弾き語りがグングン上達する!! ボーカルレッスンノート VOL.4 リズム感を強化するトレーニング【Go!Go! GUITAR プレイバック】


解説/石田匠

ボーカルレッスンノート VOL.4(1)
 

 ボーカルはリズム練習をしなくてもいいと思いがちだけど、声も打楽器でありリズム楽器。すべての楽器はリズム楽器である、という意識を持つことが大事です。そういう意識が芽生えると、声を出すタイミングや、どこまで声を伸ばしてどこで声を切るかという部分まで意識し始めます。
 リズムを感じることは、弾き語りをする上でとても重要なのです。よく言うのは「小節いっぱいまでたっぷり歌う」ということ。4拍目をギリギリまで感じて歌えるかどうかは、演技でいう“指先まできちんと表現できているか”と同じこと。4拍目の大きさ(音の長さ)が、心地よい歌につながっていきます。
 そのためにもまずは、カウントをしっかり口で言えることが必要です。余談にもなりますが、日本語と英語でカウントを出す場合でも、リズムの流れ=グルーヴが違ってきます。日本語で「イチ、ニー、サン、シー」とカウントを取ると、発音として音が切れてしまいがちですが、英語のカウント「ワン、トゥー、スリー、フォー」だと音が続いていてグルーヴを出しやすい、なんてこともあります。カウントを声に出すのって意外と難しくて、ズレたり4拍目の長さが短い人が多いです。ぜひカウントを出す習慣をつけましょう。基本的には拍子に対してジャストで合わせる感覚を養った上で、あえてかっちり合わせないことで得られる心地良いグルーヴを身につけてください。これは楽器だけでなく歌も同じです。人と一緒に音を合わせる喜びを感じるためには、リズム練習が必要不可欠なのです。

 

ボーカルレッスンノート VOL.4(2)
 

 リズムトレーニングの基本は、メトロノームを鳴らして2・4拍目のタイミングでクラップ(手拍子)を入れることです。各拍ごとにクラップを入れるとグルーヴを感じにくいのですが、2・4拍目のタイミングにクラップを入れると自然に体が揺れてグルーヴを感じやすくなります。好きな音楽を聴くときも、2・4拍を取ってクラップしてみましょう。リズム練習では、メトロノームを必ず使うようにしてください。BPMは78~82ぐらいから始めてみましょう。リズム感がなくてなかなかできない人は、まずは各拍のリズムに合わせて体を動かすだけでも十分です。慣れてきたら2・4拍目のタイミングでクラップを入れてみましょう。また、8分音符の各拍オモテで「ン」、ウラで「ア」と発音しながら2・4拍目にクラップを入れる練習も導入としておすすめです。

 

ボーカルレッスンノート VOL.4(3)

 

ボーカルレッスンノート VOL.4(4)

ボーカルレッスンノート VOL.4(5)

 

 その練習から発展させて、次はギターを持って上図Aのように4分音符で「タン」、8分音符、16分音符、3連符のリズムで「タ」と発音しながら、Bのように2・4拍のタイミングでブラッシングを入れます(コードは押さえない)。3連符までやったらまた4分に戻るのですが、このように音の短い音符(3連符)から音の長い音符(4分音符)に変わるときは、とても難しい。この練習をリピートしたり、テンポを遅くすることでより難しくしたり、①~④をランダムに入れ替えて自分で譜例を書いてみたりすることが、リズムや譜面に強くなる秘訣だと思います。音符は長さと考えて理解しましょう。4分音符を1とすると8分音符は1/2だし、16分音符だと1/4、3連符だと1/3になります。
 ギターと発音を入れ替えて、Aをブラッシングで弾いて、Bの2・4拍目を「タン」と発音する練習も取り入れてください。もちろん、ギターと発音を連動させることができない人は、クリックに合わせてリズムを声に出して言うだけでもいいし、2・4拍目でブラッシングを入れるだけでもいいと思います。これが言えたりギターで弾けるようになると、リズム譜は読めたようなもの。五線譜も、まずはリズム譜だと思えば苦手意識も薄れるはずです。

 


 

■INFORMATION

PROFILE

石田匠

(いしだ・たくみ) 1973年生まれ・B型、広島県出身のシンガーソングライター。産まれた時からハスキーな泣き声に、両親が驚いたという。中学時代から80年代洋楽を入り口に、ロックを聴いて育つ。1998年、バンド『The Kaleidoscope』でメジャーデビュー。2004年、ササキオサム(MOON CHILD)とのユニット『Ricken’s』に参加。30代半ばになり自身のボーカルスタイルに限界を感じ、歌うことを一から見直すことになる。「気持ちよく歌うためには?」ということをいつも考えている。現在はソロアーティスト『石田匠』として活動中。同時にインストラクター、楽曲提供、コーラスなども行っている。www.kowanebito.jp

 

(Go!Go! GUITAR 2015年9月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海