弾き語りがグングン上達する!! ボーカルレッスンノート VOL.8 ピッチを良くする(1)【Go!Go! GUITAR プレイバック】


解説/石田匠
 

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ボーカルレッスンノート VOL.8(1)
 

 ピッチ(音程)を良くするためには、“耳で聴く”と“声を出す”が連結していないとダメです。声を出すのが苦手な人は声を出していかなきゃダメだし、歌が上手い人は当然、積極的に声を出しています。そして、自分の声を聴き返すことを当たり前のようにやらなきゃいけない。ピッチが致命的に悪い人は、往々にして自分の声を聴けていない状況なんです。だからカラオケで歌っても、それを録音して聴き返すことが大切です。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(2)

 

 ドレミファソラシドはイタリア語で、日本語では「ハニホヘトイロハ」となります。英語では「CDEFGABC」ドレミファソラシドの最初の「ド」から最後の「ド」までを12等分に区切ったものが1オクターブで、このように1オクターブを均一に12等分した音律を“12平均律”と言います。“12平均律”といえばバッハの「平均律クラヴィーア曲集」が有名で、現代のポップスの基礎になったものとされています。ざっくりとですが、それ以前は純正律が主流でしたが、これは転調できないという弱点がありました。しかし、オクターブ内の音を均等に12等分する12平均律では、転調が可能になったのです。まずは、ドレミファソラシドは1オクターブで、1オクターブには12個の音が均等に存在することを覚えておいてください。それを階段に図解したものが右です。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(3)

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(4)

 

 ドレミファソラシドなんて簡単だよと思う人もいるかもしれませんが、あなどれませんよドレミファソラシド。これがしっかりアカペラでいつでも歌えるようになれば格段にピッチは良くなります。
 まず、ドレミファソラシドをより理解するために、鍵盤に当てはめて見てみましょう。階段の図解で言う空白の段(2・4・7・9・11)には黒鍵が入ります。「ミ・ファ」と「シ・ド」は白鍵が続いている場所ですね。黒鍵を挟んでいるところは全音(半音ふたつ分)、黒鍵を挟んでいない「ミ・ファ」と「シ・ド」は半音ずつ音程が上がっています。この全音と半音があるということが、最初はややこしくて難しいと感じるかもしれません。
 まずは鍵盤を弾きながら、一緒にドレミファソラシドと発声していきましょう。ピアノがない人はスマートフォンのアプリを活用してください。で、今度はドシラソファミレドと下がります。上がるよりも下がるほうが断然難しい。特に最後のファミレドは、ピッチがわからなくなりがちです。発音してから鍵盤で正しい音程を確かめる、これを地道に繰り返す必要があります。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(5)

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(6)

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(7)

 

主音とオクターブ上を交互に歌う

 最初のドを部屋の“床”、オクターブ上のドを“天井”だと意識して、これを交互に発音するとオクターブの範囲を感じ取ることができます。大事なのはロングトーンで歌うことです。まずはキー=Cで歌って、慣れたら移動ド(キー=C以外のあらゆるキーにおいて、主音をドとして音階の各音を順次ドレミファソラシドと読んでいく方法)でもトライしてください。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(8)

 

半音のところを繰り返す

 ドレミファソラシドを歌うと、ピッチに自信がない箇所が出てくると思いますが、それは「ミ・ファ」「シ・ド」のような半音である可能性が高い。古来日本では「ファ」と「シ」という音程はありませんでした、よく「四七抜き音階」と言われます。キリスト教では「アーメン」と唱える音程が「ファ・ミ」にあたります。ドレミファソラシドを歌うときに、半音のところを繰り返し発音することでピッチを安定させます。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(9)

 

音階飛び​​​​​​​

 キーの主音であるドを軸に、反復横跳びのように音階をまたいで発声することを“音階飛び”と言います。これをひたすら練習するんです。半音のところが難しいですが、ドレミファソラシドをキレイに発音できるようになります。苦手なところは何回か繰り返す。歌の中にも、そういったメロディーの動きもあるわけですし、知らぬ間に難しいメロディーに対応できるようになっていきます。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(10)

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(11)

 

 これまで鍵盤を使って練習してきましたが、それは鍵盤だと音階が“階段”として見えるからわかりやすいのであって、もちろんギターで練習することもできます。まずは、キー=Cのドレミファソラシドのポジションを指板上で確認してください(図(a))。キー=Cで練習したら、今度は移動ドで歌ってみてほしい。次の図(b)はドの場所を5弦5フレット(キー=D)にズラしたドレミファソラシドです。
 単音が難しいなら3コードで代用することができます。ドレミファソラシドをC→C→C→F→C→F→G→Cに置き換えて弾いてみましょう。こういったオープンコードは、単音に比べていくつかの音で補佐されているから歌いやすいし、ギターの練習にもつながるのでオススメです。曲を歌い始める前に、その曲のキーのドレミ歌い/音階飛びをやってから歌い始めると、音程をキレイに響かせることができます。

 

ボーカルレッスンノート VOL.8(12)

 

 


 

■INFORMATION

PROFILE

石田匠

(いしだ・たくみ) 1973年生まれ・B型、広島県出身のシンガーソングライター。産まれた時からハスキーな泣き声に、両親が驚いたという。中学時代から80年代洋楽を入り口に、ロックを聴いて育つ。1998年、バンド『The Kaleidoscope』でメジャーデビュー。2004年、ササキオサム(MOON CHILD)とのユニット『Ricken’s』に参加。30代半ばになり自身のボーカルスタイルに限界を感じ、歌うことを一から見直すことになる。「気持ちよく歌うためには?」ということをいつも考えている。現在はソロアーティスト『石田匠』として活動中。同時にインストラクター、楽曲提供、コーラスなども行っている。www.kowanebito.jp

 

(Go!Go! GUITAR 2016年1月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海