エレキギター「構え方」研究部【Go!Go! GUITAR プレイバック】


ギターの高さおよび構え方は、演奏性やトーンにも多大な影響を与える重要な要素! 本講座では、ギターの構え方を代表的な3タイプに分類し、それぞれの特徴を徹底分析。

エレキギター構え方研究部(1)

 

エレキギター構え方研究部(2)

構え方の違いとして一番わかりやすいのが、何と言ってもルックスだろう。低く構えたほうがロックテイスト溢れ、高く構えるとテクニカルプレイが中心の堅実なギタリストといった印象を与える。音楽性だけでなく見た目も大事なので、考慮して選びたい。

 

エレキギター構え方研究部(3)

ギター位置の高さを変えることで、演奏性や見た目が変わるだけでなく、ピッキングの角度(アングル)も変わる。ピッキングアングルが変わると、トーンのニュアンスや響きも変化するぞ。どのように変化するかは、実際に試してみてほしい。

 

エレキギター構え方研究部(4)

ギターを高く持つと手首の位置が上がり、ギターの高さを下げるにつれて手首の位置も下がっていく。手首の位置が上がるほど、演奏性も比例して上がる。演奏性と見た目のバランスを見つつ、ベストなポジションを見つけよう。高く持ちすぎると窮屈になることも。
 

エレキギター構え方研究部(5)

弦に対して、ピックをどのような角度で当てるかを“ ピッキングアングル”と言う。大まかに順アングル/平行アングル/逆アングルの3種類で、平行アングルを基準に考えると、順アングルはエッジの効いた音色、逆アングルは芯のある太いトーンが得られやすいとされている。

 

エレキギター構え方研究部(6)

▲3種類のピッキングアングルで自在に弾き分けられるようになると、表現力はかなり向上する。ピックを持つ人差指と親指で、ピックの角度をコントロールするのがコツだ。

 

エレキギター構え方研究部(9)

ネックの角度を水平にしたり、立てるようにして構えるギタリストも多い。これは見た目の変化が大きいが、それだけでなくピッキングアングルも変わる。ネックを水平に持つとピックが弦により平行に当たり、ネックを立てるとより弦とピックに摩擦が生じジャリッとしたトーンを得ることができる。

 

エレキギター構え方研究部(10)エレキギター構え方研究部(11)

▲ネックを立てて持つフォームと、ネックを水平にして構えるフォーム。どちらも低め(ストラップを長め)にして構えるのが特徴だが、写真の通り見た目の印象はかなり異なる。
 

エレキギター構え方研究部(13)

エレキギター構え方研究部(14)

エレキギター構え方研究部(15)

弦に対して平行気味にピックが当たる!
ストローク時の動きは、肘と手首を支点にピックが平行気味に弦に当たる。ピックを平行気味に当てることで、弦を効率良く振動させることができる。肘付近をボディに当てて弾くと、右手のフォームを安定させることができるぞ。

エレキギター構え方研究部(19)エレキギター構え方研究部(20)

エレキギター構え方研究部(21)

コード/単音弾きともに安定した押弦が可能
コードの押弦や単音フレーズのフィンガリングにおいて、高い演奏性をキープすることができる。左手首が最適な位置にまで上がるため、特にバレーコードなどで手首を無理に曲げずに(負担をかけずに)押弦することが可能となる。

エレキギター構え方研究部(22)エレキギター構え方研究部(23)

 

エレキギター構え方研究部(24)

エレキギター構え方研究部(25)

パワーコード主体のバッキングと相性抜群!
低く構える場合、ピッキングは自然と右手を振り下ろす形になる。パワーコードを主体としたバッキングとの相性は抜群で、見た目のワイルドさはさることながら、ピックと巻き弦との摩擦が増すことで迫力のある音色を得ることができる。

エレキギター構え方研究部(26)エレキギター構え方研究部(27)

エレキギター構え方研究部(28)

バレーや単音弾きの押弦レベルは最高難易度!
ネックの位置が下がるため、自然と左手が伸びたフォームに。バレーコードや単音(特にハイポジション)の押弦の難しさが一気にハネ上がる。しかし、それを弾きこなしてこそ漢!という美学も存在するので、一度試してみる価値はアリ!

エレキギター構え方研究部(29)エレキギター構え方研究部(30)

 

エレキギター構え方研究部(31)

エレキギター構え方研究部(32)

逆アングルで弾くことで絶品のトーンを獲得
肘を支点に動かすのはオーソドックスタイプと同じだが、逆アングルピッキングがやりやすくなるのが特徴。カッティングなどでは高音弦を強調させるように弾くことができ、単音弾きではリッチでふくよかなトーンを演出することができる。

エレキギター構え方研究部(33)エレキギター構え方研究部(34)

エレキギター構え方研究部(35)

左手首の位置が上がることで演奏性が急上昇!
左手の位置がかなり上がるため、押弦フォームはだいぶ安定する。バレーコードや、ネック裏に親指を添えてのハイポジションでの単音弾きもお手のもの。座って弾いたときと近い感覚でプレイできるのもポイントだ。

エレキギター構え方研究部(36)エレキギター構え方研究部(37)

 

エレキギター構え方研究部(39)

海外のギターレジェンドに注目しても、ギターの構え方はまさに三者三様。ギターの構え方を含め、自分だけのスタイルとして確立している印象だ。
低いフォームの代表格と言えば、やはりレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジ。今でこそギターを低く持つスタイルは珍しくないが、1960年代では珍しく、レスポールを低く構えるその姿はファッションとも相まって強烈なインパクトを残した。この他、低く構えるスタイルはハードロック/ヘヴィメタル界隈で多く見られ、ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュ、エクストリームのヌーノ・ベッテンコート、メタリカのジェイムズ・ヘットフィールド(Vo,Gt)とカーク・ハメット(Gt)、ザック・ワイルドは低く構えつつネックを立てたフォームが特徴。パンク系では、グリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングも低く構えながらネックを立て気味にしている。
一方で、ギターを高く構えて持つギタリストは、テクニカルなプレイスタイルが持ち味の技巧派ギタリストに多いのが特徴。ジミー・ペイジと並び世界三大ギタリストの1人であるジェフ・ベックも、ギターを高めに構えて指弾きで繊細なニュアンスを表現。ライトハンド奏法を世に広めた立役者、エドワード・ヴァン・ヘイレンもやや高めの位置でギターを構えている。この他にも、美しい旋律を得意とするエリック・ジョンソン、感情を滑らかなレガート奏法で表現するパット・メセニー、ワイドストレッチを駆使したメカニカルな高速フレージングが魅力のアル・ディ・メオラなど、常人離れしたテクニックを持つジャズ/フュージョン系ギタリストに多く見られる。先人たちのギターフォームを参考に、ぜひ自分に合ったスタイルを模索していってほしい!
 

エレキギター構え方研究部(38)

ギターの構え方に正解は存在しない
あらゆる“スタイル”を考慮して選ぼう


ベストなギターの構え方は、やりたい音楽ジャンルやプレイスタイル、身長や体型にも左右されるため正解というものが存在しない。大ベテランのギタリストが、自分に合う構え方を長年に渡って追求するほど、ギターの構え方は奥が深くプレイにさまざまな影響を与える。まずはしっかりとギターを演奏できることが大前提なので、無理のない高さで、そこから微調整してしっくり来るポジションを見つけていこう!


(Go!Go! GUITAR 2017年4月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海