コードの響き、キャラクターがよくわかる 作曲に役立つコードワーク 第10回 ギターとベースの役割分担「オンコードその弐」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードがどうやって作られ、そしてどのように音楽に組み込まれているかを勉強していく連載の第10回。今回取り上げるのは2階建構造のコード表記【オンコード(分数コード)その弐】。指定最下音がコードトーンに含まれないパターンを調べてみよう。


文/平川理雄 マンガ/dobby

作曲に役立つコードワーク 第10回(1)

 

作曲に役立つコードワーク 第10回(2)

 

 前回のセミナーでは「転回形の最下音」としてのオンコードを勉強したが、今回は“転回形ではない”オンコードを勉強してみよう。例えば分母をCとするとその上に乗る3声和音は、メジャーコードならD~Bまでの11種ある(マイナーコードについてはまた別の機会に)。その中でFとAはC音を含んでいるので転回形であり、これは前回の範囲。つまり今回学ぶのは11-2=9種類のオンコードということになる(譜例①)。どんなコードにも対応させられるよう、度数表記もしておく。
 前回学んだ転回形は「スムーズなベースラインを作るため」だったが、今回のものは「上部コードが動く(ベースが動かない)」という手法が多用される。譜例②を見てみよう。ベース音をDに固定した状態で、上部3声和音だけが動いている(ここではわかりやすいようにDを I I として表記している)。EonD(II on I)は4声和音で表記すればE7onDとなり、E♭onDII on I)もEM7onDとなるのだが、この流れなら「和音on単音」と上下に分けて表記したほうがバンド内ではギター(和音)とベース(単音)の役割分担が明確になる。
 さらに複雑なオンコード(分数コード)の形式で、なんと低音部まで和音になった表記もある。例えばファンクなどでベースがE7のラインを刻みながら、ギターがメロディーに3声のハーモニーをつけて弾く場合、そのハーモニーを何かのトライアドにしてしまうというワザ(譜例③)。この技法を「アッパーストラクチャートライアド(UST)」と呼び、ここでは誌面のスペース上言及は控えるが、音楽を勉強していく中でいずれ耳にするワードだ。ちなみに、UST ではオンコード表記より分数コード表記が多く使われる。

 

 

作曲に役立つコードワーク 第10回(3)
 

作曲に役立つコードワーク 第10回(4)

 

作曲に役立つコードワーク 第10回(5)

 

 転回形ではないオンコードは、「何かの響きを簡単にシミュレートする」際に多く使われる。例えば7thサスフォーをシミュレートできるのが「 VII I 」だ。譜例④(a)にある通り、C7sus4とB♭onCは3音が同音なので、置き換えてみても大体似た響きになるので(譜例④(b))、楽譜にはC7sus4と書かれてあっても、実際の演奏では「B♭onC」を弾いて差し支えないだろう。
 ディミニッシュの響きをオンコードでシミュレートできるのが「 VII I 」だ。BonCはCdim7と3音が同音(譜例⑤(a))。なので、ディミニッシュコードが登場した場合には「 VII I 」を弾いてもOKだ(譜例⑤(b))。
 オシャレな響きのするM7(9)をシミュレートできるのが「 V I 」。GonCはCM7(9)と4音が同音(譜例⑥(a))。ただしギターで弾く場合にはG7→Gとほとんど変化しないので、ベーシストには「必ずCを弾くように!」と伝えておこう。
 オンコードをうまく使ってサウンドをジャズっぽくさせることもできる。例えば譜例⑦(a)のように、C7に(♭9,♯11,♮13)という3つのテンションがつくような複雑なサウンドを持つコードがある(場合によってはC7(♭9,♯11)、C(♭9,♮13)、C7(com.dim)などと書かれてあることもある)。このコードは「Cコンビネーションオブディミニッシュスケール(通称“コンディミ”)」と呼ばれ、ジャズではかなり頻繁に登場する響きなのだが、その中にE、G、Aという3つのメジャーコードが含まれている。つまり、C7というコードをコンディミの響きにしたい場合には「E、G、A」などのコード(C音はベーシストに弾いてもらおう)を弾いてみよう(譜例⑦(b))。

 

作曲に役立つコードワーク 第10回(6)

 

作曲に役立つコードワーク 第10回(7)

 

 「マイナーコードについてはまた別の機会に」と書いたが、使用頻度の高いものをひとつだけ挙げておこう。Gm7onCというオンコードはC7sus4と4音が同音となっているので(譜例⑧(a))、やはり置き換えられる。譜例⑧(b)ではギターはGm7が2回続くので、ベーシストには「絶対!絶対Cを弾くように!」と念を押しておこう。
 ところで、7thサスフォーは「 VII I 」でもシミュレートできたが、「I7sus4 ≒ VII I Vm7 I 」と、ほとんどの場合でそれぞれ置き換えて演奏することができる。ギター演奏ではその前後のコード進行を考慮に入れて、良い響きとして連結されるように自分でコードを置き換えてみよう。

 

作曲に役立つコードワーク 第10回(8)
 


(Go!Go! GUITAR 2017年9月号に掲載した内容を再編集したものです)