好奇心に導かれ生まれた5つのストーリー。m@eが語るデビューアルバム『はんなりある。』

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10月11日にシングル“私こそ、ごめんね”でメジャーデビュー。11月11日には2ndシングル”つまんない、つまんない”と続けて新曲を発表したm@e。そしてついに待望のメジャー1stアルバム『はんなりある。』が12月11日にリリースされた。イマドキ女子の「本音」と「建前」。男性にとってはドキッとさせられる5つの恋愛ストーリーはどのようにして誕生したのか。前回ワンマンライブを観てm@eというアーティストを紐解いてもらった加美幸伸氏が、今回も彼女のホーム京都にて、お馴染みの賑やかなメイン通りを少し入った路地に佇むムードあるカフェを取材場所に選び、はんなりと彼女と語り合いました。


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普段からイラついたこととかをメモしているんですよ(笑)

 

―昨夜は大阪(11月27日南堀江knave)でライブを拝見しました。カッコいいギターをステージのセンターにドンと置いて今日はギター弾くんだ!どんなライブになるんだろう?なんて想像をしながら楽しませてもらったんだけれど、結局ギターを弾かずに帰っちゃいましたね。

そうですね(笑)なんとなくって感じですかね。別に弾かないって決めた訳ではないですけれど、ただなんとなく…

 

m@eインタビュー(1)

m@eとインタビュアーを務めた加美幸伸(FM COCOLO DJ)

 

―そういった行動も意味があるのではないかとついつい深読みをしてしまう。それが私にとってのm@eの面白さ。普通にやったことが、聴いた人の心の中で想像のストーリーを作ってしまうんです。

なるほど…喋ることが好きなので、ついついステージの上でたくさん喋ってしまったりして、段取りも忘れたりもしますし(笑)

―そういうところもm@eの世界観なんでしょうね。ところでそもそも音楽を始めるきっかけはどんな感じだったんですか?

お母さんがピアノをやっていたので、自分も自然に音楽には親しんでいました。そうしているうちになんとなく歌に興味が出てきたんです。中学2年くらいだったかな。そうするとお母さんがいろいろとオーディションを見つけてきてくれて、それを受けて歌っていっているうちに、楽しくなってきて、もっとやりたい!という気持ちになってきました。そこでユニットを中学3年で結成したんです。ただ活動をしているうちに、ちょっと二人の間に温度差ができてきて、私はオーディションに通過するうちに、誰かに認められていることが嬉しくなって、本格的にもっとやりたいと思っていったんですが、一緒にやっている人はそうでもなかった。高校1年くらいまでは続いたんですが、結局別れることになって、それでギターがいなくなったから、家にあったギターを自分で弾き始めたんです。

―そこで本格的にギターと出会う訳ですね。家族の中にギターを弾いている人がいたということがよかったですね。

そうなんです。それでまずはカバーばっかりやって。まだギターは下手だけど、流れを止めたくなかったんで、とりあえず次々とコンテストに出るんです。ただ歌だけを歌っている時とは違って、ギターがまだ上手くならないものだからギターが気になって歌っていても心が乗らない感じはありました。それで、自分で作詞作曲をしようと決めて頑張って曲を作り始めたんです。そうしているとギターも徐々に馴れてきて、普通に弾き語りで歌えるようになってきたんです。

―それで2015年にシングル”恋の詩”をリリースする。

当時のことはあんまり憶えてないですが、ギターの先生などに協力してもらって。さらに写真ができる人とか、いろんな方々がパッケージ制作やレコーディングなどに関わってくださったんです。たしかその時に今の事務所の方も見てくれていたのかな。

―先日行われた京都でのバースデーワンマンライブ。アンコールで“恋の詩”を歌いましたが、当時のことを思い出して少し懐かしむ感じがあったように思えましたが?

