コードの響き、キャラクターがよくわかる 作曲に役立つコードワーク 第8回 メロディーにもなるリッチな響き「6th、m6」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードがどうやって作られ、そしてどのように音楽に組み込まれているかを勉強していく連載の第8回。今回取り上げるのは、どこか陽気で柔らかいサウンドの6th(シックス)と、暗さの中に優しさのようなものも感じられるm6(マイナーシックス)だ。


文/平川理雄 マンガ/dobby

作曲に役立つコードワーク 第8回(1)

 

作曲に役立つコードワーク 第8回(2)

 

 6thコードは、メジャーコードの上に長6度が乗った4声和音だ(譜例①)。サウンドの特徴は、①メジャー系コードであること、②3声和音のメジャーコードよりも響きが豊かだということ、③M7コードほどは響きが複雑ではないこと、この3つが挙げられる。つまり6thをメジャーコードやM7の置き換えとしても使うことは可能ではあるが、あえて6thコードを使ったほうがいいという場面もある。
 その1つは「メロディーが6thにあるとき」である。例えば譜例②を見てみよう。ソウルミュージックなどで聴かれるメロディーだが、メロディーにA音(6th)が多く使われているのがわかる。こういう場合にはCでもCM7でもなく、C6を使ったほうが効果的だ。
 C6の構成音をちょっと並べ替えてみよう(このことを転回形という)。するとAm7と構成音が全く同じだということがわかる(譜例③)。つまり響きとしてはAm7と同じなので、コードの最下音をしっかり出すことが重要になる(バンドにベースがいる場合はベーシストがこの役割)。
 前後するコード進行の中で4声和音を維持するために6thを使う例も挙Dげておこう(譜例④)。2つ目のコードにG6を使っているが、仮にここが3声和音のGだったら、その前後の4声和音FM7とAm7とで響きの厚さのバランスが悪くなってしまう。もちろんG7を使うこともできるのだが、G7よりはG6のほうがコード進行自体の響きが馴染み、柔らかいサウンドになる。こういう使い方も覚えておこう。

 

作曲に役立つコードワーク 第8回(3)
 

作曲に役立つコードワーク 第8回(4)

 

作曲に役立つコードワーク 第8回(5)

 

 m6コードは、マイナーコードの上に長6度が乗った4声和音(譜例⑤)である。注意してほしいポイントは、マイナー系コードだからといって短6度が乗るのではないということ。サウンドの特徴は、①マイナー系コードであること、②3声和音のマイナーコードよりも響きが豊かだということ、③m7コードよりも響きが柔らかいこと、この3つが挙げられる。このm6コードもやはり、マイナーコードやm7コードの置き換えとしても使える場合がある。
 例えばKey=Cの曲で、ダイアトニックコードのIVM7であるFM7から、ルートは同じFのままでマイナー系を弾く場合、FmやFm7で書かれる曲も多いのだが、譜例⑥を見てみるとメロディーが「ファミレド」と下がってくるパターンになっている。ここはFmなら問題はない。しかし4声和音で弾きたいと思ったとき、ここをFm7で弾いてしまうと、コードの7th(E音)がメロディーのE音&D音と半音でぶつかってしまうのだ。そんなときにはFm6にしてしまおう。これでメロディーとコードの馴染み方が自然になる。
 譜例⑥で登場したFm6の構成音を並べ替えてみよう。するとDm7–5と構成音がまったく同じことがわかる(譜例⑦)。これもルート感を出すには最下音(あるいはベース音)がどっちを出しているかがキモとなる。

 

作曲に役立つコードワーク 第8回(6)

 

作曲に役立つコードワーク 第8回(7)

 

 今回登場した2つの6th系コードを使ったコード進行を作ってみた(譜例⑧)。2小節目はI度上の6th、4小節目はIV度上のm6、7小節目にはV度上の6thが配置されている。8小節通して4声和音だ。
 試しにこの8小節をすべて3声和音で弾いてみて、その違いを感じ取ってほしい。その場合のコード進行は「 C | C | F | Fm | Em | Am | F, G | Am, G 」となるのだが、4声和音の方が響きが豊かに感じられるはずだ。それだけではなく、4声和音の方がコードを鳴らすだけでメロディーが浮かんでくるような、メロディーに寄り添っている感じがしないだろうか? 特に6thとm6のコードが鳴ると、メロディーをその音にしなければならないような響きの強さがある。実際、6th系コードはかなり高い確率でそこに長6度のメロディーが含まれている。
 初心者向けのギター本や歌本には6th系コードは載っていない場合もあるが、もしメジャーコードやマイナーコードの部分のメロディーが長6度の音であるなら、積極的に6th系コードを使ってみよう。それだけでヴォーカルがものすごく歌いやすくなり、楽曲そのものもリッチに仕上がるはずだ。

 

作曲に役立つコードワーク 第8回(8)
 


(Go!Go! GUITAR 2017年7月号に掲載した内容を再編集したものです)