【LovePiano】大人気ストリートピアノの舞台裏に密着!【あべのハルカス・時計の広場編】


誰でも自由に弾けることから、老若男女の演奏者によって各地で注目を集める“ストリートピアノ”。全国を巡回中のヤマハミュージックジャパンのプロジェクト「LovePiano」から、東京での盛り上がりをお伝えした前回に続き、今回は4号機を設置して大好評を博した「あべのハルカス×LovePiano」の裏側に密着。プロジェクトを支える多くの方々の思いに迫りました。

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施設管理、楽器運送、調律……プロが力を合わせて実現させる「LovePiano」

 

新宿駅での1号機初お披露目から約2年。すでに40回近く実施されている「LovePiano」ですが、今回の設置場所は開業から5周年を迎えた超高層ビル「あべのハルカス」の地下一階、駅コンコースにつながる「時計の広場」。ターミナル駅であり観光地でもあるこの場所で、完全なオープンスペースへの設置に初めて挑むスタッフたちに密着するため、われわれ取材班は2019年12月12日の夜、4号機を追いかけて現地に向かいました。

「あべのハルカス」といえば、まずは日本一の超高層展望台「ハルカス300」からの眺望をお届けしなければ!

 

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▲60階、地上約300メートルからの圧巻の夜景! 北西に広がるのは天王寺公園や通天閣

 

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1912年の建設当時、東洋一の高さを誇ったなにわのシンボル「通天閣」の輝きにノスタルジックな感動を覚えつつ、大阪上陸を実感して取材班のテンションは否が応でも急上昇。多くのカップルや外国人観光客で賑わう展望フロアを堪能し、いよいよピアノが搬入される地下4階へとエレベーターで急降下します。

22時——。近鉄百貨店やオフィス、ホテル、美術館など多くの施設を抱える「あべのハルカス」の地階、総合物流センターにお目当てのトラックがやって来ました!

 

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ふかふかのお布団に包まれた4号機の到着です! 梱包が解かれ背面のペイントが現れると、今回のプロジェクトを企画した近鉄不動産、ヤマハミュージックジャパンの両担当者も、ホッと安堵の表情。

 

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▲4号機の運搬は、楽器輸送のプロ集団・ニシリク株式会社が担当

 

おそらく昼間は大型車両と業者がせわしなく行き交うであろう搬入フロアも、この時間はとても静か。巨大施設ならではのやや複雑な導線と、人の気配のない駐車場のダンジョン感にさらにワクワクしてきます。

 

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▲思わず二度見してしまう……圧倒的なエレベーターボタンの数!!

 

設置場所である「あべのハルカス」地下1階の「時計の広場」へ向かうため、駐車場から展望台や美術館、オフィスへとつづくエレベーターホール……と、細心の注意を払いながら4号機ピアノを運んでいきます。同じ施設内の移動ながら、さまざまな環境があることに改めて驚かされます。

 

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所要時間は約15分。短いようで長い、緊迫した運搬を終え、あべのハルカス近鉄本店の北側入り口前、天井一面の大きな時計が印象的な「時計の広場」にようやく到着しました。

 

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ピアノが設置される部分には屋根があるものの、吹き抜けになった広場は夜になると想像以上に気温が低い。

「さっきまで温湿度がしっかりと保たれた環境にいた4号機にとって、この温度差はちょっと過酷ですね……。ここに一晩いたら、人間はきっと風邪ひいちゃいますね(笑)」

と、まるで我が子を労わるようにコンディションを心配するのは、「LovePiano」プロジェクトを立ち上げたヤマハミュージックジャパンの山下有美子さんです。

 

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▲微妙な位置の調整をするヤマハミュージックジャパンの山下さん。右奥に見えるのが、あべのハルカス近鉄本店

 

