PELICAN FANCLUBの「自分を進化させた楽曲」プレイリスト

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mysoundイチ押しのアーティストにテーマに合わせた楽曲をピックアップしてもらい、その曲にまつわるエピソードから本質を掘り下げていくプレイリスト企画。今回は、いわゆる日本語のギターロックバンドの形態を持ちながら、そのサウンドはシューゲイザー、ドリームポップ、ポストパンクなど、海外のミュージックシーンともリンクする要素もあるPELICAN FANCLUBの登場です。彼らがより他の誰とも代えの効かない存在として、1曲1曲の強さを増した初のフルアルバム『Home Electronics』を完成しました。訳すと”家電”というタイトルを持つこのアルバムは、これまで以上にこのバンドにしか果たせない”役割”が曲やサウンドに明確に現れている印象。そんな自信作を創り上げたメンバーが、このアルバムにも関連する「自分を進化させた楽曲」というテーマでプレイリストを作成してくれました。PELICAN FANCLUBを構成する音楽的な要素やバックボーン、そしてバンドとしてのスタンスがわかる選曲になっています。

カミヤマ“原点はそこだし、ロックバンドが好きなので”

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L→R : シミズヒロフミ(Dr),クルマダヤスフミ(Gt),カミヤマリョウタツ(Ba),エンドウアンリ(Gt,Vo)

 

―PELICAN FANCLUBってシューゲイザーでもドリームポップでもあるけど、新作を聴いて、やはり日本のギターロックバンドなんだなという印象を持ちました。

カミヤマ:原点はそこだし、ロックバンドが好きなので。それを軸にできたことによって、逆に12曲いろんな顔を持った曲ができたなと思います。

エンドウ:僕らが思春期によく聴いていた音楽を今改めて聴くと、この人たちはこういったルーツがあったーーそれは洋楽や邦楽など様々なんですけど。邦楽のギターロックではありながらも、ちゃんと要素は散りばめられてるっていうことにすごく美学を感じて、僕らもそうあるべきだなと思ったんです。

―歌詞もわかりやすくなりましたね。

クルマダ:どうした方がもっと伝わるか?っていうところをみんなで話し合って。今回、合宿をしたんですけど、その時に歌詞に対してみんなで集中して取り組めたという部分もあって。そこが今回、詞が伝わりやすくなった一面としてありますね。

エンドウ:それに曲ごとのシチュエーションもすごく意識しましたね。「深呼吸」だったらほんとに深呼吸の音を入れたり、目に見えない細かい部分もやりましたね。バンドをやってる以上、曲を作ることって誰でもできるけど、でもその上で見えないこだわりみたいなものが僕はバンドとして一番カッコいいところだなと思うんですよね。

―さて今回の「自分を進化させた曲」というテーマは誰の発信ですか?

シミズ:俺です。進化って、いろんな状況があるじゃないですか?これを経てどうなったかとか。なのでメンバーそれぞれがどうなのかな?ってとこで(笑)、自分がちょっと興味あったんです。

―では発案者のシミズさんの1曲目のDA PUMPは進化にどう関わっているんでしょう。

シミズ:自分が選んだ2曲はざっくり言うと思い出系なんですけど、ダパンプの曲は小学校の修学旅行のとき、クラスで唯一MDウォークマンを持ってる友達が教えてくれた曲なんです。それまで音楽に興味がなかった状態だったので、めちゃクチャかっこいいなと思って一晩中聴いてたんですよ(笑)。それぐらい衝撃的で、この曲があったからこそ音楽を好きになれたきっかけの曲ですね。

 

Com'on! Be My Girl!
DA PUMP

 

―ザ・ベイビースターズの「ヒカリへ」との出会いは?

シミズ:これは大好きなアニメのオープニングテーマなんですけど、これがあったからこそさらに開けたというか。曲としてもオープニングからいきなりキャッチーなサビが来るじゃないですか?それがストレートに刺さりましね。

 

ヒカリへ
ザ・ベイビースターズ

 

―エンドウさんが挙げてくれたP-MODELの「Zebra」は?

