林龍之介直伝!弾き語りに彩りを加えよう「ストロークのマンネリ解消法」【Go!Go! GUITAR プレイバック】

ストロークを表情豊かに弾くための秘訣を伝授。ストロークの表現方法が広がれば、君の歌とギターをより聴き手に届けることができるぞ!
PROFILE
はやし りゅうのすけ/03年、アコースティックデュオ“平川地一丁目”としてメジャーデビュー。04年にリリースされた1st アルバム『えんぴつで作る歌』は、男性アーティストとして史上最年少記録となるオリコンTOP10入り。08年の解散後は、SNS やYouTube を通じて音源を発信。2020年4月27日、再結成NEWアルバム『時のグラデーション』をリリース予定。
ADVICE FROM 林龍之介
「日本の曲ってイントロでバーン!って弾いて、A メロで抑揚が落ちる場合が多いので、そのAメロでどう聴かせるかがすごく重要。僕は人にギターを教えることがありますが、一定の強さでA メロからサビまでを弾いてる人が多い。だから低音弦と高音弦を弾き分けて、なおかつ強弱をつけると曲にダイナミズム(迫力)が生まれるんです」
▲1・3拍目は低音弦を狙い、2・4拍目は高音弦を狙って弾くことで、響きに奥行きが生まれる。弦を弾き分けずに、1~ 6弦までを同じ強さで弾いたパターンと聴き比べてみよう。印象は全然違うはずだ。
1・3拍目は低音弦を弾く
▲1・3拍目は低音弦を弾く。弾く弦は低音弦であれば、譜例通りではなく多少アバウトでもオッケー。
2・4 拍目は高音弦を弾く
▲2・4拍目は高音弦を弾く。ダウン/アップピッキングで弾き、強く弾いたり弱く弾いたりしてみよう。
譜例を読み解くことで表現の幅が広がるぞ!
ストロークの譜例をそのまま弾くと強弱のない平坦なストロークに!
どの弦をどの程度の強さで弾くかをイメージすることが大事!
▲弾き語りスコアは、一般的に左のような表記が多いが、強弱や弾くべき弦の指示がないためそのまま弾くとストロークは単調気味に。右のようにタブ譜として捉えることで、立体的なサウンドを奏でられる。
G コード
▲人差指で5弦2フレット、中指で6弦3フレット、薬指で2弦3フレット、小指で1弦3フレットを押弦。
GonF♯コード
▲ルート音がGからF♯に変化。薬指・小指はそのままで、人差指で6弦2フレットを押弦。
Em7コード
▲薬指・小指はそのままで、人差指で5弦2フレットを押弦。6弦は何も押さえない開放弦。
Dsus4 コード
▲薬指・小指はそのままで、人差指で3弦2フレットを押弦。小指はずっと押弦をキープしている。
Cadd9 コード
▲これも薬指・小指は押さえたままで、人差指で4弦2フレット、中指で5弦3フレットを押弦。
GonB コード
▲薬指・小指は押さえたままで、人差指で5弦2フレット(B音)を押弦。
Am7(11)コード
▲薬指・小指は押さえたままで、人差指のみ1本下げる(4弦2フレットを押弦)。
曲は大きな波だと考えよう
▲曲を表情豊かにするには、イントロ/Aメロ/Bメロ/サビで抑揚の付け方を差別化することが必要。
ADVICE FROM 林龍之介
「ミディアム~アップテンポの曲で、AメロやBメロなど、いわゆる盛り上がるサビ以外のパートでこの奏法は活きます。リズムが明るい曲だと、1曲を通して同じ調子のストロークになりがちです。そんなときは、ストローク自体の力を弱めるのもひとつの手ですが、強さをそのままで1 拍目をミュートすると、タイトなリズム感とは裏腹にまろやかな低音が得られます」
▲1・3拍目はブリッジミュートをしつつ低音弦を弾き、2・4拍目は高音弦を狙って弾くとストロークに奥行きが生まれる。2拍目はオモテを力強く、ウラを優しく弾くと平坦さがなくなる。
ストロークをドラムに置き換えると表現の幅が広がる
▲1小節間のストロークを、リズム楽器であるドラムのキック/スネアに置き換えると、強弱の付け方やニュアンスの付け方をよりイメージしやすくなる。
ブリッジミュートは右手側面をブリッジに当てて弾く!
