コードの響き、キャラクターがよくわかる 作曲に役立つコードワーク 第9回 低音もメロディアスに「オンコードその壱」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードがどうやって作られ、そしてどのように音楽に組み込まれているかを勉強していく連載の第9回。今回取り上げるのは、コード構成音の並びを変える「オンコード(分数コード)その壱」だ。


文/平川理雄 マンガ/dobby

作曲に役立つコードワーク 第9回(1)

 

作曲に役立つコードワーク 第9回(2)

 

 コードとは音符が積み重なったもので、その並び方は変えることができる。基本の配置に対してこれを転回形と呼ぶ。一番下にあったルートを一番上に持ってきたものが第1転回形で、順に第2、第3と続くのだが、その並び方をもっとバラけさせることも可能で、ギターのコードフォームなどはその好例と言える(譜例①)。
 さて、その並び方を変えた結果ルート以外の音が最下音にきたとき、その音を分数の分母として指示したものが分数コード、そしてまったく同じ意味で別の表記方法にしたのがオンコードだ。これはコードの右上にonをつけてコードの最下音を指示する(譜例②)。
 ではなぜそんなことをするのか? それを知る前にハーモニーの仕組みについて学んでおこう。和音が鳴らされたとき、人間の耳にはその中の“一番高い音”がもっとも聴き取りやすいと言われている。つまりもっとも聴かせたい音(=メロディー)はハーモニーの最上部に置かれる。そして次に聴き取りやすいのが“一番低い音”なのだ。通常ならそれは「ルート」ということになるのだが、ここで知っておいてほしいことは、メロディーに横の流れがあるように、ベースラインにも横の流れがあるということ。そしてこのスムーズなベースラインを作る手法のひとつがオンコード(分数コード)というわけだ。
 

作曲に役立つコードワーク 第9回(3)
 

作曲に役立つコードワーク 第9回(4)

 

 譜例③(a)はコードのルートがそのまま最下音となったもので、ルートの動きがジグザグになってしまっている。これを部分的にオンコードにしてみたのが (b)だ。ベースラインがスムーズになったのがひと目でわかるだろう。ハーモニーの最上部であるメロディーの流れに加え、最下部のベース音にも流れを与えるのがオンコードの役割りなのだ。

 

作曲に役立つコードワーク 第9回(5)

 

作曲に役立つコードワーク 第9回(6)

 

 では楽譜にオンコードが出てきた場合、ギターではどう弾いたらいいかと言うと、①バンドにベーシストがいる場合と、②いない場合に分けられる。①の場合のギターは、特にベース音を気にせずon以降を無視したコードを弾けばいい。なぜならベーシストが指定のonの音を弾くことになるからだ。
 ②の場合はギターが指定のベース音を出す必要がある。右手と左手を別々に押さえられるキーボードではそれはさほど難しくないが、ギター弾き語りやソロギターではちょっと厄介かもしれない。
 6弦や5弦といった低音弦で指定音を出しつつ、それ以外のコードトーンを押さえられるフォームを身につけなければならない。こうしたフォームでストロークを弾くのは大変なのだが、指弾き(3or 4フィンガー奏法)なら意外に弾けてしまうのだ。というのも、オンコードはベース音を際立たせたいものであるため、低音部(1音)と高音部(3音)で弾き分けられる指弾きにはまさにうってつけ(譜例④)。それでも大変!という人は……、迷わずonを省いたコードだけを弾いてしまおう。「ベース音の流れ」という魅力は半減するが、楽曲を壊すほどではない。

 

作曲に役立つコードワーク 第9回(7)

 

作曲に役立つコードワーク 第9回(8)

 

 アコギでもよく使用されるオンコードを3つ紹介しよう。譜例⑤(a)はC→C7と同一ルートが続くところでC7の最下音をEに指定。次のFにルートが半音で繋がっているところがミソ。6弦のE→Fというギターで出せるもっとも低い2音のラインをしっかり出すこと。
 (b)はベースの動きがG→F♯→Eとなだらかに下がっているところがポイント。DonF♯はよく使われるオンコードで、ギターではネックを深く握り、6弦FI音を親指で押さえる。5弦は音を出さないので、6弦を押さえる親指の先で軽く5弦に触れてミュートしよう。
 (c)は指弾きでのプレイを想定したコード進行。1弦3フレットのG音をキープしつつ、ベース音がコード進行を引っ張っていっているのがわかる。2小節3拍目ウラと4拍目は親指でプレイするベースライン。他の弦はミュートし、明瞭な音で弾こう。ちなみにオンコードと分数コード、ギターではどちらが好まれるかというと、コード自体がわかりやすいオンコード表記が多い。

 

作曲に役立つコードワーク 第9回(9)
 


(Go!Go! GUITAR 2017年8月号に掲載した内容を再編集したものです)