そうですね。懐かしかったです。ずっと弾き語りで歌っていて、そうじゃなくなったのは1年半くらい前から。だから久しぶりにギターを持って、あの歌をファンの皆さんの前で歌うのには少し緊張しました。

―あのライブは、メジャーデビューまで、そしてこれから。その全てが詰まっていたスペシャルなものでしたね。それとm@eというイマドキ女子の人生ドラマを切り取ってチラ見しているような感覚。しかもステージ上では常に笑顔でしょ(笑)

結構な内容を歌っていたりするんですよね(笑)

―そうそう!だから観ている私は不思議な感覚になるんです。ところで、そんな曲たちはどのように生まれていくんですか?

基本的には、普通に生活をしていて…例えば“私こそ、ごめんね”とかなら、この曲は作った当時から時間が経っているので、全部リライトしたんですけれど、元々は友達の話を聞いて作った切ない曲だったんです。自分とは違うけれど、周りには結構そういうタイプの人が多かった。つまり尽すタイプというか。そういうきっかけの話がまずありきで、あとは想像で書くという。そういう作り方が多いですね。

―ならば曲のきっかけに出会う時のm@eを想像したりして聴いてしまいます(笑)。あまりガツガツ取材するような感じのイメージではなさそうですし…。

そうですね。自分が共感できない部分は「ヘェ〜」って感じで流したり、恋愛のパターンでいうと、例えば“つまんない、つまんない”でいうと、始めにどういう感じにしようか…なんて思っているときに、人間の本音と建前というところにまず帰ってみるんです。実は普段からイラついたこととかをメモしているんですよ(笑)。それを見て、そこから広げて行く感じもあって。男子と接してて「ここが違うねんな…」と思ったり、「もう少しこうしてほしいんやけどな…」とか、そういうことを書き留めていて、そこから今度の曲はこういう風にしよう!ってきっかけが生まれて内容が広がっていくんです。

 

m@eインタビュー(2)

「京都のオススメスポット」として紹介してもらった錦市場にて

 

―本音と建前をテーマとして表に出すということはパフォーマーとして勇気のいることだと思うんです。人間的な心の奥の部分と、表面的な部分を同時にさらけ出すってすごい勇気のいることですよね。

たしかに…立ち向かっている感じはしますね(笑)

―例えばデビュー前の曲“17のこと”では、大人がやっていることを見て、これからの未来が見えない、これでいいのか?と当時のm@eが提示をしてくれた。わかってるけれど、誰かが言わなきゃいけない。成人になってそれを言っても、社会を少し知っているからそこにはリアリティーがない。揉まれてるから建前を知っている。それを17歳のm@eが歌ったから感動をした。それはきっと本音だから。そして、今表現するm@eの曲からは本音を知っていて建前を遊んでいる感じがするんですね。

昔は、叫ぶ感じが多かったんですが、ちょっとこれ私らしくないなって。私はわりとあっさりした性格なんです。執着したりしないんで。それで人との関係とかもあまり重く捉えない。全てが楽観的なタイプで、それで慎重さもあまりないし、全然重い女でもないし。だんだん大人になるにつれて変わっていって…。それでこの感じちゃうな〜ってなって、ポップな路線に行こうってなったんです。でも、裏表ある性格とも言われるし、だけどそれが取り柄でもあるんで、それならそれを生かしてポップな曲を作ろうかなと思ったりしました。

 

我ながらきっと飽きないアルバムだと思います。

m@eインタビュー(3)

 

―アルバム『はんなりある。』の4曲目の“嫌いで、好きで”。この曲の瞬発力すごいですね。「笑顔が嫌いで」って歌って、そこからの振り返りや理由が一切説明されずすぐに「好きで」がくる。すごいスピードで入ってくる。それをライブで歌っているときの表情はというと、やっぱり笑顔で。それでものすごくこの曲のリアリティーを感じたんです。つまり、こんな子なら言いかねんなって。