▲右手の側面をブリッジ付近に当てた状態で弾くと、ズンズンという独特の音色を得ることができる。エレキギターでも重宝するテクニックなので、ぜひモノにしたい。
右手側面を当てる位置
▲ブリッジに押し当てる強さや位置によって音色のニュアンスも変わるので、試してみよう。
E コード
▲人差指で3弦1フレット、中指で5弦2フレット、薬指で4弦2フレットを押弦。
EonF ♯コード
▲Eコードの人差指と薬指はそのままで、中指のみ6弦2フレットに押さえ替える。
B7(11)コード
▲人差指で4弦1フレット、中指で5弦2フレット、薬指で3弦2フレットを押弦。
ADVICE FROM 林龍之介
「曲自体を大きな波だと思いましょうと話しましたが、盛り上がるところはサビですよね。なので、自然とサビは強めのストロークになります。特にバラードの場合、僕が用いるのはサビの一発目(1拍目)を1弦1弦を強調させるように弾く。弾き方としてはアルペジオのアポヤンド風で、きらびやかな音になる」
▲各小節アタマの“ ”では、低音弦から高音弦に向かってアルペジオのように1弦1弦を弾く。ピックや指で弦を弾いたあと下の弦に当てて止めることを“アポヤンド”といい、主にフィンガーピッキングでよく使われている。
弦を弾いたら下の弦に当てて止める“アポヤンド”
▲6弦を弾いたらピックを5弦に当てて止める。次に5弦を弾いたら4弦に当てて止める…これを1弦まで繰り返す。1弦1弦の響きを強調させ、きらびやかさを演出できる。
C コード
▲人差指で2弦1フレット、中指で4弦2フレット、薬指で5弦3フレットを押弦。
Em7 コード
▲Cコードから人差指と薬指を離し、中指で5弦2フレットを押弦。開放弦の響きを感じよう。
Am7 コード
▲人差指で2弦1フレット、中指で4弦2フレットを押弦。中指はEm7から1本弦を下げるだけ。
Gm7 コード
▲人差指で1~ 6弦3フレットをセーハで押さえ、薬指で5弦5フレットを押さえる。
C7 コード
▲人差指のセーハをキープしつつ、薬指で4弦5フレット、小指で2弦5フレットを押弦。
FM7 コード
▲人差指で2弦1フレット、中指で3弦2フレット、薬指で5弦3フレット、小指で4弦3フレット、親指で6弦1フレットを押弦。
リズムの取り方
円を描くように右手を振る
1 拍目の音を伸ばしている間、円を描くように右手を振ることでリズムキープ。リズム感に自信がない人は真似してみよう!
ADVICE FROM 林龍之介
「泉谷しげるさんもやってるんですけど、ダウンストロークの際に、右手の手刀部分でブリッジ付近を叩くようにピッキングする方法です。激しい曲に用いることが多くて、実はブリッジ付近を叩く音も聴こえているし、音圧も出るので迫力が増します。まさにアコギならではのテクですよね」
▲1・3拍目はブリッジミュートで弾く。「解消法2」と異なり、右手側面をブリッジに叩きつけるように弾くため、より荒々しく豪快な響きを得ることができる。
右手側面を叩きつけると同時にピッキングする感覚
▲右手側面をボディに当てるのと、ピッキングを同時に行うことで音圧豊かな迫力のある音色を得ることができる。
Em コード
▲中指で5弦2フレット、薬指で4弦2フレットを押弦。
CM7 コード
▲中指で4弦2フレット、薬指で5弦3フレットを押弦。
D コード
▲人差指で3弦2フレット、中指で1弦2フレット、薬指で2弦3フレット。
B7 コード
▲人差指で4弦1フレット、中指で5弦2フレット、薬指で3弦2フレット、小指で1弦2フレット。
ADVICE FROM 林龍之介
「コードチェンジのときって一瞬弦から指が離れるわけで、そうするとアコギ本来のキラキラ感は失われてしまう。でもこの譜例のように常に鳴っている弦(1・2 弦)があると、楽器の良さを殺さないというか。曲を作るときもそれを意識しながら作っているので、参考になると思います」
▲1・2弦の開放を常に鳴らすことで、生楽器ならではの美しい響きを演出することができる。アクセントは1・3拍目につけて、2・4拍目はやや優しめに弾くとストロークにメリハリが生まれる。
G♯m7(♭13)コード
▲中指で6弦4フレット、薬指で4弦4フレット、小指で3弦4フレットを押弦。
F♯m7(11)コード
▲G♯m7(♭13)から2フレット分ズラしたフォーム。5弦の音は鳴らないように。
(Go!Go!GUITAR 2016年11月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海