運指やピッキング、リズム感がよくなるぞ!5分でできる!デイリーエクササイズ【Go!Go! GUITAR プレイバック】


スポーツ選手が試合ばかりでなく地道な基礎トレーニングが必要なように、ギターでもそのようなトレーニングの積み重ねが重要なのは言うまでもないよね。ここではそんな日頃の基礎トレーニングに最適なフレーズをいくつか紹介するのでぜひ試してみよう。これでレベルアップ間違いなし。

解説:阿部比呂史

デイリーエクササイズ(1)

 左手のフィンガリングをスムーズにするためのトレーニングだ。4本の指を4つのフレットに割り当てて1フレットずつ弾いていくという機械的な動きのようでもあるけど、このように開放弦も入れて弾くと全てが半音で繋がった半音階になるんだ。3弦だけが4フレットを弾かないのは2弦開放と同じB音であるためだ。半音階は英語でクロマチックスケールと言うので覚えておこう。
 始めからあまり急いで弾かず、指をしっかり立てて、フレットの際を押さえるなどのフォームも意識し、まずは正確にゆっくりから徐々にテンポを上げていくようにしよう。
 ある程度慣れてきたら、前半1、2小節目の上行の時は次の弦に移るまで先に押さえた指を離さないようにすると指がバタつかず更に無駄のないフィンガリングフォームを身につけることができるぞ(図1)。

 

デイリーエクササイズ(2)

デイリーエクササイズ(3)

 

デイリーエクササイズ(4)

 これは基本的なコードを使って、アルペジオの上行、下行を繰り返し正確なピッキングを身につけるトレーニングだ。違う弦を弾かないようにするのはもちろん、2本の弦を弾いてしまったり、空振りにも気をつけよう。
 右手のピッキング位置は固定せず、弾く弦に応じて右手の位置も上下させて、どの弦を弾いても常にピックの当たる角度が変わらないようなピッキングを意識しよう。
 また全ての音がしっかり鳴っているかもチェックしつつ練習し、うまく音が鳴らないところがあれば押さえた指が隣の弦に触れていないかなどコードフォームから再確認してみよう。

 慣れてきたらピッキングをダウン、アップ交互に弾くオルタネイトピッキングで練習してみてもよいだろう(図2)。

 

デイリーエクササイズ(5)

デイリーエクササイズ(6)

 

デイリーエクササイズ(7)

 メジャースケールとはつまりドレミ音階のトレーニングだ。「ドレミファソラシド、ドシラソファミレド」と弾くメジャースケールの上行、下行だったらみんな結構弾いたことがあると思うんだけど、これはドレミファ、レミファソ、ミファソラ…というように4音ずつ折り返して段階的に弾いていくというワンステップ上のトレーニングで、スケールのポジション把握にとても効果的だ(図3)。
 ポジションが3~5弦は2~5フレットなのに対し、1~2弦は3~6フレットになっているので3弦から2弦に移る時、またはその反対での指使いがポイントだ。譜例通りの指使いにしたがって無駄のないフィンガリングを身につけよう。

 

デイリーエクササイズ(8)

デイリーエクササイズ(9)

 

デイリーエクササイズ(10)

 全音符から16分音符までの音の長さを把握するためのトレーニング。ブラッシングとは全ての弦をミュートした状態でストロークし「チャカッ!」という音を出すテクニックで(図4)、これを使ってひたすらリズムだけを刻むという練習だ。
 全音符や2分音符などの音の長い音符でも1小節ずつ4拍をしっかりカウントしながらプレイし、8分音符や16分音符などの短い音符ではこのような数え方で拍子を意識したプレイができるようにしよう。また弾いている音符によってカウントが速くなったり、逆に遅くなったりすることがないよう注意しよう。メトロノームなどを使うと効果的だ。
 また小節の順番を変えたり、テンポを80~120くらいの間で色々変えて練習してみると更に効果アップだ。

 

デイリーエクササイズ(11)

デイリーエクササイズ(12)

 

デイリーエクササイズ(13)

 これは3連符をオルタネイトピッキングで弾くトレーニングだ。3連符は8分音符3つを1拍とした奇数のリズムで、それに対しオルタネイトピッキングはダウンとアップの2つの動作からなる偶数の動きだ。つまり奇数のリズムを偶数の動作で弾くところに3連符の難しさがあるわけだけど、それもこのフレーズを使って完全に克服してしまおう。
 このようなオルタネイトピッキングで弾くと1拍目の3音と2拍目の3音ではダウンとアップが反対になる。あくまで交互に弾くのでダウンが連続あるいはアップが連続してしまわないように注意しよう。更に2小節目と4小節目ではフレーズが4音の繰り返しになっているけど、これに惑わされないように拍ごとに足を踏み鳴らしたり、ピッキングの強弱でアクセントを付けたりして拍の頭を強く意識して弾こう(図5)。

 

デイリーエクササイズ(14)

デイリーエクササイズ(15)

 

デイリーエクササイズ(16)

 ピッキングの弦移動はいつも隣の弦同士とは限らない。これはよく使われる弦跳びフレーズなので、これを繰り返し練習して弦を1本跨いだピッキングの距離感を掴んでおこう。
 また、左手のスライドを交えた運指もポイントだ。低音側の弦は全て中指を使い、それに対し高音側のポジションが同じフレットの場合は薬指、1フレット下のポジションでは人差指とすることでスムーズなポジション移動を可能にしているのだ(図6)。2本の弦を同時に弾くことはないがキレイにハモって聞こえるように低音側の中指は常に押さえたまま音をできるだけ伸ばそう。

 

デイリーエクササイズ(17)

デイリーエクササイズ(18)

 

デイリーエクササイズ(19)

 ギターソロなどをギターらしくプレイする上ではハンマリングやスライドなどの基本テクニックが必要不可欠だ。でもそのテクニックをただ練習するだけでは使い所や効果がわかりにくいよね。これは基本テクニックをまずはハンマリング、プリング、スライドに限定し、実際に多く見られるようなフレーズ上で使用する場合を想定した実践的なトレーニングだ。更にポジションを変えて練習してみてもいいかもね。

 

デイリーエクササイズ(20)

 

デイリーエクササイズ(21)

 パワーコードはバレーコードのメジャー、マイナーそれぞれのフォームに共通した低音側の3音に相当するので、このパワーコードの強化が自ずとバレーコードの強化にも繋がるというわけだ。とにかく移動の際にフォームを崩さないことが最重要課題だ。(図7)

 

デイリーエクササイズ(22)

デイリーエクササイズ(23)

 

 

(Go!Go! GUITAR 2018年5月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海