今日からあなたも音楽業界人!知ってると便利!音楽ギョーカイ用語辞典「ライブ用語編」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


ミュージシャンのインタビューやSNSで見かけるものの、意味が知られていなさそうな音楽業界用語を解説。使ってみるとギョーカイ人っぽくなるかも!? ※編集部の恣意的な解釈も若干含まれますが、ご了承ください!

■あ行 ■か行 ■さ行
■た行  ■な行 ■は行
■ま行  ■ら行


 

■あ行

 

【当て振り】
ミュージックビデオの撮影やテレビの音楽番組で、録音しておいた音源を流し、それに合わせて演奏するふりをすること。生放送番組のセッティング時間を短縮したり、機材の不調で音が出なくなるといったトラブルを避けるために行うことがある。
[関連用語]口パク

【暗転】
開演直前や場面転換で、ステージや会場全体を暗くすること。演劇の場面転換の際、舞台装置や役者が移動する様子を観客から見えないよう暗くすることに由来。
用例:「暗転したら、チューニングしよう」

【アンプラグド/プラグレス】
エレキギターなどの電気を必要とする楽器を使用しない演奏スタイル。
[類語]アコースティック編成
[関連用語]『MTVアンプラグド』…アンプラグドという言葉が広まるきっかけとなった音楽番組。この番組での演奏を音源化したエリック・クラプトン『アンプラグド~アコースティック・クラプトン』は超名盤。

【イベンター】
イベント/コンサート/ライブを企画したり、仕切る業種。アーティストやレコード会社と連携して、会場の選定、予算やスケジュールの管理、スタッフの手配など、イベントに関わる業務を行う。全国各地の美味しい食べ物や打ち上げにピッタリなお店に詳しい。

【イヤモニ】
イヤーモニターの略。IEM(In Ear Monitor)とも(※「モニター」は後述)。ライブでミュージシャンやスタッフが耳に装着し、演奏やクリックを聴く。コロガシなどのモニター類(後述)が不要になり、大音量によって難聴になるリスクも軽減されるので、近年急速に浸透している。

【ウォール・オブ・デス】
モッシュ(後述)の中でも、もっとも危険とされるもの。観客が左右2手に分かれ、曲が始まる瞬間やアーティストが合図した瞬間に突進してぶつかり合う。戦国時代の合戦をイメージするとわかりやすい。大事なことなので2回言うが、ものすごく危ない。
[関連用語]ウォーク・オブ・デス…岡崎体育や忘れらんねえよが行った“危なくないモッシュ”。突進するのではなく、左右に分かれた観客がゆっくりと歩み寄る。

【SE】
Sound Effectの略。アーティストの登場時に流れる曲。オリジナルのSEを作る人、毎回同じ曲を流す人、毎回曲を変える人など、多種多様。本番に向けてテンションが上がることが大切。
用例:「せっかくだから、次のツアーは会場ごとにSEを変えてみよう」

【MC】
Master of Ceremoniesの略。エムシー。曲の合間にアーティストが話すこと。トーク力が問われ、スベるとめっちゃ凹む。
用例:「今日のMC、めっちゃ噛んだわぁ…」

【オープニングアクト(OA)】
ライブでメインとなる出演者の前に演奏すること。前座。
[同義語]サポートアクト、フロントアクト


 

■か行

 

【上手/下手】
ステージの左右を指す。上手(かみて)は客席から見てステージ右側、下手(しもて)は客席から見て左側。頻繁に使うわりに覚えにくく、厄介。“体育館でグランドピアノが置いてあるのが下手側”と覚えるとわかりやすいかもしれない。なお、読み方は「じょうず/へた」ではないので注意。“そっち側がヘタで…”と言ってしまうと、怒られるだろう。
用例:「演奏が終わったら、下手に退場してください」「こっちね」「そちらは上手です」

