コードの響き、キャラクターがよくわかる 作曲に役立つコードワーク 最終回 コードをお化粧!?「テンション」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードがどうやって作られ、そしてどのように音楽に組み込まれているかを勉強してきた本講座もいよいよ最終回。音楽をより豊かに、そしてより深く響かせてくれる「テンション」をテーマに締めくくる。


文/平川理雄 マンガ/dobby

作曲に役立つコードワーク 最終回(1)

 

作曲に役立つコードワーク 最終回(2)

 

 コードネームの右上にカッコで囲われた数字を見たことがあるだろう。それがテンションノート(略して“テンション”)と呼ばれる、コードトーンに付加される(あるいは置き換えられる)追加の音だ。実はテンションは使わなくてもギターやピアノによる伴奏はできるのだが、テンションを使った方がメロディーがクリアになったり、伴奏に特定の雰囲気を作り出すことができる場合がある。
 たとえばkey=CのG7コードでメロディーがE音(13th)のとき、ギターのオープンコードでG7を弾いてしまうとトップノートのF音とメロディーのE音が半音でぶつかってしまい、とても歌いづらい(譜例①)。この場合のギターは次ページの譜例④(a)の1小節3拍目のようにボイシングすると、伴奏のトップノートとメロディーが一致して、美しいアンサンブルになる。このようにテンションをうまく使えば、伴奏とメロディーがよく馴染むようになったり、ジャズのような独特な響きを作ることもできるようになる。
 テンションの効果を理解できたら、階層についても知っておこう。コードトーンが「1オクターブ内に3度で積み重なった4声和音(ルート/3rd/5th/7th)」ということはこのコーナーでも勉強してきたが、テンションの階層はその上「9th/11th/13th」にある(譜例②)。そしてそれぞれの階層では、9thには「9/9/9」の3種、11thには「11/11」の2種、そして13thには「13/13」の2種、合計7種類のテンションがある。
 ここでは7thコードを例にして列記してみよう。ただし11thテンションのみは7thコードには使用できないルールなので、ここだけm7にしてある(譜例③)。

 

作曲に役立つコードワーク 最終回(3)
 

作曲に役立つコードワーク 最終回(4)

 

作曲に役立つコードワーク 最終回(5)

 

 テンションのついたコードは曲中で単独で使ってもあまり効果がない。サウンドが唐突過ぎてしまうのだ。そこで初めのうちは「連結したコード進行」として覚えて使ってみるといい。そんな例を2つ挙げてみた。譜例④(a)は「9th→13th」という連結。実は9thと3thは連結させるととても相性がいいのだ。というか、ここでは偶然にも同じ音になっているが(E音)。このコード進行をテンションのない「Dm→G7→C」と弾き比べてみると、その違いは歴然だ(譜例④(b))。
 譜例④(c)は、G7に(9, 13)と(9, 13)を連結させたもの。このようにテンションはカッコの中に違う階層のものを併記することで、同時使用も可能だ。9th/11th/13thからひとつずつ選ぶ形で最大3つまで併用可能なのだが、もちろん組み合わせ方のルールはある(詳しくは読者のみんなの次のステップで!)。
 ちなみにこの譜例を弾いてみると、とても“メロディー的”な伴奏に聴こえないだろうか? トップノートが2度で動くので、まるで伴奏もメロディーに加わったかのようなサウンドが作れる。こうしたコード進行だけでメロディー的なアプローチができると、作曲家やアレンジャーへの近道にもなるだろう。

 

作曲に役立つコードワーク 最終回(6)

 

作曲に役立つコードワーク 最終回(7)

 

 ブラジル音楽のハーモニー感覚はどうやらテンションを「あって当たり前のもの」と感じているようだ。ボサノバやサンバ、MPBと呼ばれる現代のブラジル・ポピュラー・ミュージックを聴くと、メロディーが上下にウネウネと動いている後ろで、ギターやピアノによる伴奏の中に多くのテンションが登場するのが聴こえてくる。この手の伴奏では、トップノートでもベースラインでもない部分「=内声」でテンションが使われていることが多い。
 譜例⑤はトゥーツ・シールマンスというベルギーのアーティストが自身のヒット曲「ブルーゼット」をブラジル風アレンジしたものをイメージした譜例で、1小節3拍目のEM7(9,11)がポイントだ。
 1拍目のBM7のルートを6弦→5弦に移動しただけで、トップノートを含めた和音は変化させず、ルートだけを動かすことでEの上に9thや11thというテンションが「相対的に」登場したというかたちだ。一方2小節3・4拍目はトップノートが変化するタイプで、3小節目のGmM7→Gm7は前回に学んだ「ラインクリシェ」だ(4小節目も同様)。4小節3・4拍目はB7(13)→EM7(9)と、「13th→9th」の連結となる。
 ここまで駆け足ではあったが、全12回をしっかり読んでくれた読者は、音楽のレベルが数段上がっているはず! 今すぐにはプレイに応用できないかもしれないが、音楽を続けていくうちに、ここで目にしたワードに必ず再会し、自身の音楽に取り入れられるようになっているだろう。そうした自分を信じて音楽とギターを続けていってほしい。

 

作曲に役立つコードワーク 最終回(8)
 


(Go!Go! GUITAR 2017年11月号に掲載した内容を再編集したものです)