この曲は提供していただいたときに、歌いたい!ってすぐに思いました。そういった心の中の駆け引きみたいなものがたっぷり詰まっている感じがします。

―アルバムの中には、建前多めだけれど、本音をチラ見せしてドキッとさせる曲とかもあったりしますね。

本音ばかり言ってても、なんだこいつ?ってことになったりもするだろうし、それと、やっぱり可愛くいたいときもある。アルバムとして見たら、曲の中で表現された中のどれかで、可愛く恋してるんやなと、本当はこういう可愛いところもあるで〜みたいな感じも知ってもらいたいなとか。そういったことを歌うと、これはm@e自身なんだと結構思われているようで。m@eってどんな恋愛してきてるのん?とか言われたりもするんです(笑)あくまで想像で作っているんですけれどね。

―あの笑顔ですよ。あの笑顔がそうさせる(笑)ところで、例えば想像で曲を作る上できっかけとなった具体的なエピソードってありますか?

そういえば、”つまんない、つまんない“なんですけれど…家族でご飯食べに行ったんです。テーブルに通されますよね。そのときにお父さんが一直線に奥のソファに座ったんで、なんや!って思ったんです。やっぱりここはお母さんに奥は譲ってほしい。お父さん腹立つな!って。それをメモしていたんですね。それと、年上の人とご飯を食べに行ったときに、その人が自分のことばっかり話す人で…、その2つのエピソードをくっつけて、想像で広げて曲になったりしたんです。

―1曲には、1人のエピソードという訳ではないんですね?

そうです。年上の人や家族、同級生といったいろんな人との出会いや話、そういうエピソードをくっつけてできています。

―だからきっと刺さるんでしょうね!21歳の女の子って僕らの知らない世界で生きているんだろうな?くらい思ったりもするけれど、m@eの作る世界は、あらゆる世代の人のエピソードがくっついていて、それを自身のリアルな世代の感覚で作り上げている。だから、聴き方として私たちの世代なら、自分たちの青春時代へタイムスリップしたりするだけでなく、またすぐ今の時代のリアルに引き戻される。そこで置いてきぼりにされる感じもない。それはなぜだろうって思っていた。それは、若者だけではない、そこにちゃんとオッサンの存在もあるんやね(笑)

このアルバムに収録された5曲は、それぞれで私なりに解釈をして歌っています。もちろん自分が作った曲は自分が考えたものなので、私のいろんな面が詰まっています。提供してもらった曲は自分では作れないテイストの曲だし、自分発見にもなります。それと私、基本的に作ってもらった曲を歌うのも好きなんですよね。5曲すべて揃って、楽しい感じや、爽やかだけど実は怖いとか…。本音がメインの少しダークな曲もあれば、建前メインのふんわりした曲も入っていたりして、我ながらきっと飽きないアルバムだと思います。

―3曲目の“シークレット・ラブ“なんて、なにか悩ましい感じのする曲です。

ちょっと歌謡曲っぽい感じですね。これは、元々あった曲をリメイクしたんですけれど、当時はハイスクールラブ、高校生の恋愛の話だったんです。この曲の主人公はプライド高め。それでチャラい男子にグイグイと来られてそして…っていうカタチを曲にしています。

―歌謡曲風か…この曲の雰囲気。m@eにとってはチャレンジとも感じました。

私、基本的に音楽はジャンル関係なく聴くんです。ロックもポップスも、アイドルだって好きだし、レゲエだったりヒップホップ、トラディショナルな曲なんかも好きなんです。結構浅く広くって感じで、幅広くって感じ。もちろん広い意味でこんなんと言う好きなジャンルはあったりするんですけれど、どんなタイプの曲も歌ってみたいなと思うんです。だからこれ!っていう一つに囚われず、いろんな要素を取り入れて、どんどん挑戦していきたいなと思っています。

―それを飄々とやっている感じがいいですよね。そこに遊び心が生きている。イマドキと言いながら今の時代の中でちょっと浮いている感じもする。浮かび上がっているっていうのかな。それが自然体に見えるのが、病み付きになったりするんです。

私ライブでもよく喋るんです。歌と違う部分でも私のテーマの本音と建前の世界が理解してもらえるようにとか思ったりしています。そういえばジャケットの写真とかも実際のイメージとは違うとよく言われます。そう言ったギャップも感じてもらえたらいいと思います。私、あんまり嫌と思ったことはないんです。結構、人の意見を普通に受け入れられるし、本当に強く思っていることは無理ですが、基本的にはどんどん自分に取り込んでいくタイプなんですね。

 

m@eインタビュー(4)

よく路上ライブをやっていた思い出の場所、鴨川河川敷にて

 

―京都で作品を作りたいというこだわりはありますか?