エンドウ:彼らがアルバムのリリースを重ねて、毎回一緒じゃないかって言われてた時期の曲なんですね。でもこの時に出したオリジナルアルバムが『ONE PATTERN』っていう皮肉なタイトルで。つまり自分たちの姿勢を曲げない反骨精神に惹かれてしまって、この曲の聴き方が変わってしまったんですよ。

 

Zebra
P-MODEL

 

―曲や平沢進さんからの影響はどうですか?

エンドウ:実はピー・モデル初期に影響受けた歌い方をした部分があって。新作の「Black Beauty」の2番のAメロは、ピー・モデルの初期の歌い方に似ていると思います。

―確かに芝居っぽい歌い方をしてますよね。Tennisの「Never Work For Free」は?

エンドウ:アーティストの進化や変化と自分を対比してしまう癖があって。テニスは前2作がすごく好みで聴き狂っていたんですね。で、3、4年ぶりにこの曲が入っているアルバム(『Ritual in Repeat』)が出て聴いたとき、最初はそこまでピンとこなかったんです。

 

Never Work For Free
Tennis

 

エンドウ“また聴きたいと思える曲が一つあって。それがこの曲だったんです。”


―普通、それで聴かなくなってしまいそうですが。

エンドウ:それでもまた聴きたいと思える曲が一つあって。それがこの曲だったんです。歌い出しの拍(はく)がよくわからないっていうのがもう一回聴きたくなる部分だなと思って、そういう違和感をあざとくなく作ってしまうところに影響を受けましたね。

―カミヤマさんはPassion PitとAmerican Footballからのセレクトですね。

カミヤマ:大学1年生の時にこの2アーティストに会って、「こういうジャンルがあるんだ」って知ったきっかけの曲です。

―Passion Pitのこの曲に関してはどうですか?

カミヤマ:この曲が収録されているアルバム(『Manners』)はバンドサウンドも使いつつ、エレクトロな成分が強いというか混ざり具合がちょうど良いというか、それに衝撃を受けたことが大きいですね。あと、サビがほとんどシンセリフみたいな感じだし、もっと言えばサビがないような感じも新鮮でした。

 

Sleepyhead
Passion Pit


―American Footballのこの曲に関しては?

カミヤマ:この曲に関しては、僕がエモに傾倒していくきっかけになった曲で。色々なバンドいるんですけどなぜかここから入ったんですよね。確かベースが正規のメンバーにはいなくてギター2本とドラムなんですけど、2本ともリードギターみたいな音楽をあまり聴いたことがなくて、それにとても衝撃受けましたね。

 

Never Meant
American Football

 

―クルマダさんの選んだbuilt to spillもギター・アンサンブルが特徴的ですね。

クルマダ:この曲で衝撃を受けたのはギターが3本入ってるんですけど、バッキングもかっこいいしリードの重なり方もすごい良くて。リードの乗せ方もちょっと外してくる感じがすごくあるんですよ。揺らぎがあるというか。そういうギターは初めての体験でしたね。

 

The Plan
Built To Spill

 

―Foalsの「Inhaler」からはどんな影響を?

クルマダ:Foalsはダンサブルなイメージで捉えてたんですけど、この曲を聴いた時、それにプラス、サビでのヘヴィなリフの混ざり方が新鮮で。ハードコアもエモの流れで聴いていて、同時にUSインディーも好きで聴いてて、Foalsはそういうものが混ざってるみたいな感覚がありましたね。

 

Inhaler
Foals

 

―独特ですよね。

クルマダ:この曲を聴いて衝撃を受けて、実際、今作の「許されない冗談」って曲ではその感覚を落とし込みたいなと思って。そういうアイディアをくれたという部分で自分を進化させた楽曲だと思います。

―新作『Home Electronic』にダイレクトにつながる影響がわかりました。ところで、この新作のリリース後の展望は?

