弾き語りがグングン上達する!! ボーカルレッスンノート VOL.9 ピッチを良くする(2)【Go!Go! GUITAR プレイバック】


解説/石田匠
 

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ボーカルレッスンノート VOL.9(1)
 

 前回はドレミファソラシドについて学びましたが、今回はメロディーをコードの構成音のみで歌って、そのコードに対してメロディーがどのような音程かを学んでいきたいと思います。それができれば、コードを鳴らしながら歌ったときに“あ、今メロディーから声の音程が外れているな”と気付きやすくなるので、ピッチに対しての苦手意識も克服できます。まずはコードの仕組みについて学ぶ必要がありますので、ロック/ポップスにおいてもっとも一般的な“ダイアトニックコード”を元に勉強していきましょう。

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(2)

 

 ダイアトニックコードは7つの音から構成されていて、それは何かというとこれまで何度も登場した“ドレミファソラシ”です。ざっくりですが、その上に成り立つ7つのコードのことを“ダイアトニックコード”と呼びます。馴染みのない人にはすでにチンプンカンプンかもしれませんが、まずは7つのダイアトニックコードを図で見てみましょう(a)。
 それぞれ3つの音で構成されていますが、これを三和音またはトライアドと呼びます。一番下の音を左から順番に見ていくと、ドレミファソラシになっています。C(ド)から始まっているので“Cメジャースケール”とも言いますね。ダイアトニックコードの特徴は、ドレミファソラシドをひとつ飛ばした3つの音を重ねている点です(b)。つまり、Cコードを構成する音はド・ミ・ソ、Dmコードはレ・ファ・ラ、Emコードはミ・ソ・シといった具合です。

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(3)

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(4)

 

 7つあるダイアトニックコードのうち、一番代表的な3つのコードを“スリーコード”と言います。そのコードは何かというと、ダイアトニックスケール上に振られたローマ字の(Ⅰ)(Ⅳ)(Ⅴ)。CメジャースケールだとC・F・Gコードの3つに当たります。このステップでは、3コードを構成する音で歌っていきます。
 Cコードの構成音はド・ミ・ソなのでド→ミ→ソ→ミ→ド、Fコードの構成音はファ・ラ・ドなのでファ→ラ→ド→ラ→ファ、Gコードの構成音はソ・シ・レなのでソ→シ→レ→シ→ソと歌っていきます。なぜ3コードを歌うのかというと、この3つのコードの構成音にドレミファソラシドすべての音が入ってるんです。和音を分解して歌うことで、歌の音程がコードにどう当たっているかがわかるようになります。まずは鍵盤で鳴らしながら歌ってみてください。

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(5)

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(6)

 

 なぜ僕がこの練習に至ったかというと、昔、歌は歌えてコードに対しての理解もあったのですが、パッと譜面を渡されたときに混乱しちゃうんですよ。音程がわからないって。でも、ドレミファソラシド(キー=C)のスケール、音程を把握して、キレイに歌えるようになっていれば、キーが変わっても応用できるのです(詳しくは下の「移動ド」の項を参照)。
 7つのダイアトニックコードを歌う方法としては、まずは鍵盤で音を鳴らしながら発声していきます。それで音程が取れるようになったら、次は各コードの最初の音(ルート音)を鳴らし、それを聴いてから歌う。その次の段階は、単音ではなくコードを鳴らしながら歌います。たとえばCであれば構成音はド・ミ・ソなので、ド→ミ→ソ→ミ→ドと歌うとCコードの構成音のいずれかに必ず当たることになります。その発声している声がコードに当たっている感覚がわかると、ピッチは絶対に良くなりますし、コードの理解、ハーモニーの付け方にも役立ちます。

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(7)

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(8)

 

 図を見ながら、ピアノでやっていたことをギターに置き換えて練習してみましょう。最初のステップでは、ピアノと同じようにC・F・Gの3コードで歌ってみてください。その次は下図を参考に7つのダイアトニックコードで、単音で弾きながらその音程に合わせて歌います。Cがド→ミ→ソ→ミ→ド、Dmがレ→ファ→ラ→ファ→レ、Emがミ→ソ→シ→ソ→ミ、Fがファ→ラ→ド→ラ→ファ、Gがソ→シ→レ→シ→ソ、Amがラ→ド→ミ→ド→ラ、Bm7-5がシ→レ→ファ→レ→シ、最後はCでド→ソ→ミ→ドです。
 ここで登場するBm7-5は、Bm-5にさらに1つ飛ばした音を重ねたコードです。Bm-5よりもこちらのほうが使われることが多いので、覚えておきましょう。

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(9)

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(10)

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(11)

 

 たとえばCメジャースケールはC(ド)が主音ですが、Gメジャースケールだと主音はG(ソ)になります。Gメジャースケールも同様に7つの音があり、それはG/A/B/C/D/E/F♯となります。ドレミに直すなら「ソラシドレミファ♯」ですが、キーが変わるたびに主音が変わるのは、ややこしいですよね。そこで、G(ソ)を「ド」に書き直すことができます。このように、キーが変わっても主音を「ド」にすることを“移動ド”と言います。キーのG(ソ)をドに置き換えているわけですね。譜面でもGを「ド」とすれば、ドレミ歌いができます。それぞれの音の間隔は「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」。キー=Cのドレミファソラシドがきちんと歌えれば、キーが変わっても即対応できるでしょう。

 

ボーカルレッスンノート VOL.9(12)

 

 


 

■INFORMATION

PROFILE

石田匠

(いしだ・たくみ) 1973年生まれ・B型、広島県出身のシンガーソングライター。産まれた時からハスキーな泣き声に、両親が驚いたという。中学時代から80年代洋楽を入り口に、ロックを聴いて育つ。1998年、バンド『The Kaleidoscope』でメジャーデビュー。2004年、ササキオサム(MOON CHILD)とのユニット『Ricken’s』に参加。30代半ばになり自身のボーカルスタイルに限界を感じ、歌うことを一から見直すことになる。「気持ちよく歌うためには?」ということをいつも考えている。現在はソロアーティスト『石田匠』として活動中。同時にインストラクター、楽曲提供、コーラスなども行っている。www.kowanebito.jp

 

(Go!Go! GUITAR 2016年2月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海