ギタリストの嗜み、それはチューニング!Let'sチューニング実力診断【Go!Go! GUITAR プレイバック】

チューニング…それは各弦を正しい音程に調整する行為であり、スポーツで言うなれば準備体操のようなもの! 本講座では、確実なチューニングを行うことの重要性から、チューニングが狂う原因、そしてチューナー/音叉を使ったチューニング方法を徹底レクチャーするぞ!
チューニングって何?
プロがチューニングにこだわるワケ
チューニングとは、6本の弦を正しい音程に合わせる作業のこと。プロミュージシャンのライブでは、演奏前やMC中にチューニングを頻繁に行っている姿をよく見かけるが、チューニングをおろそかにすると“音痴”な演奏をお客さんに聴かせることになってしまうので、ギターを正しくチューニングすることはギタリストにとって最重要とも言えるエチケットなのだ。また、正しいチューニングを行うことで、耳が肥えるというメリットも!
原因は構造上の問題がほとんど! 正しい知識を持っておこう!
チューニングが狂う原因は、“弦”と“構造上の問題”に大別できる。特にありがちなのが、弦がサビている場合だ。サビた弦を使っていると、ピッチ(音程)が不安定になるためチューニングが狂う原因に。弦がサビてザラザラしている場合は、早急に弦を交換しよう。また、ペグやナットの精度が悪かったりトレモロアームを多用する場合にチューニングが狂うことも。この場合は楽器屋さんなどで相談しよう!
原因 弦がサビている
▲弦がサビていると、ピッチが狂いやすくなるだけでなく演奏性も著しく低下するぞ!
解決 新しい弦に交換
▲新しい弦はピッチも安定する。ライブ前または前日に弦を交換する習慣をつけよう!
原因 弦が伸びていない
▲張ったばかりの弦はまだ伸び切っていない状態。徐々にチューニングが狂うぞ!
解決 弦交換後は弦を伸ばす!
▲弦を張ったあとは、「弦を引っ張る→チューニング」を数回繰り返して馴染ませよう。
原因 弦の巻き方が悪い
▲弦の巻き方が悪いと音が狂う原因に。巻き方を間違えたら、一度取り外して再度トライ!
解決 正しい巻き方で!
▲弦は上から下に向かってとぐろ状に巻くと、巻きつけが安定してピッチの狂いを防ぐ。
チューナーの種類を知ろう
●スタンダードタイプ
▲自宅練習用に最適なタイプ。内蔵マイクや入力端子を装備しているため、アコギ/エレキどちらでも使用可能だ。
●クリップタイプ
▲簡単で手軽なのがこのタイプ。ケーブルでギターにつながなくとも、ヘッドに装着するだけなのでステージ上でも便利。
●ペダルタイプ
▲ギターとケーブルで接続するタイプ。エフェクターボードに組み込めるというメリットも。エレアコ/エレキのみ使用可。
…とその前に、各弦の正しい音程を知っておこう
Question 1
各弦の音名を書き込もう!
【答え】
6 弦= E / 5 弦= A /4 弦= D / 3 弦= G / 2 弦= B / 1 弦= E
Question 2
音名を書き込もう!
【答え】
ド= C /レ= D /ミ= E /ファ= F/ソ= G /ラ= A /シ= B
各弦の正しい音程を知って音の狂いに気付く耳を養おう
1弦から6弦まで、各弦には正しい音程が決まっていて、チューニングによって正しい音程に合わせていく。これらの音を耳で覚えることで、チューニングの狂いにも敏感に気付くようになるのだ。
チューニングの流れ(6弦の場合)
メーターが中央に来るようにペグを回して音を合わせよう
6弦から1弦まで順番にチューニングしていこう。開放弦を鳴らし、音程が低い場合はペグを締め、反対に音程が高い場合はペグを緩める。チューナーのメーターが中央に来れば、音が合った証拠だ!
ペグを締める方向
左右に3つずつペグがあるタイプは、4~6弦/1~3弦でペグを締める向きが変わるので注意しよう!
①開放弦を鳴らす
▲まずは開放弦を鳴らして音程を確認! 強く弾くとピッチが安定しないので適度な力で。
②チューナーを確認
▲6弦の音名はEなので、チューナーにEと表示され、メーターが中央に来るように合わせる。
③ペグを回す
▲メーターが中央より左を差している場合はペグを締め、右を差している場合はペグを緩める。
④メーターが中央にくればOK
▲6弦から1弦までチューニングしたら、再び全弦をチューニングするクセをつけよう。
音程が高くなりすぎた場合のチューニング
ペグはかならず“締める”方向でチューニングしよう!