【客電】
客席の電気照明。客電が点く=ライブ終わりの合図という場合が多く、客電が点くと寂しくなりがち。

【逆リハ】
逆リハーサルの略。ライブ当日、観客が入る前にリハーサル(本番の予行練習や機材セッティングの確認)を行うが、複数組が出演する場合、本番の出演順通りにリハを行う「順リハ」と、逆の順番で行う「逆リハ」がある。逆リハは1番目の出演者が最後にリハをするので、そのままの機材セッティングで本番に臨めるが、最後の出演者が最初に会場入りしなければならない。「2⇒3⇒4⇒5⇒1番目」といった変則的な順リハも。
用例:「明日はトリ(※後述)だけど、逆リハだから早起きしなきゃ!」

【キャパ】
キャパシティの略。会場の最大収容人数。大きいほどアーティストの人気も高いと言えるが、観客との距離感や音質を重視してあえてキャパの小さい会場を選ぶアーティストも多い。
用例 : 「あのバンド、次は赤坂ブリッツでライブだって」「最大キャパじゃん! 勢いあるね~」

【クラウドサーフ】
スタンディングのライブで、観客が他の観客の頭上を泳ぐように移動する行為。ダイブ(後述)と組み合わせる場合も。危険が伴うため、禁止されることも多い。

【ケータリング】
出演者やスタッフのために用意された食事や飲み物、おやつ。プロのライブでは大抵用意される。ケータリングの良し悪しが、その日のライブの出来を左右するという噂もある。

【ケチャ】
ステージ上のアーティストに向かってサイリウム(ペンライト)や手をヒラヒラさせる動作。インドネシアのバリ島の「ケチャダンス」に由来している。
[派生]パンケチャ(ハンドクラップと組み合わせたケチャ)、背面ケチャ(背中をのけぞらせながら行うケチャ)、ダッシュケチャ(走り込みながら行うケチャ)

【ゲネプロ(ゲネ)】
本番と同じ状態で行う通し練習。本番と同じ衣装や進行で、舞台演出や照明も含めて行う。大規模なコンサートの場合、前日に本番と同じ会場で行うことも。日頃から使ってみると、一気にプロ感が増す。
用例:「明日は体育館で文化祭のゲネだから、衣装忘れないでね」
[関連用語]リハーサル

【現場】
ライブ会場や、撮影・取材を行う現地を指す。とりあえず「現場」って言っておけばギョーカイ人っぽくなれる便利な言葉。
用例:「今日の現場、どこだっけ?」「練習場所は音楽室だよ」

【57(ゴーナナ)、58(ゴッパー)】
ライブハウスやスタジオで多用される超定番マイク、シュア「SM57」「SM58」の略称。専門的な説明は割愛するが、57はギターアンプのオンマイク用としても定番で、感度が高く、音を素直に拾ってくれる。58はボーカル用に適したマイクで、音が少し柔らかくなる(耳に痛くない)ようになっている。近年では上位機種の「ベータ58A」も定番。友達の前でさり気なく「これはゴッパーだね」と言ってみると、一目置かれるかもしれない。

【コール&レスポンス】
①メインボーカルとコーラスの掛け合いや、ボーカルに対して観客が入れる合いの手。後者の場合、自分一人だけタイミングがずれると恥ずかしい気分になるが、周りはそれほど気にしていないので、引き続きライブを楽しむと良い。
②曲中やMCで、アーティストが観客に向かって呼びかけ、それに応答すること。アーティストによっては定番のパターンがあったり、会場ごとにご当地コール&レスポンスを行うことも。
用例:「男子ー?」「はーい」「女子ー?」「はーい」


 

■さ行

 

【セットリスト】
セトリとも。ライブの曲順や、曲順表を指す。
用例:「今日のセトリ、好きな曲たくさんやってて最高だったわ~」

【即完、ソールド】
ライブのチケットが「即完売」したり「ソールドアウト(=売り切れ)」すること。アーティスト、スタッフともに嬉しくなるもの。

【袖(舞台袖)】
ステージ両脇の、客席からは見えないスペース。登場直前の出演者が待機したり、機材やセットを準備する。
[関連用語]バックステージ…楽屋裏の総称。


 

