【レコにまつわるエトセトラ】第5回 レコード収納術 ~ 部屋とレコードと私


近年また盛り上がりを見せつつある、レコード/アナログ盤。リアルタイムで再生メディアとしてレコードと接してきた世代だけではなく、CDやカセットすらも知らないくらいの若い世代の人たちからも“新鮮”なものとして受け入れられているようです。
そうした流れの中でこの世界の魅力をよりディープにお伝えするべく始まったのが、本連載【レコにまつわるエトセトラ】。ディスクユニオン新宿プログレッシヴ・ロック館店長の山中明氏を水先案内人に、入り口から底知れぬ深淵に至るまでを旅しましょう。
第5回のテーマは、“レコード収納術 ~ 部屋とレコードと私”。溝に刻まれた音だけではなく、ジャケットを含むそのモノ自体もレコードの大きな魅力と言えます。とはいえ、それなりのサイズ/重さがあるゆえに、コレクションの数が増えてくるにつれて収納が大変に…。そんな悩みにお答えする、プロ目線の“レコード収納術”を今回はご紹介します。

いかにレコードを収納するか、それが問題だ。

レコにまつわるエトセトラ5(1)

美しく収納することはレコード愛の表れ。

 

レコードの大きな魅力のひとつとして挙げられるのは、“持ってるぞ感”を感じさせてくれるその大きさ。
レコードに針を落とし、ジャケットを手に取り眺めながら椅子に腰掛ける。耳に流れ込む豊潤なサウンド、そして手に伝わる確かな重さと質感を纏った大きなアートワークが、ダイレクトに五感全てを揺さぶって来るのです。

ただその大きさが故、枚数が増えるにつれて避けがたい問題が発生するんです…そう、それが収納問題です。
10枚、20枚であればそっとオーディオの脇に置いてみたりなんていうことも出来ますが、それが百、千と増えていくにつれ結構な問題になってきます。

ということで、今回は個人的にオススメのレコード収納方法をお教えしましょう。
なお、家が広過ぎて特に困ってないとか、レコード用に別宅があるとか、そういった余裕をお持ちの方は対象ではありません。あしからず。

 

レコにまつわるエトセトラ5(2)

憧れの自宅で壁面フェイス。

 

まずLPレコードを収納する棚には、2大巨頭と呼びたい圧倒的なコスト・パフォーマンスを誇るものが存在します。
ひとつはIKEAが販売するシェルフユニット・シリーズ、そしてもうひとつは(手前味噌ですが)ディスクユニオンが販売するレコード・ラックです。
それでは、それぞれのポイントをご紹介していきましょう。

 

レコにまつわるエトセトラ5(3)

一般家庭でのKALLAX使用例。

 

IKEAのラックは以前はEXPEDIT、現在はKALLAXと名前を変えながら売れ続けているロング・セラー・アイテム。レコード専用のラックという訳ではなく、本の収納からルーム・ディバイダーまで、多種多様な用途に使用されるものですが、そのサイズが実にレコードにピッタリだったというわけです。
マスの内寸はW335×H335(mm)とカサ高いBOXモノも入るベスト・サイズ。色はバリエーション豊富で、定番の木目調やブラックから、グリーンやレッド等のカラーもの、さらにグロッシーなハイグロス・シリーズまで多種多様。さらにサイズは2マスから最大5x5の25マスまで多くの組み合わせが用意されており、部屋の様々なシチュエーションにフィットしてくれます。

 

レコにまつわるエトセトラ5(4)

レコードに適してないラックを使うと棚板がこんな感じに…。レコードって重いんです。

 

棚板の厚みも他類似品と比較しても十二分、にも関わらず値段も実にリーズナブル。4マスで4,999円、25マスで27,990円と、他の追随を許しません。
ちなみに最もコスパが高く、海外でも愛好家が多いのは25マスなんですが、日本の家屋、特にワンルーム1人暮らしの方はちょっと注意が必要です。
当たり前と言えば当たり前なんですが、W1820xH1820(mm)にもなる大きさの棚を組み立てるにはそれだけのスペースが必要です。ひとつひとつのパーツは結構な重量感があるので、棚サイズ+人が壁との間に入れる分の床を空けて作業しなくてはいけません。
また、1人での組み立ても厳禁です。組み立て自体は簡単ですが、問題は組み上がった棚を起こす時。結構な力自慢でもこのハンパじゃない重さはさすがに厳しいでしょう。無理をすると身体or床がダメージを受けるのは必至、私のリアルな体験談です…。

 

あなたの部屋に一番マッチするレコードラックとは?

