弾き語りがグングン上達する!! ボーカルレッスンノート VOL.2 歌う身体の基礎を作る! ウォーミングアップ(中編)【Go!Go! GUITAR プレイバック】


解説/石田匠

ボーカルレッスンノート VOL.2(1)
 

 唇を閉じたまま息を吐き、唇をプルプルと震わせるリップロールは、すぐできる人もいればできない人もいます。恥ずかしながら、僕は最初うまくできませんでした。力んで強い息を吐いてしまいスグに止まっていました。リップロールをやることによる効果は、声帯や表情筋をほぐす、一定の量の息を吐くことの確認です。表情筋が柔らかくないとうまくできないので、手鏡を置いて自分の表情がどれだけ動いているか確認しましょう。思った以上に表情って動いていないもの。普段の生活の中でも、鏡を見てとびきりの笑顔を作れるようにすることは大事です。
 身体は1枚の皮でつながっているので、肩などがこわばっていると顔の表情も引っ張られて硬くなります。そうならないために身体の力みもとりましょう。

 

ボーカルレッスンノート VOL.2(2)

 

ボーカルレッスンノート VOL.2(3)

 

 まずは前回のおさらいから。1小節目は実音、2小節目は「Su」と息を吐く2小節単位を基本とする練習フレーズです。2小節目の最後でブレスを入れます。パターン1は8分のタイミング、パターン2はさらに短い16分のタイミングで素早くブレスを行いつつ、それまでは音(息)を一定に出さなければいけないという意識付けができるだけで、相当いいトレーニングになるはず。歌う前に10分間行うだけで、リズムを感じることができます。メトロノームは必ず使うように。

 

ボーカルレッスンノート VOL.2(4)

 

 


 

 

■上手なリップロールの方法

 

 表情や唇を柔らかくするためにも、リップロールは最適なんです。最初は“ブー!”って強く吐いちゃうと思うんだけど、一番いいイメージは「細く(弱く)長く」。うまくできない人は、両手の人差指で口角を軽く押さえてあげてみましょう。リップロールは声帯を強くは使わないから喉の調子が悪くてもできるし、息を吐くだけよりも歌のイメージに近いのでより効果のある練習になります。

 

ボーカルレッスンノート VOL.2(5)

 


 

■リップロールをウォーミングアップ
 フレーズに取り入れよう

 

 リップロールができるようになったら、1小節目をリップロール、2小節目を「Su」で息を吐く、という動作を繰り返す練習をギターに合わせながら行いましょう。キー=Cで「ソ・ファ・ミ・レ・ド」と弾きながら、リップロールも同じ音程で行います。2小節目のギターは、コードを何も押さえない“ブラッシング”で大丈夫。もちろん、メトロノームは必須です。
 2小節終わったら最後のブレスでは口を大きく開けて早く息を吸って、また1小節1拍目でしっかり口を閉じてリップロールをする、ということを意識すると難易度はさらに上がります。これを呼吸が乱れないように3~4分続けることが、安定した呼吸で歌うことにつながるんです。
 ブレスの位置は最初8分でやってみて、難しければ4分でもOK。4分で慣れたら8分、8分に慣れたら16分…というように、ブレスにかける時間を徐々に短くしていくといいですね。
 リップロールを「細く(弱く)長く」行うためには1日10分でもいいので毎日練習することが大切です。駅に向かう途中、歩幅に合わせて行うのもいい。日々やっていれば“昨日よりも息が伸びたな”とか、そういう感覚がちょっとずつ持てるから。トレーニングを習慣づけていかないと成長を感じ取れないと思います。

 

ボーカルレッスンノート VOL.2(6)

 

 


 

“声音人”石田匠が直接指導!!

音楽学校 メーザー・ハウス
※2020年3月 閉校

国内屈指のブロ輩出率を誇る音楽学校。音楽業界の第一線で活躍するアーティストがインストラクターをつとめ、 少人数での実践的なレッスンや最新の設備によって、確かなスキルを持ったミュージシャンやアーティスト、クリエイターを輩出し続けている。2015年度4月からは、音楽を学びながら高校卒業資格が取得できる高等部も開講。

 


 

■INFORMATION

PROFILE

石田匠

(いしだ・たくみ) 1973年生まれ・B型、広島県出身のシンガーソングライター。産まれた時からハスキーな泣き声に、両親が驚いたという。中学時代から80年代洋楽を入り口に、ロックを聴いて育つ。1998年、バンド『The Kaleidoscope』でメジャーデビュー。2004年、ササキオサム(MOON CHILD)とのユニット『Ricken’s』に参加。30代半ばになり自身のボーカルスタイルに限界を感じ、歌うことを一から見直すことになる。「気持ちよく歌うためには?」ということをいつも考えている。現在はソロアーティスト『石田匠』として活動中。同時にインストラクター、楽曲提供、コーラスなども行っている。www.kowanebito.jp

 

(Go!Go! GUITAR 2015年7月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海