■た行

 

【対バン】
単独公演ではなく、複数の出演者がいること。共演者を指すときは「w/○○○」と表記することも(「w/」は「with」の意)。「対するバンド」の略と言われているが、略さず使うことはない。なお、OAは対バンとは呼ばない。[対義語]ワンマン
用例:「先輩、明日は対バンですね。よろしくお願いします!」「君たちはOAでしょ?」

【ダイブ】
スタンディングのライブで、柵やステージ、他の観客の肩から客席へ飛び込むこと。持ち上げる人を「発射台」と呼ぶことも。禁止されていることが多く、仮に禁止でなくとも「他人に怪我をさせない、自分も怪我をしない」ことが大切。

【ツェーマン、ゲーセン】
ライブのギャラを表す用語。「マン=万」「セン=千」を指す。「ツェー」「ゲー」はドイツ語の音名に由来し「C(ツェー/1番目)・D(デー)・E(エー)・F(エフ)・G(ゲー/5番目)・A(アー)・B(ベー)またはH(ハー)」つまり、ツェーマンは1万円、ゲーセンは5千円。ギョーカイ人っぽいが、日常では伝わらない可能性が高い。
用例:「新しいゲームが欲しいんだけど、ゲーセンもするんだよね~」「え、ゲームセンター?」

【D.I.(ディーアイ)】
Direct Injection boxの略で、「ダイレクトボックス」とも。ざっくり説明すると、エレアコやマイク、ベースなどのアンバランス信号を、ミキサー(マイクや楽器の信号を混ぜ合わせて音量などを調整する機材)に接続するためバランス信号に変換する機材。

【トラ】
リハや本番収録でメンバーに欠員が出た際、代役として呼ぶメンバー。エキストラの略。
用例:「明日のライブ、ドラムが風邪で来られなくなった!」「後輩がトラで入ってくれるって。ひと安心…」

【ドラム3点】
バスドラ、スネア、ハイハットを指す。ドラム演奏、グルーヴの基本となる3つで、リハではここを基本にPA(後述)がサウンドチェックを行う。必ず覚えておきたい用語。
用例:「じゃあ、まずドラム3点を鳴らしてください」

【トランポ/機材車(楽器車)/メンバー車】
機材を運搬するためのクルマを「機材車」と呼ぶ。アーティストが乗るクルマは「メンバー車」。「トランポ」は、機材や舞台装置などを一括して運ぶ車両や運送者そのものを指す。
用例:「移動中にやろうと思っていたゲーム、機材車に積んじゃった…。ミスった~」

【トリ】
出演者が複数組いるライブで、最後に出演するアーティストを指す。寄席で最後の演者がギャラをまとめて受けトリ、分配していたことに由来する。イベントを締めくくる重要な役回りなので、いつも以上にカッコいい演奏を心掛けたい。
[類語]ヘッドライナー
用例:「明日はトリだから緊張するけど、頑張ろう!」


 

■な行

 

【中音/外音】
「外音(そとおと)」は、客席に向けて設置されたメインスピーカーから出力される音。観客が聴く音。「中音(なかおと)」は、モニタースピーカー(後述)から出力される、演者が聴く音。プレイヤーが演奏しやすいよう音量バランスを調整しているので、外音とは聴こえ方が異なる。


 

■は行

 

【ハウリング】
マイクやギターのピックアップを、スピーカーやアンプ(のスピーカーキャビネット)に向けると鳴る“キーーーーィン”という音。故障の原因になったり、耳が痛いのでなるべく避けたい。マイクやギターを持ったままスピーカーのほうを向いたり、近づかないようにすれば防ぐことができる。
[派生]ハウる
[関連用語]フィードバック奏法…ハウリングの原理を応用した奏法。ギターの歪みや音量を上げると鳴りやすい。上手く使えば超ロックに!
用例:「ちょっと、ハウってるんだけど!」「フィードバック奏法だよ(ドヤ顔)」「やり方が下手だから、ただただうるさいよ~」