レコにまつわるエトセトラ5(5)

ディスクユニオン製レコードラック。2マスが一番売れ筋です。

 

ではディスクユニオン製のレコードラックはどうでしょうか?
内寸はIKEAと同じW335×H335(mm)、色はウッド、ライト・ウッド、ブラック、ホワイトの4種、そしてサイズはIKEAとは少し異なり最小1マスから3x3の9マスまで。
価格はIKEAより少し高めの9マスで28,380円となっていますが、IKEAを除けば他類似品と比較しても低価格と言えましょう。

じゃあ結局IKEAが一番じゃんって思われるかもしれませんが、ちょっと待ってください。この2つには決定的な違いがあるんです。

 

レコにまつわるエトセトラ5(6)

今回シングルには触れていませんが、こんな収納の仕方もあります。

 

まず一番の違いは、“背板”の有無です。
IKEA製は前述したように元々レコード用というわけではないので背板が存在せず、ディスクユニオン製は背板付。そりゃ値段も少し違うわけです。
IKEA製でも背面に細い板を打ち付けて代用するなんていうことも出来ますし、そもそも背板なんてなくても平気さっていう方もいますが、これは1つ大きな違いだと思います。

そして次はサイズです。
確かに内寸は一緒なのですが、外板もほぼ均一なディスクユニオン製に比べて、IKEA製は外板に厚みがあります。これが何に繋がるかというと、買い足しの際にはちょっと注意が必要ということです。
あまり深く考えずに色々なサイズをちょこちょこ買い足して行くと、厚みがある分どうしても見た目が歪になったりするというわけです。

 

レコにまつわるエトセトラ5(7)

これもLPとは関係ないですが、最近見た中では特に心打たれた収納術です。これ、なんとMDなんです。

 

ということで、結局どっちが良いのよってな感じですが、ご自身の部屋の都合に合った方がオススメと言えましょう。
個人的にIKEA製の魅力は、やっぱり高いコスパを誇る4x4マスや5x5マスの大型サイズだと思います。
そしてディスクユニオン製の魅力は、1マスや2マスの単位で組み上げる自由度の高さ、そしてやっぱり安心の背板付というところにアドバンテージがあると思います。

あ、あとディスクユニオンではレコードラックの最終形態でもある、“フラップ扉付”なるものもご用意あります。開閉式の蓋が付いているので、これさえあればレコード・コレクターの天敵である“背焼け”も防げる訳です。あっぱれ。

 

文化遺産とも言えるレコードを後世へと残すために。

レコにまつわるエトセトラ5(8)

レコードの未来を握るのは私たちなのです。

 

最後に余談ですが、みなさん自分の大事なコレクションの中でも、これぞっていう本当に大切な一枚があると思います。
地震やら洪水やらの被害が相次ぐ昨今、こんなのあった方が良いんじゃないですか的なレコード保管システムを考案してみました。実現可能性なんて1ミリも考えていないので早い話ただの妄想なんですが、最後に披露させてください。すいません。

まずは商品名からご紹介しましょう。その名も“レコードを未来へ繋ぐ究極のストレージシステム~NOAH”。

大きさはレコ箱サイズのトランク・タイプですが、収納可能枚数は5枚程度。少ないですが、色々な機能を盛り込めばこれぐらいでしょう。
また、持ち運び可能な重さを維持しつつも、倒壊に巻き込まれても全く問題ない強度を保持。
さらに、温度・湿度を一定に維持、ないし真空状態にする機能を備え、たとえ水に沈もうとも一定期間はノーダメージが実現出来ればベスト。もちろん指紋認証等のセキュリティーも完備です。まぁいわばレコード用のシェルターですね。

有事の際にはこのトランクだけを持って行く、もしくは後日掘り出しさえすれば中のレコードは無事という塩梅です。
どうですか? どなたかこのアイデア実現してくれませんか? 一定の需要はあると思いますよ!

 

レコにまつわるエトセトラ5(9)

アセテート盤なんて本当にセンシティブ。個別の保管方法についてはまた今度。

 

レコード、特に貴重なオリジナル盤なんていうものはもはや有限な文化遺産。買って手に入れたからって、何したって良いっていうもんじゃないと思います。
私なんかは手に入れてもあくまで一時的に自分の元で預かっているっていう感覚で、大事に扱って後世へと受け継いでいこうという気概があります。
みなさんもレコード好きであれば、保管には万全を期してこの素晴らしい文化を繋いで行こうじゃありませんか!
レコードの未来に幸あれ!

※掲載の価格や商品情報は2019年10月時点のものになります。

 


 

【Information】
本文で紹介した商品は、こちらでご確認頂けます。

IKEA

https://www.ikea.com/jp/ja/catalog/categories/series/27534/


ディスクユニオン

https://diskunion.net/acc/ct/sub/126

 


 

Text:山中明(ディスクユニオン)
Edit:大浦実千