弾いてナットク!すぐ使えるスケール入門 第1回 基礎知識&ペンタトニックスケール【Go!Go! GUITAR プレイバック】


この連載では、曲のメロディーやコード、ギターのフレーズなどの基盤として用いられるスケールの特徴や使い方などを紹介していく。第1回目では、スケール全般についての基礎知識と“ペンタトニックスケール”を覚えよう!

解説/浦田泰宏

スケール入門(1)

“スケール” は日本語で「音階」と呼ばれ「1オクターブの範囲内で音を高さの順に並べたもの」という意味だ。音の数や選び方で多くの種類がある。譜例1のような「ドレミファソラシ(CDEFGAB)」という音階も“ メジャースケール” というスケールの一種だ。この譜例はCの音を起点(トニック)とする“C メジャースケール” の例で、トニックの高さによってキー(調)が決まる。
メジャースケールは、メジャーキー(長調)のメロディーおよびコードの基盤として用いられ、譜例2(a) のようなメロディーやギターのフレーズを作るために使われたり、(b) のように音を重ねることで、メロディーを伴奏するコード(和音)が作られたりする。
なお、スケールとして表示されるのは1オクターブの範囲内の音だが、実際に使われるのはオクターブ違いの音も含まれるので覚えておこう。

 

スケール入門(2)

スケール入門(3)

 

スケール入門(4)

スケールには、構成音(スケールノート)の数や高さによって多くの種類がある。今回は5個の音で作られる“ペンタトニックスケール”を覚えよう。

 

スケール入門(5)

ペンタトニックスケールには、メジャー(長調)とマイナー(短調)の2種類があり、「ドレミソラ(CDEGA)」という5個の音を並べ替えて作られる。C音をトニックとする場合は、譜例1のCメジャースケールから「ファ(F)」と「シ(B)」を抜いた5音構成で、「ド」をトニックとするとメジャーペンタトニック、「ラ」がトニックならマイナーペンタトニックというスケールになる(譜例3)。構成音は同じだが、前者は明るく、後者は暗いメロディー感覚が特徴だ。
ペンタトニックスケールは、古くから世界各地の民謡や童謡などで用いられていて、メジャーペンタトニックは「蛍の光」などのスコットランド民謡、マイナーペンタトニックはロックの母体であるブルースや、「ソーラン節」など日本民謡のメロディー的基盤になっている。ペンタトニックスケールは、通称“ ペンタ” と略されることが多い。

 

スケール入門(7)

 

スケール入門(7)

ギターでスケールを覚える場合は、構成音を覚えるよりもフィンガーボード上のポジションを覚えるほうが簡単だ。特にペンタトニックスケールはポジションの形が視覚的にわかりやすいので、音符よりもまずカタチで覚えたというギタリストも多いはずだ。実際のポジションはキーやコードによって何種類もあるが、まず覚えておきたいのが図1の2種類。メジャー/マイナーそれぞれのトニックが位置する弦から、(a) は「6弦トニック」、(b)は「5弦トニック」と呼ばれている。どちらも実際の演奏でよく使われるので、ポジション全体の形を覚えてしまおう。
他のキーで演奏する場合は、トニックをその音の場所に合わせて移動させればOK。例えばA(メジャー)のキーで弾くときは「ド」がA音になる位置(6弦5フレットまたは5弦12フレット)にポジション全体を移動させる。

 

スケール入門(8)

 

スケール入門(9)

ペンタトニックスケールは、ブルースまたはその影響を受けたロックにおけるマイナーペンタトニックスケールの使用例が大半だ。
譜例4(a) はAマイナーキーで6弦トニックのAマイナーペンタトニックスケールを使用したフレーズ例。チョーキングのポジションや2小節目での下行する音使いは定番的なものだ。各小節とも最後をトニックで締めくくることで、終止感のあるフレーズにしている。
譜例4(b) の1小節目は、Aのブルースで右の図2 のようなAマイナーペンタトニックスケールの高低音を左右に拡張したポジションを使用したフレージング。2小節目は、図のポジションを3フレット左へ移動させたAメジャーペンタトニックスケール(の1〜2弦の拡張ポジション)を使用している。
ブルース系フレーズでは、このように同じ音をトニックとするメジャーとマイナーのペンタトニックスケールを使い分けることで、明暗の幅が広いフレージングを可能にしている。このような使い方を「ミックスペンタトニック」などと呼ぶので覚えておこう。

 

スケール入門(10)

スケール入門(11)

 

スケール入門(12)

ペンタトニックスケールを活用した曲の例として「フルドライブ」(KANA-BOON)のギターリフを紹介しよう。
キーはEマイナーで、ギターリフやボーカルメロディーの大部分はE音をトニック(ラ)とするEマイナーペンタトニックスケールで作られている。
譜例5(a)はイントロ冒頭部分のギターリフで、図3のような5弦トニックのポジションをナット方向に拡張したポジションを使用している。
(b)はイントロ後半から重なってくる別のパートによるリフ。(a)のバリエーション的なパターンで、図3 の2〜4弦部分を使用している。どちらもブルース起源のロックと日本民謡のメロディー感覚とのミクスチャー的なテイストが感じられる。

 

スケール入門(13)

スケール入門(14)


(Go!Go! GUITAR 2018年12月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海

 

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