仕組みがわかればコードはカンタン! ギターコードゼミ 第2回 Aフォーム(5弦ルート)【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードを「フォーム」という観点からとらえ、各フォームでの響きや音の厚みを研究してみる連載の第2回目は、5弦上にルートを持った「Aフォーム」だ。前回学んだEフォームと今回のAフォームを使いこなすことができれば、かなりの確率で初見のコード譜を鳴らすことができるようになるというスグレモノだ。是非モノにしよう!


文/平川理雄

ギターコードゼミ 第2回(1)

 

ギターコードゼミ 第2回(2)

 

フォームの話

 Eフォームの次に力強く、使用頻度も高いのが「Aフォーム」だ。ダイアグラムで見ると2~4弦にまたがった短い線がたったの1本、バレーコードを使って移調しても2本だけというシンプルなフォーム(図1)なので、5弦上のルートさえ見つけられればすぐにメジャー・コードが弾けるという便利さだ。ところが厄介なのは、2~4弦を押弦する際にその両外側(1弦と5弦)に指が触れてしまうと音が途切れてしまい途端に弱いサウンドになってしまうということ。人中薬の3本の指先をくっつけて立てて接地面積をなるべく少なくしてみよう。さらに6弦は弾かないため、ストロークをする右腕やピックの振れ幅もEフォーム以上に気を使う必要はある。
 

構成音の話

[使用弦]1~5弦
[構成音]度数:R 5 R 3 5 R(※R=Root)、階名:ドソドミソ、音名:A E A CE

 Eフォームと同様に力強さを感じるこのフォームは、やはり低音3~5弦がR5Rのパワーコードを形成している。3rdが1つしかなくコードを変化させやすいというメリットも共通だ(図2)。一方で最大の違いはトップノートが5thであるということ。同じAコードでもトップノートに何度の音がくるかによってサウンドは大きく変わってしまう。これは人間の耳には、同時に鳴らされた音(コード)の中で一番高い音を認識しやすい(聴きわけやすい)という性質があるからだ。キミの押さえているAコードのトップノートは何だ!?

 

ギターコードゼミ 第2回(3)

 

 AフォームもEフォームと同じような利便性がある。それは「5弦上のルートを変えるだけでその音がルートとなるメジャー・コードが出せる」ということ。たとえば「D」というコード・ネームを見たときにどう押さえるか!?とりあえずギタリストなら5弦4フレットのD♭をルートとしてAフォームを使えばDメジャー・コードになるのだ(図3-a)
 そこで、まずは5弦上(~ 11フレットまで)の各音名を瞬時に呼び出せるようにしておこう(図3-b)。そして注意したいのは、やはりトップノート。5弦4フレット・ルートのAフォームでDコードを弾けば、トップノートは自動的に1弦4フレットの5th(=A音)となる。しかし、もしもトップノートをルートと同音(D音)にしたいのであれば、6弦9フレット・ルートのEフォームを弾く必要がある。
 コード・ネームはそのルートを大々的に表記しているものなので、どうしても和音を「下から積み重ねて」考えがちになるが、コードストロークでの演奏にとって大切なのはトップノートから「降ろして」くるという意識だ。ちなみに、Aフォームを1~ 11フレットとズラしていく際の左手は人差指でバレーコードを作る必要があるが、このときに6弦は弾かないので、バレーを作る人差指の先端を6弦に触れさせてミュートしよう。また2~4弦をバレーする指は逆反りさせた薬指の指先~第1関節を使うのだが、これも慣れていないと1弦に触れてしまうので要注意(コラム参照)。

 

ギターコードゼミ 第2回(4)

 

ギターコードゼミ 第2回(5)

 

ギターコードゼミ 第2回(6)

 

 3rdが1つしか含まれていないので、コードの変化は行いやすい(図4)。2弦の3rdを半音上げれば「Asus4」、半音下げれば「Am」、そこから3弦を開放にしたものが「Am7」、Aフォームから3弦を開放にしたものが「A7」となる。また、2弦を開放にすれば「Aadd9」というコードになるが、トップノートは5thのままなので、音楽の邪魔をさせずににちょっとオシャレなサウンドにすることができる。Aを弾くべきところでAadd9を弾いてしまってもいいのだ! これらの変化はすべてバレーコードでも簡単に行えるという点は超便利!

 

ギターコードゼミ 第2回(7)

 

ギターコードゼミ 第2回(8)

 

 前回学んだEフォームに加え、来月号以降で学ぶ「Gフォーム」、「Dフォーム」、「Cフォーム」でのAコードの押さえ方も覚えておこう(図5)
 違いのポイントはトップノートと音の厚さ(使用する弦数)だ。Aフォーム[トップ=5th/5声]だったものが、Eフォーム[トップ=ルート/6声]、Gフォーム[トップ=ルート/6声]、Dフォーム[トップ=3rd/4声]、Cフォーム[トップ=3rd/5声]となる。EフォームとGフォームはトップノートも弦数も同じだが、低音部がパワフルなEフォームと、高音部がきらびやかなGフォームという感じで使い分けよう。

 

ギターコードゼミ 第2回(9)

 

人気/定番曲で、キーEの曲をピックアップしてみた!
 

「スタンド・バイ・ミー」/ ベン・E.キング​​​​​​​
本誌のスコアはGに移調してるが、原曲はキーA。スコアが弾けるようになったら原キーにも挑戦してみよう。​​​​​​​

「クロスロード」​​​​​​​/ クリーム​​​​​​​
イントロのリフが、すでにコードダイアグラムAのフォームからできている。まさにキーAの王道曲といえる。​​​​​​​

「世界に一つだけの花」​​​​​​​/ SMAP​​​​​​​
世代を超えたJ-POPの定番曲。多くの人に親しまれる曲は、キーもギターやピアノに馴染みがいい。​​​​​​​

「ハッピーポンコツ」​​​​​​​/ キュウソネコカミ​​​​​​​
リフ系の曲はキーAが多い。低音弦のパワーコードプレイはベースとの相性もよく、バンドサウンドを引き締める。
 

ギターコードゼミ 第2回(10)


(Go!Go! GUITAR 2016年7月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海