ほとばしる想いを歌とギターにぶつけよう!大石昌良のシンガーソングライター実践塾 vol.6 実践的“作詞作曲方法”【後編】【Go!Go! GUITAR プレイバック】


バンドSound Scheduleの他、ユニットOxTやソロなどさまざまな形態で活動し、音楽クリエイターとしてアニメ主題歌やアーティストへの楽曲提供などを行う大石昌良による作曲連載! シンガーソングライターに必要なノウハウを伝授します!

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大石昌良のシンガーソングライター実践塾(1)

 

Bメロはサビへの架け橋という認識が強いけど
一番言いたいことをさらっと言える場所でもある

何を言っているのかわからないような神秘的な歌も世の中にはたくさんありますけど、僕の曲は何を言いたいかがしっかりしていると思います。お客さんとの出会いは一期一会なので、パワーワードを残せるとあとでネットで調べてもらえるかもしれない。ハッとなる言葉は絶対にひとつは入れるように頑張っています。
歌詞のオチのつけ方は2パターンあって、サビの一番最後にオチを持ってくるパターンとBメロ頭にオチを持ってくるパターン。サビ頭は曲の顔なんですけど、親和性の高い歌詞とメロディーを選ぶので、言いたいことを言えるようで言えない場所というか。でもBメロ頭ってリラックスしている場所だったりするので、そこにパワーワードを入れることで聴き手に残ったりします。Bメロはサビよりも大切じゃないとか、サビへの架け橋になるパートという認識が強いけど、一番言いたいことをさらっと言える場所でもあります。(大石)

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(2)

▲︎ 楽曲としてのオチや言いたいことを、サビの最後やBメロ頭に入れることでパワーワードとして聴き手に強く印象づけることができる。

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(3)

 

2音節で構成される言葉はより英語っぽく聴こえる
西洋の音符に日本語を乗せようと思うこと自体が難易度が高い。それでも英語詞にせずに日本語詞に落とすことのほうがやりがいがあると思うので頑張ってもらいたいなと思います。日本語は母音の少なさが一番のネックになると思うので、それを念頭に入れながらどう言葉を乗せていくかが大事になってきます。メロディーと歌詞のシンクロ率を高めるために、日本語の中でも英語っぽく聴こえるものってあると思うんですよ。だいたいにおいて…この“だいたいにおいて”も、DAとI、TAとIができるんですよね。“DAI”を1音節と捉えることもできれば“DA”と“I”の2音節と捉えることもできるわけですよ。そういう風に、音符に乗せるときに2音節で構成される言葉はより英語っぽく聴こえるんです。こういうライミングはラッパーさんが得意で上手いなって思うことがあります。技術的なことでいうと、“会う”もaとuなんですけど、“あう”と表現せずに“au”というふうに1音節にすることができます。言葉をタイすることで稼げる、英語っぽい発音だったり言葉の乗せ方は玄人っぽさが出ますね。
自分で見つけていくのも面白いかもしれないです。僕はよく“一切合切”を使いますね(笑)。そういうのもわかりやすく出てきますよね。あと、ライミングの話をしましたけど、口触りや耳触りがいいなっていう言葉ってだいたいライムしているわけですよね。例えば、最後の母音が一緒っていう。例えばここに響きの革命という言葉がありますけど、「響きの革命、人の生命」みたいな“ei”が音節として一緒とかそういうライミングはわりと気を使ってやっていたりはしますね。(大石)

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(4)

▲ “だいたい”という言葉でも、1音節/2音節/3音節/4音節に区切ることができる。同じ言葉でも、メロに乗せやすい音節数などを考えて作曲しよう。

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(6)

▲ “会う”は2文字だが、“au”と1音節と捉えることもできる。同じことが “愛”や“恋”などにも言える。ちなみに大石は“一切合切”を多用するとのこと。

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(6)

 

声の音量とギターの音量を合わせることが大事だと思う
弾き語りを始めたての人が陥りがちなことがあって。アコギに限ってですけど、楽器と歌の音量バランスを間違えている方が多い。極力、声の音量とギターの音量を合わせる。どちらかが歩み寄ることが、歌を歌う人としてとても大事だと思うんです。耳障りだなとか、うるさいなって思うときってだいたい何かの音量バランスが悪いとき。ピッチが良くても、ギターとボーカルの音量バランスが悪いと不協和音が出ていなくても不協に聴こえてしまうことがあるので、自分が出しているボリュームを見直すことって大事かもしれないです。(大石)

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(7)

▲︎ ギターとボーカルの音量が揃っていないと、耳障りだと感じたり不協和音のように感じてしまう。

 

大石昌良のシンガーソングライター実践塾(8)

第1回でも言った通り、シンガーソングライターというのは作詞も作曲もアレンジもできちゃう孤高のスーパーマンだと思っています。ミュージシャンの中でも一番スキルが高いというか、一番やれることが多い職種だと思っています。僕もそうですけど、ステージに1人で立たなければいけないときは孤独との戦いだったり、テンパって頭が真っ白になることもあると思うのですが、それもひとつの経験。基本的にはお客さんは味方だと思いますから。敵は1人もいない。あえて言うならば、臆病な自分の心だったり不安だったりが一番の敵だと思います。そういう敵と戦うには練習あるのみ、実戦あるのみ、本番を含めての経験あるのみだと思うので、ぜひめげずに自分のほとばしる思いを歌とギターに乗せて、これからもいい音楽ライフを過ごしていただければと思います。(大石)

 

【PROFILE】
おおいしまさよし/80年、愛媛県生まれ。01年、Sound Scheduleのボーカル&ギターとしてデビュー。08年よりソロ活動を展開し、アニメ主題歌やアーティストへの楽曲提供を行う。“オーイシマサヨシ”名義ではアニソンシンガーとして活動し、Tom-H@ckとのユニット“OxT(オクト)”としても活動。
http://014014.jp

 

【INFORMATION】

DIGITAL SINGLE
「神或アルゴリズム(feat.りりあ。)」
2021年2月26日リリース

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(Go!Go!GUITAR 2019年2月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海

 

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