【ハコ、小屋】
ホールやライブハウスなどの別称。
用例:「次はクアトロかぁ。あのハコ好きなんだよね」

【バックステージパス、AAA】
楽屋や舞台裏など、観客が入ることができない場所に立ち入ることができる通行許可証。メンバーやスタッフ、媒体関係者などに配布される。「AAA」はAccess All Areaの略。たくさん集めてエフェクターボードなどに貼ると、ミュージシャンらしさ、ギョーカイ人らしさが増す。

【バトル(ギターバトル)、チェイス】
曲中に楽器隊同士で行うソロプレイの応酬。各プレイヤーの腕の見せ所。一体感が必要とされるバンド演奏だが、この場面では「自分が一番目立ってやる!」という負けん気もあったほうが良いのではないだろうか。
用例:「8曲目の40分間のギターバトル、長かったけどカッコ良かったね!」

【バンギャ、グルーピー】
バンドの熱狂的なファン。グルーピーはもともと海外で使われていた言葉。かつて「バンギャ」はヴィジュアル系ファンの女性を指していたが、昨今では広義で「バンド好きの女子」を意味する。特徴について書くと炎上する恐れがあるので、触れないでおく。

【バンマス】
バンドマスターの略。その名の通り、バンドのリーダー、まとめ役。経験豊富な人や演奏を俯瞰的に聴くことができる人が務める場合が多い。バンドの運営も担うことがあるが、運営を仕切る人物と演奏に関わるバンマスを分けることも。

【PA(ピーエー)】
Public Addressの略。ライブの音響システムの総称(PAシステム)。あるいは、それを操作する人(PAエンジニア)。中音・外音の調整をはじめ、アーティストの鳴らす音をベストな形で観客に届けてくれる重要な存在。本番でPAさんに相談せず、勝手にアンプの位置や音色を変えると、すごく怒られる可能性もあるので気を付けよう。

【プチョヘンザ】
put your hands up、つまり「手を挙げて!」。ライブで観客を煽るときなどに使用する。

【フライヤー、チラシ、ビラ】
ライブや新譜について宣伝するための配布物。フライヤーは“飛行機からばら撒くもの”、チラシは“まき散らし”、ビラは“ビラビラ”が由来とされている。


 

■ま行

 

【前乗り】
遠方で行われるライブに出演する際、前日から現地に宿泊しておくこと。
[同義語]前泊、前日入り

【モッシュ】
フロアで観客同士が体をぶつけ合ったり、おしくら饅頭をすること。パンクやハードコア、ヘヴィメタルなど激しい音楽のライブで行われることが多く、ダイブなどと同じく危険が伴うため、禁止しているライブも少なくない。
[派生1]サークルモッシュ…円形のモッシュ。
[派生2]モッシュピット…大規模なモッシュの発生地域。
[関連用語]ウォール・オブ・デス、ダイブ、クラウドサーフ

【モニター(スピーカー)、コロガシ、横あて】
前述の「中音」を聴くために、演奏者に向けて設置されるスピーカー。特に大規模のライブでは、イヤモニの普及によって、近年では減少傾向にある。足元のモニターに足を乗せてプレイすると“こなれたギタリスト感”が増してカッコいいが、禁止されている場合もあるので要確認。


 

■ら行

 

【ローディー】
ライブやレコーディングの現場で、機材の搬入出やセッティング、楽器にまつわる本番中の補佐を行う。楽器の調整や音作りを行う「テック(ギターテクニシャン)」と兼任する場合も多い。PAエンジニア同様、ライブに欠かせない存在。


(Go!Go! GUITAR 2018年1月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海

 

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