ただ、そもそもが室内環境を前提にしているピアノなのだから、あながち冗談ではありません。木材が中心のピアノは、呼吸する楽器。山下さんは、そうしたことも当然加味しながら、4台のピアノを上手に休ませ、オーバーホールなども挟みながら各地に貸し出しているのです。

 

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ちょうど塾帰りの学生さんがたくさん通る時間だったこともあり、多くのギャラリーに見守られながら無事に設置が完了。ニシリクのお二人を見送って、明日のオープンまで、しばしお別れです。

 

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いよいよお披露目当日。朝から幸先の良い晴天に恵まれました!「あべのハルカス」がある大阪阿部野橋駅は、近鉄南大阪線のターミナル駅であるのと同時に、JR天王寺駅と地下鉄・大阪メトロの天王寺駅、路面電車・阪堺電車の天王寺駅前駅も隣接する巨大ターミナル。

 

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通学・通勤ラッシュ真只中の朝7時半、「時計の広場」周辺は、ものすごい人通りです。せわしない人波のなか、4号機の調律が始まっていました。演奏開始セレモニーの10時は、2時間半後に迫ります。 

 

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▲ワタナベ楽器店所属、一級調律技能士の紅露さん

 

昨夜、山下さんが心配していた温度変化について、調律を担当する紅露智美さんにも影響を聞いてみました。

「ピアノは複雑な内部構造からも分かるようにとても繊細な楽器で、各部品が温度や湿度の影響を受けやすいのは確かです。ただ、ここに設置している2週間は暖房がない分、急激な温度変化はそこまでなさそうなので大丈夫だと思います。それよりも、思っていた以上に吹き抜けから外部の雑踏の音が入ってくるのと、オープンスペースの中でどの程度遠くまで響かせられるようにするのか……ちょっと難しい部分ではありますが、頑張って仕上げます!」

 

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なんとも頼もしい! ちなみに、調律師さんには男性が多いイメージがありましたが、紅露さん曰く、「今は女性の方が多いくらい」なんだそう。凍えるような寒さにも関わらず繊細さを失わない職人の手技に、スタッフ一同見とれてしまいます。

 

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▲音叉など、調律に欠かせない道具を駆使して2時間弱。スピーディーに作業を進めます

 

今回の設置を企画した近鉄不動産ハルカス事業部の担当者・瀧浪麻奈さんは、なんと家族にピアノの先生もいるピアノ経験者。紅露さんからの「調律の最終確認のために何か弾いてみて頂けますか?」というリクエストを受け、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」を見事に披露してくれました。(※トップ画像はその際の瀧浪さん)

「バッチリです!」

紅露さんから力強い太鼓判をもらい、9時ちょうどに作業が完了。あとはオープニングセレモニーと演奏者を待つのみです。

 

「ただ行き交うだけの場所ではなく、心の交流もできる新しい名所になって欲しい!」

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▲お披露目セレモニーでは、瀧浪さん以外に展望台スタッフもデュランの「ワルツ」を披露しました

 

設置交渉から含めると約3ヵ月のプロジェクトを、素晴らしいチームワークで推進し、ついにお披露目の瞬間を迎えた瀧浪さんに、今回の企画への思いをうかがいます。

「あべのハルカスは、百貨店、ホテル、美術館、展望台と多様な側面を持った複合施設です。ターミナル駅でもあることから、ここを通られる方の目的はさまざまですし、また近年は外国人観光客の方にもたくさんご利用頂いています。5周年という節目に『何か新しいことにチャレンジできないか?』と考えた際、待ち合わせにご利用頂くことも多いこの時計の広場にストリートピアノがあれば、ただ行き交うだけの場所ではなく、多くの人の心の交流もできる新しい名所になるのではないかと思ったんです」

 

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▲3歳の杏ちゃんは「最近、ピアノに興味津々」なのだとか。大学4年生の中川さんは耳コピで「ワタリドリ」と「パプリカ」を見事に演奏

 

