パワーコードから卒業!サウンドが劇的に変わる!やさしく覚えるテンションコード7【Go!Go! GUITAR プレイバック】

マイナーセブンスコードに9thのテンションを加えたコードが“マイナーナインスコード”だ。基本的な性格はマイナーセブンスコードに似ているが、より広がりのあるひびきが特徴だ。さらに今回は、ここまでにまだ取り上げていない9thを含むテンションコードのバリエーションも紹介しよう。
【Vol.7 マイナーナインスコード】
解説/浦田泰宏
マイナーナインスコードは、「ルート、♭3rd、5th、♭7th」という4音から成るマイナーセブンスコードに9thのテンションを乗せた、5音構成のコードだ。この連載の第3回で紹介したマイナーアドナインスコード(マイナーコード+9th)に♭7thを加えた構造であり、または第5回で紹介したナインスコード(セブンスコード+9th)の3度音を半音低くした構造でもある。コードネームはナインスコードなどと同じように「セブンス」を略して呼ぶ。譜例①を見てどんな音で作られているかを確かめよう。
図1はマイナーナインスコードの代表的なフォーム例。(a)はオープンコードの代表例で、6弦がルート、1弦が9thのテンションになる。その開放弦をバレーに置き換えたのが、(b)のフォームだ。コードカッティングなどでは、5〜6弦を省略した形で用いられることも多い。
(c)は5弦をルートとするフォームの代表例。ある程度テンションコードを弾き慣れている人なら、マイナーナインスというと真っ先に思い浮かぶのがこのフォームのはず。
(d)はオープンハイコードの例で、5弦開放がルート、2弦開放が9thのテンションになる。メロディックなアルペジオなどで使われることが多いフォームだ。
マイナーナインスコードの代表フォームを確認したら、9th系テンションを含むコードを使用したコード進行を弾いてみよう。EX①は、図1(c)と同形のEm7(9)コードを起点とする、ジャズやボサノバでよく使われる進行例だ。2小節目のE♭7(9)は、ナインスコード(セブンスコード+9th)の典型フォームで、その前のEm7(9)コードとは4弦(3度音)以外の音の位置関係が共通。3小節目後半のD♭7(♯9)コードは、前回紹介したシャープナインスコード(セブンスコード+♯9th)の典型フォームだ。
1小節目から通して弾いてみるとわかると思うが、1小節目から3小節目前半にかけて2弦の音がルートと並行して半音ずつ下がっていき、3〜4小節目はルートが半音ずつ下行していくのに対して2弦のトップノートは同じ音(この例では2弦5フレットのE音)になる。このようなスムーズな音のつながりが作れることも、テンションを活用したコード進行の特徴のひとつだ。
ここでは、EX①でも使用したナインスコードなど、マイナーナインスコード以外にも9thのテンションを含む、代表的な5音構成のコードをいくつか紹介しよう。
譜例②(a)は3rdを含むメジャー系コード、(b)は♭3rdを含むマイナー系コードだ。すべてC音をルートとする例で、「ルート、5th、9th」の3音は同じ音だ。図2は、各コードのフォーム例。比較しやすいように同じポジション上のフォームを選んである。
このような付加音を含むコードの覚え方としては、図3のような同弦上での度数の配列を暗記しておくのがコツ。「6th(長6度)-♭7th(短7度)-7th(長7度)-ルート」という半音ずつの並び方がわかると「Cm7(9)の♭7thを半音下げるとCm6(9)になる」というようなフォームの関係性から、自力でコードフォームを見つけることができる。
以上のことを踏まえた上で、EX②を弾いてみよう。これは図2(b)のような9thを含むマイナー系テンションコードを使用したオープンハイコードのアルペジオフレーズだ。マイナーアドナインスコードを起点として、4弦の音が半音ずつ下がっていく。それ以外の音はすべて共通で、5弦開放がルート、3弦5フレットが♭3rd、2弦開放が9th、1弦開放が5thにあたる。3小節目のAm7(9)コードは、前ページの図1(d)のフォームだ。
マイナーナインスコードを使用した実例として、charの初期の代表曲である「Smoky」のコードカッティングを紹介しよう。EX③はボーカルコーラスの冒頭部分(0:29〜)からの抜き出しで、Dm7(9)とEm7(9)という同形の2つのコードを中心とするバッキングプレイだ。
各フォームとも4弦を押さえる人差指はコの字に曲げ、それ以外の指はフレットのすぐ近くまで伸ばすようにする。使用しない6弦は中指、1弦は小指または人差指の根元部分でミュートしよう。押さえ慣れないと少々難しく感じられると思うが、よく使われるフォームなのでマスターしておきたい。
実際の演奏に関しては、16分音符のリズムでの右手のストロークを規則的に続けながら、それに左手で弦を押さえたりミュートしたりするタイミングを合わせることが課題。2〜4小節1拍目の休符は、右手はストロークせずに左手で弦をミュートして音を切る(その状態でストロークするとブラッシングになる)。最初はゆっくりしたテンポで練習して、両手のコンビネーションを確実に覚えよう。
■INFORMATION
この連載は『Go! Go! GUITARブックス パワーコードから卒業!ギタリストのためのやさしく覚えるテンションコード』とリンクしています。
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https://www.ymm.co.jp/p/detail.php?code=GTB01094595
(Go!Go! GUITAR 2017年12月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海
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