音程が高くなりすぎた場合(メーターが中央を過ぎてしまった場合)、ペグを緩めながらメーターを中央に合わせようとすると音程が狂いやすくなる。一度、合わせたい音よりもペグを緩めて、再びペグを締めながら音を合わせていくと安定するぞ!
NG ペグを緩めて音を合わせる
▲このようにペグを緩めて音を合わせようとすると、弦やペグに緩みが生じてしまい、チューニングが安定しない。
OK ペグを緩めて、再び締めながら合わせる
▲一度大きくペグを緩め、再びペグを締めながらメーターを中央に合わせるとチューニングが安定する。かならずこの方法で!
まずは基準となる音を音叉で合わせる
慣れてきたらチューナーに頼らないチューニング方法にトライしよう!
チューナーを使えば手軽にチューニングできるけど、音感を鍛えるという意味でも音叉を使ったチューニングは習得しておきたい! 手順は、5弦の音を音叉の音に合わせて、その5弦を元に他の弦をチューニングしていく。チューニング方法は2つあり、実音を使う方法とナチュラルハーモニクスを使う方法。前者のほうが簡単だが、後者のほうがより精度の高いチューニングを行うことができる。
①5弦を鳴らす
▲ 5 弦開放でもいいけど、5 弦5フレットのナチュラルハーモニクスのほうが精度が高くなる。
②音叉を鳴らす
▲音叉で膝を叩いて、基準音となるA の音を出す。音叉は440Hz のものを購入しよう。
③2つの音を聴く
▲ 2 つの音がうねっていると音程は合っていない。音のうねりがなくなるまでペグで調整しよう。
④ペグを回して調整
▲音のうねりが速いほど音程は狂っている。少しずつペグを回しながら音を合わせていこう。
2つのチューニング方法を覚えるべし!
●実音で合わせる方法
【チューニングの手順】
基準となる5弦のA(ラ)を正確に合わせる。次に6弦5フレットの音を5弦開放の音に、5弦5フレットの音を4弦開放に…と合わせていく。3弦だけポジションが若干変わる(3弦4フレット)ので注意。
●ハーモニクスで合わせる方法
【チューニングの手順】
実音よりも高い音程のハーモニクスは、音程が聴き取りやすく、より正確な調整ができる。ナチュラルハーモニクスの出し方は、フレット真上に指を乗せて、ピッキングと同時に指を離すだけ。ポーンという音が出れば成功。3 弦のハーモニクスが出しにくい場合は実音で行おう。
ライブには音が狂う要素がたくさん
こまめなチューニングが必須!
ライブではヘンな力が入ってしまっていたり、照明の熱が影響したりでチューニングが狂う要素が無数に存在する。人に聴かせるからこそ、よりチューニングにはシビアにならなければいけないのだ!
その1 演奏直前にチューニング!
照明が当たるステージ上では、照明の熱によってわずかな時間でもチューニングが狂う可能性がある。ステージに上がったら、演奏前にチューニングを行う習慣をつけよう。
その2 本体側のボリュームは上がってる?
クリップタイプは問題ないけど、ペダルタイプのチューナーはギター本体側のボリュームがゼロだと反応しない。チューナーが反応しない!と焦る前にまずは確認しよう。
その3 トレモロアームの多用に注意
トレモロユニットが搭載されたギターのみの話だけど、音程を大胆に変化させるトレモロアームを多用するとチューニングが狂う原因に。事前にきちんと調整しておこう。
その4 MCを活用してチューニング
MC中でも曲間でも、チューニングできる時間があるなら確認しておこう! カポをつける際もチューニングがズレやすいので要確認!
チューナータイプによるセッティング
●スタンダードタイプ
▲エレキやエレアコはチューナーにシールドケーブルで接続して、アコギは内蔵マイクに近づけて弾く。内蔵マイクは周りに音があるとうまくチューニングができないぞ!
●クリップタイプ
▲クリップタイプはヘッドに挟んで使う。小型かつお手頃価格で、アコギ/エレアコ/エレキ問わず使えるのでぜひ1台は持っておきたい。
●ペダルタイプ
▲エフェクターボードに組み込む場合は、一番手前(ギター側)に置くのが基本。オンにすると出音をミュートできるので、ライブを頻繁に行う人は必須!
(Go!Go! GUITAR 2017年2月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海