を締め括った。モニタに流れるエンドロールの最後に現れた“Continue to next episode”の一文に、物語の行く末への期待をさらに高めたファンも多かったことだろう。

「Bastille」から始まったアンコールでは“ここから暴れようぜ！”という言葉どおり、本編以上にガンガン攻めまくる。軽やかで妖艶な「Moulin Rouge」では本編とまた違う魅力も見せつつ、ラストの「Louis ～艶血のラヴィアンローズ～」まで観客の心を躍らせ続けたKAMIJO。フロアの暗闇に観客たちの掲げる数多くの青いローズライトが咲き乱れるさまは浮世離れした美しさで、この日の終演を彩っていた。

KAMIJOライブレポート(3)

本公演中に発表されたように、10/6には「JAPAN TOUR 19 “PERSONA GRATA” FINAL」と題して、再びマイナビ赤坂BLITZ公演を実施。さらには、この日の1曲目に演奏された楽曲が10月にシングルとしてリリースされるだけでなく、そこから2020年にかけてシングル3部作が続くということで、まだまだお楽しみは終わらない。まずは映画のようにドラマティックな展開と共に、次々と新曲が披露される本ツアーのフィナーレを10/6にぜひ生で目撃して欲しいと願う。

KAMIJOライブレポート(4)