設置からすぐに「あべのハルカス×LovePiano」は大人気になり、瀧浪さんたちのこうした思いは現実のものとなります。
連日演奏者がつぎつぎと現れ、SNS上にも「#LovePianoYamaha」や「#ストリートピアノ」といったハッシュタグを付けた演奏動画が溢れはじめたのです。

そんなある日のこと。

https://twitter.com/Marron_Piano/status/1209702031130124288


熊本から旅行で大阪を訪れていたMarron♪さんが、ギャラリーのリクエストに応え嵐の「PIKA★★NCHI DOUBLE」を弾いていると、通りすがりの音高生から「情熱大陸を一緒に演りませんか?」と声をかけられ、突如セッションが始まったのだそう。

「これまでもストリートピアノを弾いたことはありましたが、まさか自分にこんなことが起きるなんて、とても驚きました。寒さで指が凍って(笑)なかなか上手く弾けなかったのですが、多くの方が拍手を下さったことも嬉しかったです。何倍も楽しく、思い出深い大阪旅行になりました」

Marron♪さんは、ピアノ歴25年。2019年5月に東京で初めてストリートピアノに出会い、以来10カ所ほどを巡っている中で感じている魅力をこう語ってくれました。

「拙い即興演奏にも関わらず、知らない方々にこんなに喜んでもらえるなんて、ピアノをやっていてよかった!と、心から思えました。熊本にはストリートピアノがないので、ぜひ九州にも来て欲しいです! 設置できる場所もいっぱいあると思うし、待っているピアノファンも大勢いると思います!!」

令和初のクリスマス、オリンピックを控えた年越しということもあり、この年末年始は各地のストリートピアノでイベントが行われ話題になりました。12月21日には「あべのハルカス」主催のクリスマスコンサートも開催され、近鉄・大阪阿部野橋駅勤務の駅係員さんも演奏で参加。「時計の広場」は、老若男女さまざまな人たちの暖かい拍手に包まれていました。

 

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▲ベートーヴェンの『エリーゼのために』を弾く駅スタッフ

 

17日間の設置期間中、多くの人が訪れた「あべのハルカス×LovePiano」。4号機を囲み、演奏する人、ただ通り過ぎるだけだった人、買い物にきた人、待ち合わせの人、ストピ(※ストリートピアノの略称)ファンの人、そこで働く人……多くの知らない人同士が心の交流を持つ様子を目の当たりにし、楽器の力、音楽の力を改めて再発見させられたのでした。

「あべのハルカス」で活躍した4号機は、1月18日から26日まで川崎駅直結の「アトレ川崎・1階ツバキひろば」に登場しています。1月25日には4号機を手がけたペインター・立川恵一さんのライブペインティングと共に演奏できるなど、貴重なリニューアル風景に立ち会えるチャンスです。

また、1号機から3号機の「LovePiano」たちも、次はあなたの街に行くかもしれません。その時はぜひ気軽に触れて、ストリートピアノの音と雰囲気を感じてみてください。きっと、新鮮な音楽体験にはるはずです。

 

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【INFORMATION】

●あべのハルカス
https://www.abenoharukas-300.jp/

「こたつdeおうちじかん」
4月10日(金)まで、絶景を眺められるオープンエアの58階「天空庭園」南側ガラス面沿いに設置された「こたつ」で、暖かい食事やボードゲームを楽しめるイベントを実施中。

●LovePiano
2月下旬から3月10日まで、なんと1号機から4号機までのLovePiano全4機が、伊豆急行沿線の駅など4カ所に集結! 4機すべてを演奏するとオリジナル記念品がもらえるスタンプラリーも開催予定。

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各種SNSでは「#LovePianoYamaha」をチェック!

https://twitter.com/yamaha_piano_jp
https://www.instagram.com/explore/tags/lovepianoyamaha/

 

 


 

Edit&Text:仲田舞衣
Photo:グレート・ザ・歌舞伎町
撮影協力:あべのハルカス

 

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