バンドでオリジナル曲を作ろう!【前編】【Go!Go! GUITAR プレイバック】


「バンドでオリジナル曲なんてまだ無理だよね…」と諦めているアナタ! そんなことはないのだ! 特にバンドをやっているなら、ちょっとした手順とコツを覚えるだけでオリジナル曲作りをはじめられるのだ!

解説/安保 亮
 

オリジナル曲を作ろう前編(1)


ビギナーには「オリジナル曲を作ってみたいけど、ギターも上手で理論もわからないと無理なんだろうな…」と、最初から諦めている人が多いのでは? この企画で紹介する作曲方法なら、ビギナーでもオリジナル曲が作れるようになるのだ!

とは言え、この企画での作曲術を実践するには、クリアして欲しい最低条件が2つある。条件の1つ目はこの作曲術はバンドを前提としていること。もちろんギタリスト1人でもほぼ同じコトはできるが、バンドで取り組むとその完成度は何倍にも向上する。まだバンドを組んでない人は友達と2人でも良いのでユニットを組み、PCやスマホを活用するなどしてドラム、ベース、ギター、歌の4つのパートを扱える環境を作って欲しい。

2つ目の条件は以下のEX-1を「そこそこ」の状態で演奏できるバンドであることだ。とは言えEX-1はシンプルな8ビートでギターはパワーコード、ベースはルートのみだ。キーボーディストのいるバンド用に一応コードの五線譜も付けたが、全音符のいわゆるシロタマでの演奏なのでピアノ経験が無い人でも弾ける内容だ。ここでは演奏方法を詳しく記譜しているが、C、F、Amなど、簡単なコード進行をバンドで決めて、EX-1と同じようにプレイできれば問題ない。すぐにオリジナル曲作りに取りかかろう。

ここで、あらかじめ1つ断りを入れておくが、「オリジナル曲を作れる」とは言っても決して「すぐに完成」というほど甘くはない。1曲完成するのにバンド練習を数回、場合によっては数十回以上掛かる可能性もある。それでもオリジナル曲は完成に向かって着実に進むはずだ!

 

オリジナル曲を作ろう前編(2)

 

オリジナル曲を作ろう前編(3)


一口に「作曲」と言ってもその中身は千差万別で、現代音楽、ビッグバンドのジャズ、プログレッシヴ・ロックetc...。人生を捧げて勉強と修行を積み、才能も伴わなければ作れない音楽も少なくないものの、私達が作りたいのはバンド/ユニットのオリジナル曲。もちろんプロのような名曲を完成させるには、プロの力量を持つバンドが数年死にものぐるいで努力したり、演奏技術の鍛錬や音楽理論を学ぶ必要もある。とは言え、将来そんな曲を完成させるために最も重要なのが「今作り始める」ことだ。

バンドのオリジナル曲を作る方法には...

1:音楽の神様から突然名曲が降りてくるのを待つ。      
2:自分のできる範囲で「うーん」と悩み続ける。
3:バンドの誰かが家で作ってくる。
4:バンドで顔を突き合わせて「うーん」と悩む。
5:素敵なコード進行を「うーん」と考える。
6:歌詞を作ってメロディーを作ってコードを付ける。
7:有名コード進行を参考に楽器でメロディーを作る。
8:コード進行を演奏しながら歌って作る。


等々、色々なアプローチ方法があるが、1~5はあまりにも非効率的。6はコード付けに問題が出る可能性大。結論としては7・8がおすすめなのだ。

 オリジナル曲を作ろう前編(5)

オリジナル曲を作ろう前編(6)


前項7・8は、とにかく最初にコード進行を決めてしまう点が共通だ。コード進行を自分で考えて作ることも随時トライして欲しいことなのだが、それには多くの既製曲の演奏経験か音楽理論などが不可欠。そうすると年単位の時間が掛かってしまう。因みにコード進行の種類は極めて膨大だが、一般的な人が「音楽的だな」と感じるコード進行の種類は無限ではなく有限。そして過去の作曲家・音楽家がありとあらゆるコード進行を既に試しており、その中でも使い勝手が良くスムーズなものは「定番コード進行」として様々な曲に活用されているのだ。つまり、コード進行は考えて作り出さなくても「調べて学んで活用する」ことができるものなのだ。

