3人組バンド“kittone”が待望の初ライブを実施!2年越しの思いが詰まったステージの模様をレポート


2020年1月に始動した3人組バンドkittoneが、2022年6月9日(木)渋谷Spotify O-Crestにて行われた企画《Spotify O-Crest“ROCK DAY”》に出演。念願の初ライブが実現した。2021年3月のインタビュー(https://mag.mysound.jp/post/701)で語っていたように、ステージに立てない間も制作を中心とした活動を続けてきた3人。約2年の歩みや思いが詰まったライブの模様をレポートする。メンバーを代表してヤマザキユウキ(Ba,Cho)からのコメントも到着!

6月9日、梅雨入りしたばかりの関東。数日間天気のすぐれない日々が続いていたが、この日の渋谷は久しぶりに晴れ間が見えていた。そんな空模様の中、kittoneが初ライブを実施する。

バンドの結成は2020年1月。本来は同年4月に渋谷のO-Crestで初ライブを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となってしまった。そこから約2年の時を経て、6組のアーティストによる企画ライブ《Spotify O-Crest“ROCK DAY”》への出演が決まる。念願が叶った初ライブ――しかも中止となった2020年4月のライブと同じ会場ということで、メンバーの思い入れもひとしおだろう。それはkittoneの演奏を心待ちにしていたファンも同じようで、会場には多くの観客が集っていた。

 

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kittoneの出番になるとSEが流れ、サポートドラマーのいしざかごう、ヒラノシュンスケ(Gt,Kb,Cho)、ヤマザキユウキ(Ba,Cho)、HANA(Vo)が順番にステージに登場。フロアを見渡すメンバーの表情には、期待感とともに緊張の色も見え隠れしている。そして、SEからシームレスにシンセサイザーの音色が流れ始め、1曲目の「群青と走る」がスタート。メンバーは一音目からパワフルなサウンドを繰り出し、観客の心を一気につかんでいく。

会場に爽やかな風を吹き込むようにHANAが満面の笑みで歌い上げる中、ステージ前方に出てきたり飛び跳ねたりと、アグレッシブな動きを見せるヤマザキとヒラノ。全身全霊のステージングからは、これまで募らせていたライブへの想いが爆発していることがわかる。1曲目の終わりでヤマザキが述べた「6月9日、Spotify O-Crest。kittone、始めます!」という言葉は、この日のパフォーマンスの始まりを告げるとともに、バンドが新たな一歩を踏み出したことも示しているようだった。

続いて披露したのは、2022年5月18日に配信リリースしたばかりの最新曲「春ノ嵐」。キャッチーなギターリフや躍動感のあるベースラインなど有機的なグルーヴが心地よいナンバーで、観客は拳を上げ、体を揺らし、思いのまま演奏に浸る。冒頭から最高潮の盛り上がりを見せた彼らに、観客から大きな拍手が送られた。

 

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MCでは、ライブが実現できたことについて「嬉しい」としみじみと述べる3人。ヤマザキはライブ中止からこれまでの日々を振り返り「この2年、曲を作ってリリースをしていく中で、今日みたいにドラムをサポートしてくれる仲間に出会えたり、ご縁があってCDをリリースしたり、テレビやラジオに呼んでいただいたり僕らの曲を流していただいたりと、ライブができなくても新しい出会いがたくさんありました。いつか恩返ししたい人がどんどん増えていって…いよいよライブをやりましょうとなる頃には2年経ってしまっていて。時間の流れの速さに正直、引いています(笑)。でも、2年前に予定通り初ライブができていたらきっと出会えなかった人がたくさんいて、今日も来てくれていると思うんです。それだけで僕たちの2年間は本当に無駄な時間じゃなかったんだなって思えます」と語った。

ヒラノによるギターの調べに乗せて、さらにヤマザキはこう続ける。「僕たちがこの2年間で作った曲というのは、間違いなく、今ここにいてくれるあなたに聴いてほしくて、出会ってほしくて作ってきた曲です。心を込めて演奏します!」。その宣言から、3曲目の「君を詠む」を演奏。冒頭で見えていた緊張は徐々に溶けていき、パフォーマンスはより一層熱を帯びていく。

 

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「告白前夜」では、ヒラノの指弾きにより温かなギターの音色や、バンドサウンドを彩るヤマザキのベースラインが歌を支え、HANAは歌詞が描く情景に想いを寄せるように、切なくも芯の通った歌声を響かせていく。
歌い終えたHANAは名残惜しそうに「次で最後の曲になります。みなさん今日は本当にありがとうございました。また必ず、どこかでお会いしましょう!」と述べると「終わりのち、晴れ」を披露。新たなスタートを晴れやかに迎えたこの日のラストに相応しい、力強いナンバーだ。メロディックなベースと煌びやかなギターが躍動感のあるアンサンブルを生み出し、それと呼応するように、観客はハンズクラップで楽曲を盛り立てる。5曲という限られた曲数ながらも、大成功というに相応しい濃密な時間をもたらして、初ライブを締めくくった。

ライブを終えたkittoneより、リーダーのヤマザキからコメントが届いた。
「結成から約二年半。想像以上にたくさんの方に見届けて頂けて、歩んできた道のりをより一層愛おしく思えた初ライブでした。これからも音楽でもっとたくさんの方のそばにいられるバンドになれるよう、真摯に自分達の音楽と向き合って活動を続けていきたいと思います」(ヤマザキユウキ/Ba,Cho)

初ライブにして、圧倒的な完成度で魅了したkittone。結成から2年以上、ライブができないという困難に屈することなく地道に制作活動を続け、信頼関係を構築してきた3人だからこそ、この日の素晴らしいステージは実現したのだろう。2022年8月7日(日)吉祥寺SHUFFLEにて行われる《ITAZURA STORE 連続企画vl.2 -地上に誕生した2粒の新音-》など、今後はkittoneのライブを各所で観られるはず。最新情報は公式サイトにてチェックしてほしい。

 

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KittoneオフィシャルHP
https://kittone.net/

セットリスト

1.群青と走る

2.春ノ嵐

3.君を詠む

4.告白前夜

5.終わりのち、晴れ

 


 

Text:神保未来
Photo:カシロナツヲ