パワーコードから卒業!サウンドが劇的に変わる!やさしく覚えるテンションコード6【Go!Go! GUITAR プレイバック】


さて今回は、9thのテンションが半音上下に変化した♭9thと♯9thという2種類のテンションを含むコードを紹介しよう。この2つのテンションは、セブンスコードのみに加えることが可能で、“フラットナインスコード”と“シャープナインスコード”という2タイプのコードが作られる。

【Vol.6 フラットナインスとシャープナインス】

解説/浦田泰宏

やさしく覚えるテンションコード(1)

この連載の第1回目でも触れているが、「9th、11th、13th」のように、♭も♯もつかないテンションを“ナチュラルテンション”といい、今回取りあげる「♭9th、♯9th」のように♭や♯がつくテンションは“オルタードテンション”という。ちなみに「オルタード」とは「変化した、変更された」という意味だ。

♭9thと♯9thは、最初に書いたようにセブンスコードのみに加えることができるテンションで、譜例①のような2種類のコードが作られる。それぞれの構造を確かめよう。

♭9thは9thの半音下(=ルートの半音上)の音。この音を加えたコードはやや暗いひびきになる。
♯9thは9thの半音上で、ルートからは短3度(半音3個分)上にあたる。ブルーノート(ブルースの特性音)である♭3rdと実質的には同じ音で、ブルースっぽい響きが特徴になる。

 

やさしく覚えるテンションコード(2)

 

やさしく覚えるテンションコード(3)

図1はフラットナインスコードとシャープナインスコードの代表的なフォーム例。フラットナインスコードの(a)のフォームは、押さえる場所を移動させることで、別の音をルートとするコードとしても使用される。(b)は6弦開放ルートのE7の1弦を♭9thのテンション(1フレットのF音)に変更したフォームだ。

シャープナインスコードは、ほとんどのケースで(a)のフォームが使われる。6弦ルートの(b)は、1〜6弦1フレットをバレーするF7コードの1〜2弦を4フレットの音に替え、4弦をミュートしたフォームだ。

それぞれ押さえ方を確認したら、EX①で各コードを使用したフレーズを弾いてみよう。(a)はフラットナインスコードを使用したアルペジオ。(b)はシャープナインスコードを使用したコードカッティングだ。それぞれコードの響きを確認しながら弾いてみよう。

 

やさしく覚えるテンションコード(4)

 

やさしく覚えるテンションコード(5)

 

やさしく覚えるテンションコード(6)

響きや機能が似ていることから置き換えて使うことができるコードのことを“代理コード”などという。代理コードは主にジャズの分野で使用されるが、ここではロックなどのジャンルでも活用できる、フラットナインスコードとディミニッシュコードの代理関係について書いておこう。

譜例②(a)のC7(♭9)コードのルート以外の音はEdimコードと同じ音なので、EdimはC7(♭9)の代理コードとして使うことが可能だ。ただしEdimにはルートのC音が含まれないので、ベーシストなどがルートを弾かないと、完全なC7(♭9)の響きにはならない。

また、ディミニッシュコードは、短3度(半音3個分)の音程の積み重ねでできていることが特徴だ。図2を見てもらうとわかるように、全部の音が3フレット間隔で並んでいて、その中のどの音をルートとしてもディミニッシュコードが成り立つ。譜例②(b)のEdimコードは、E音以外の「G、B♭、D♭」の各構成音をルートとして並べ換えても、ディミニッシュコードになる。これらのコードも、C7(♭9)の代理コードとして使うことができる。コードネームがわからなくても「フラットナインスコードのルート以外の音を含むディミニッシュコードは代理コードになる」と覚えておけば、フィンガーボード上のポジションからフォームを見つけることができるはずだ。

また、このようなディミニッシュコードの応用的な使い方として、♭9thが含まれないセブンスコードに♭9thのテンションを加えたいときにディミニッシュコードを弾くことで、結果的にフラットナインスコードにすることが可能だ。

 

やさしく覚えるテンションコード(7)

 

やさしく覚えるテンションコード(8)

 

やさしく覚えるテンションコード(9)

今回紹介した2種類のテンションコードから、フラットナインスコードを使用した実例として、「ウエディング・ソング」(斉藤和義)のサビの部分(0:56〜)を弾いてみよう(EX②)。4小節目のD7(♭9)は、D7コードに♭9thのテンションを入れることで、一時的に暗いひびきを作り出している。ここでのD7(♭9)コードの押さえ方は、図1で紹介している(a)の押さえ方を2フレット上げ、1弦5フレットの5th(A音)を足したものだ(図3)。押さえ方が難しいので、まず図1(a)のように2〜5弦だけ押さえて弾き始め、3拍目の直前で1弦を小指で押さえてもよいだろう。

 

やさしく覚えるテンションコード(10)

やさしく覚えるテンションコード(11)

 


 

■INFORMATION
この連載は『Go! Go! GUITARブックス パワーコードから卒業!ギタリストのためのやさしく覚えるテンションコード』とリンクしています。

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(Go!Go! GUITAR 2017年11月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海

 

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