映像作家ノガミカツキの思考を覗く!“想像力”を広げるオリジナルサウンドトラック10曲

 

こんにちは。今回、想像力を広げるプレイリストをご提案頂きました。学生の頃から私は家で一人で居る事が多かったです。仰向けで天井を見ながらずっと音楽を聞いて、想像力を広げていました。特にそういった時は、歌詞が無くてあまり騒がしく無い音楽を聞いている事が多いです。プレイリストではもう少し絞って、想像力を広げる、静かなO.S.T(オリジナルサウンドトラック)の選曲をさせて頂きました。自分は音楽のプロでも無いし、あまりかっこつけずに、人気ランキングなどに入っているものがほとんどですが、ご了承ください。

#1. 牛尾憲輔 – roh

『聲の形』のO.S.Tです。この曲は一番自分の寝室で聞くのにぴったりなんです。牛尾憲輔さんはアップライトピアノを解体し内部にマイクを設置して録音したそうです。なので、ペダルを踏む時の掠れる音や木がきしむ音なども録音されています。その狭い空間の中での広がり方が、自分の部屋を豊かな空間にしてくれます。映画では耳が聞こえない少女の細やかな感度や補聴器のノイズを扱うために使われたそうです。とても自分の生活に寄り添ってくれる楽曲たちです。

 

roh
牛尾憲輔

 

#2. 高木正勝 – 陽だまりノ守唄

不思議な声は多分高木正勝の変な歌だと思うのですが、言葉になりそうで言葉にならないくらいの感じが好きです。言葉にならなくても唄だって感じてしまうし、むしろ気持ちがそのまま音になっていると感じます。

 

陽だまりノ守唄
高木正勝

 

#3. コトリンゴ – 悲しくてやりきれない

『この世界の片隅に』のO.S.Tです。元々はやりきれない悲壮を感じる原曲ですが、『この世界〜』の映画の冒頭でかかるこの曲は、とても前向きなアレンジに聞こえ、映画の雰囲気がわかります。“白い”“深い”などの歌詞のイ音の母音の伸ばし方がとても深く聞こえて大好きです。

 

 

#4. Karen O And The Kids – Hideway

『かいじゅうたちのいるところ』のO.S.Tです。『her 世界でひとつの彼女』の時のKaren Oも好きだったのですが、Karen Oはこういう語尾を伸ばすような歌い方が好きです。シンバルの音が、森の音や草が飛んでいく風のように聞こえて、各々の楽器のリバーブ加減や定位の具合がとても空間を感じます。

 

 

#5. Nico – These Days

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』では書き下ろしではなく色々な楽曲をオムニバスみたいに使っていたと思うんですが、DJみたいな映画の作り方で好きです。けだるい感じのギターのイントロで既に最高だなあと感じてしまいます。

 

 

#6. Pink Martini – Sympathique

これはよくCMで使われている記憶があるのですが、シャンソン的な雰囲気のものを入れたくて入れました。ピンクマルティーニはポートランド出身のバンドですが、シャンソンを扱うだけで特別な雰囲気が出来上がって、シャンソンってすごいなあと感じます。

Sympathique
Pink Martini

 

#7. shunji iwai – ウヲアイニ

『花とアリス』のO.S.Tです。バイオリンって麗しい女性のようだなあって感じてしまいます。基本的に音を伸ばす楽器だからか、時間がゆっくり伸びていく感覚に陥っていきます。

 

ウヲアイニ
shunji iwai

 

#8. くるり – 恒夫とジョゼ

ここまで聞いてきて、自分は音の余韻が好きなんだなあと感じました。この曲もピアノのペダルを踏み続けたような音です。ピアノの音って落ちてくるイメージがあるのですが、自分の部屋の中に音が1つ1つ落ちてくる感覚になる楽曲です。ピアノ1つでずっと幸福になれると感じてしまいます。

 

恒夫とジョゼ
くるり

 

#9. 河野伸 – 白夜を行く

この曲だけ少し仰々しいですが、とても切々とした曲で悦に浸れます。ドラマ『白夜行』のO.S.Tでしたが、この1曲だけフィギュアスケートで使われているおかげでmysoundにもありました。確かに氷上に大胆に舞う音のようだなあと感じました。

 

白夜を行く
河野 伸

 

#10. Bjork – New World

『Dancer in the dark』のED曲です。映画では片田舎の現実的な描写の最後、処刑された際に使われますが、MVでは宇宙人が宇宙をトリップする映像をつくられています。同じ曲なのにこんなに真逆の世界でびっくりしますが、どんな場所で聞いても悦に入れるこの曲ならではだと思います。大体ハリウッドのO.S.Tとかだとめちゃくちゃ荘厳でうるさいオーケストラが多いですが、このオーケストラは本当に緩やかに強くなっていく印象で、うるさく感じません。全てを受け入れる強さを感じます。

最近地元に戻った私ですが、東京にいると自分について考える時間がとても少なかったです。自分を考える時の音楽として、少しでも役に立てたらとても嬉しいです。

 

 

Profile

ノガミカツキ

92年生まれ新潟県長岡市出身コンテンポラリーアーティスト。武蔵野美術大学卒業。
文化庁メディア芸術祭19th新人賞、ArsElectronicaサウンドアート部門選出、学生CGコンテスト20thグランプリ、アジアデジタルアート大賞2015優秀賞、FILEやWRO、Scopitone等海外メディアアート祭に出演。VICEにアーティスト特集、WIREDやDesignBoom、装苑、映像作家100人など多数メディア掲載。group_inou等のMVや、他CMなどを多数制作。

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