京都で何かを作っていきたいとは思いますね。例えば東京にいても、やっぱり作るのは地元京都って感じでしょうか。顔もどちらかと言うと「和」なもんで(笑)、ゆっくり喋るし、言葉も柔らかな雰囲気のようだし、はんなりとここで作るっていうのがしっくりくるイメージはあります。

―アルバム『はんなりある。』をきっかけにm@eはこれからどのようなアーティストになっていきたいと思いますか?

あんまり決めて、歌詞作ったり、曲を作ったり、考え込んで作り込むということより、ずっと今の感じで、同世代の若い女の子の代弁者になりたいです。女子って、良いように見られたいんですね。本音は結構えぐかったりするんですけれど(笑)。だけどそこに男子が入ることで変わるんです。そう言ったところを女子には共感してもらいたい。男子には女心を知って、改めて欲しいですし(笑)。だからライブではトークなどもたっぷりしたいし、そうしてm@eを近くに感じてもらいたいです。

―まずは同世代の女子の背中をポンと押し、そうそうって共感してもらえるようなそんな存在になってほしいなんて思います。そうすればあらゆる世代性別関係なくm@eの世界がどんどんと広がって行くんでしょうね。

そのためには自分で体験することも大切なんです。今だけで終わらせたくない。だからたくさん出掛けるし、それを止めたくない。たくさんの人とも出会って、自分がキュンキュンする体験って絶対に必要だと思う。だって、m@eは、やりたいことが多すぎる、”なんでもやりたガール”ですから(笑)

 

m@eインタビュー(5)

 

アルバム『はんなりある。』
知りたい、だけど知ってしまいたくない人。距離感が、距離があるからこそ深め合える友情。
その中にある本音と建前を、あの満面の笑顔のm@eというイマドキ女子フィルターが歌で伝えた全5曲。シンプルなサウンドとともに響くメッセージは、世代なんかヒョイっと飛び越えて、キャッチした心はキュンキュンとするのだ。今その秘密を少し解明できたような気がしている。

だけど、MORE。もっと踏み込んで彼女の世界を感じたい。
だってm@eは、今もその”やりたがり”好奇心に導かれるままに、次へのきっかけを探してメモをとっているに違いないから…

 

m@eインタビュー(6)

m@eインタビュー(7)

 


 

【Release】
5曲入りアルバム「はんなりある。」
2019.12.11(水)配信リリース

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M-1. 私こそ、ごめんね
M-2. つまんない、つまんない
M-3. シークレット・ラブ
M-4. 嫌いで、好きで
M-5. 全然、かまわない

【Live】
『m@e 「はんなりある。」リリースワンマン-りあるはんなりある。-』
日程:2020年01月25日(土)
時間:OPEN / START : 18:00/ 18:30
会場:心斎橋Music Club JANUS(大阪市中央区東心斎橋2-4-30-5F)
料金:前売¥3,300(税込)整理番号付き ※ドリンク別
チケット発売中
・SC TICKET
https://www.sound-c.co.jp/schedule/detail/4538/
・ローソンチケット
https://l-tike.com/order/?gLcode=53780
・イープラス
https://eplus.jp/mae/
・チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/mae-k/
問合せ先:サウンドクリエーター 06-6357-4400

m@eオフィシャルサイト
http://mae-official.com/
m@eチャンネル(YouTube)
https://www.youtube.com/c/maeチャンネル
Twitter
https://twitter.com/Vo9Mae

 


 

Interview & Text:加美 幸伸
Photo:キタムラアイ
取材協力:タナカコーヒ 河原町店

 

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