エンドウ:ブレずに自分たちがこの『Home Electronics』というアルバムを作った時の気持ちと変わらないまま、届けたいところに届いたらいいなと思います。自分たちは“これがPELICAN FANCLUBだ”っていうことをこのレコーディングを経て4人で共有できたと思うので、もっと肩を組めるような活動をしていけたらいいなと思います。

 

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ORIGINAL PLAYLIST

PELICAN FANCLUBの「自分を進化させた楽曲」プレイリスト

シミズ ヒロフミ(Dr)

Com'on! Be My Girl!
DA PUMP
 
ヒカリへ
ザ・ベイビースターズ

 

エンドウ アンリ(Gt.Vo)

Zebra
P-MODEL
 
Never Work For Free
Tennis

 

カミヤマ リョウタツ(Ba)

Never Meant
American Football
 
Sleepyhead
Passion Pit
 

クルマダ ヤスフミ(Gt)

The Plan
Built To Spill
 
♪​​​​​​​Inhaler
Foals

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NEW RELEASE

PELICAN FANCLUB『Home Electronics』
2017.05.10(水)Release

♪​​​​​​​Home Electronics
PELICAN FANCLUB

 

DISCOGRAPHY

♪​​​​​​​OK BALLADE
PELICAN FANCLUB
 
♪​​​​​​​ANALOG
PELICAN FANCLUB
 
♪​​​​​​​PELICAN FANCLUB
PELICAN FANCLUB

 

PROFILE

2012年に結成。エンドウアンリ(Gt.&Vo)、カミヤマリョウタツ(Ba)、クルマダヤスフミ(Gt)、シミズヒロフミ(Dr)。甘酸っぱいメロディーと多幸感、そしてどこかシニカルな歌詞が魅力の新世代ドリームウェーブバンド。2015年に1st ミニアルバム『ANALOG』をリリース。ツアーファイナルでは下北沢SHELTERにて初ワンマンライブを開催。同年全国リリース前にも関わらずフジテレビ<LIVE FACTORY 2015>に出演し、2ndミニアルバム『PELICAN FANCLUB』で〈UK.PROJECT/DAIZAWA RECORDS〉期待の新人として堂々デビュー。大きな注目を集め<UKFC on the Road><スペースシャワー列伝><SAKAE SP-RING><MINAMI WHEEL>など各地イベントに出演。11月には渋谷 WWWでのワンマンライブを満員の会場の中成功させた。2016年6月には3ndミニアルバム『OK BALLADE』をリリース。そして2017年5月、待望のファーストアルバム『Home Electronics』をリリース。東名坂ワンマンを含む7箇所でツアーを行う。

PELICAN FANCLUBアーティストページ

 

LIVE

■<PELICAN FANCLUB TOUR 2017 “ELECTRONIC STORE”> 
日程:2017年6月9日(金)
会場:名古屋 APPOLO BASE
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥3,000 (+1D)/DOOR ¥3,500 (+1D)

日程:2017年6月18日(日)
会場:大阪 阿倍野ROCKTOWN
時間:OPEN 16:30/START 17:00
料金:ADV ¥3,000 (+1D)/DOOR ¥3,500 (+1D)

日程:2017年6月25日(日)
会場:東京 代官山UNIT
時間:OPEN 16:30/START 17:00
料金:ADV ¥3,000 (+1D)/DOOR ¥3,500 (+1D)

日程:2017年6月30日(金)
会場:福岡 graf
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

日程:2017年7月2日(日)
会場:広島 BACK BEAT
時間:OPEN 18:00/START 18:30
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

日程:2017年7月3日(月)
会場:高松 DIME
時間:OPEN 18:00/START 18:30
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

日程:2017年7月11日(火)
会場:新潟 CLUB RIVERST 
時間:OPEN 18:00/START 18:30
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

日程:2017年7月12日(水)
会場:金沢 vanvanV4
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

日程:2017年7月13日(木)
会場:仙台 enn 3rd
時間:OPEN 19:00/START 19:30
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

日程:2017年7月14日(金)
会場:千葉 LOOK
時間:OPEN 18:30/START 19:00
料金:ADV ¥2,500 (+1D)/DOOR ¥3,000 (+1D)

詳細はオフィシャルサイトで
http://pelicanfanclub.com/


Interview&Text:石角 友香
<Profile>
音楽ライター/エディター。
ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Skream!」「PMC」「EMTG music」「NeoL」などで執筆。音楽以外のポップカルチャーの取材、執筆も行う。

Photo:山口 真由子

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