ここでは「定番コード進行」を演奏しながら声を出して歌うことで作曲を進めていく。例えばC-Am-F-Gのコード進行を弾きながら鼻歌を歌っているうちにEX-2のようなメロディーが浮かんできたとしよう。結果を先に言ってしまうと、このメロディーの好き嫌いは別として、コードの響きをしっかり聴きながら各音の音程をほぼ正確に取ることができるなら、この曲は音楽的にほぼ問題がなく正しいものになっているのだ。例えばこのメロディーの先を考える場合も、同様に定番コード進行からどれかを当てはめ、そのコードをバックに歌って作り進めれば、音楽的に正しい曲が出来上がるのだ。

また例えば1人でコードを弾きながらメロディーを考えていると、徐々にテンポが遅い方向に向かいがちで、バラード系な曲になってしまうケースが多々ある。ところが「あんな感じ・雰囲気の曲を作ろう!」とバンドで一緒に演奏しながら作れば、常に一定のテンポとリズムで作れるので、概ね狙いどおりでバンドらしい曲を作り進めることができるのだ。これもバンドで作曲するメリットの1つだ。

 

オリジナル曲を作ろう前編(7)


オリジナル曲を作ろう前編(7)

「コード進行を決めて歌う」ことでオリジナルのメロディーは作れるが、それだけでオリジナル曲は完成しない。ここでオリジナル曲完成までの作業を整理しておこう。

・コード進行を決める。例えばAメロ、Bメロ、Cサビの各セクション。
・ABC各コード進行に合わせてメロディーを考える。
・歌詞を作る。
・ABC各セクションのリズムパターンを考える(リズム・アレンジ)。
・イントロ、間奏、エンディングなどをコード進行も含めて作る。
・イントロ-A、A-B、B-C…、さらにリピート時などのつなぎ目を考える。
・メンバー各パートの演奏内容を作る(パート・アレンジ)。
・必要に応じてコーラスも考える。


と、ライブなどでお披露目できるオリジナル曲の完成までにはこれだけの作業がある。バンド全員の協力無くしては不可能なのだ。その全ての解説は誌面の都合上不可能なので、まずメロディーを考えるところはメンバーみんなで作業できるようにしよう。


■オリジナル曲完成までの作業

コード進行を決める
・イントロ:曲全体を見渡しつつ後からがおすすめ
・Aメロ:最初に
・Bメロ:2番目に作るのがおすすめ
・Cサビ:サビから作りはじめるパターンもあり
・間奏:必要に応じて
・エンディング:ライブを想定してしっかり作ろう!

メロディーを考える
・イントロ:必要に応じて
・Aメロ:最初に
・Bメロ:2番目に作るのがおすすめ
・Cサビ:サビから作りはじめるパターンもあり
・間奏:腕の見せ所だが曲の流れを優先で
・エンディング:必要に応じて

リズム・アレンジ
・イントロ:続くAとのメリハリ
・Aメロ:タイトに落ち着いてが基本
・Bメロ:A、Cとのメリハリ
・Cサビ:盛り上げよう!
・間奏:CやBに戻ることを考慮
・エンディング:盛り上げよう!

イントロ、間奏、エンディングなどのコード進行を決める
・イントロ:Cや間奏の流用もあり
・間奏:A・B、イントロなどを流用する手もあり
・エンディング:イントロ、C、間奏の流用もあり

つなぎ目を考える
・イントロ:Aへスムーズに
・Aメロ:Bへつなぐまたは一旦完結風に
・Bメロ:Cのアタマのインパクトを!
・Cサビ:Aや間奏へつなぐまたは一旦完結風に
・間奏:BやCへつなぐまたは一旦完結風に
・エンディング:最後をしっかり締める

コーラスを考える
・Aメロ:2コーラス目など必要に応じて
・Bメロ:必要に応じて
・Cサビ:是非!盛り上げに必須!

 


 

■INFORMATION
もっと知りたい人はコチラ

バンドでセッションしながら
オリジナル曲が作れる本

 

オリジナル曲を作ろう前編(8)

発行 ヤマハミュージックメディア 
1,800円+税
著・安保 亮

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プロが現場で行っているノウハウを集約! バンドのメンバーがそれぞれ演奏するうちに、おもしろいように曲ができる!バンド全員で曲を作るための実践的なノウハウが詰まった、まったく新しい作曲本です。メンバーみんなで歌いながらオリジナル曲作りに挑戦しよう!

【目次】
・準備と基礎知識
・練習スタジオでいきなり作曲開始!
・テンポとリズムを進化させよう
・コードのパターンを増やそう
・メロディを広げよう
・さまざまなジャンルの曲を作ろう
・曲の良し悪しはアレンジ次第
 

(Go!Go! GUITAR 2016年10月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海