【レコードジャンキー富和】第23話「レコード夏合宿に行くづら!(ジャケット探訪編)」

リアルタイムで触れてきた世代だけではなく、若い世代も巻き込みながら盛り上がりを見せている近年のレコード・ブーム。そんな中でレコードの深遠なる魅力をお伝えするべく、ディスクユニオン新宿ロックレコードストア店長の山中明氏が、なんと漫画の連載をスタート! 得意のイラストを武器に間口はより広く、しかしディープな内容をポップにご紹介していきます。
第23話では、Heronの名作2ndアルバム『Twice As Nice & Half The Price』のジャケットでおなじみの場所を訪れたレコ部の一行。ファンなら一度は行ってみたいと思うであろう場所を、富和たちが訪れた理由とは…?
目的の場所にたどり着き、イギリスならではの牧歌的な風景の中で木漏れ日フォークを堪能したレコ部の部員たち(&フレディのオッチャン)。帰りには、イエスをはじめ数々のプログレッシヴ・ロックのアートワークを手がけた伝説的人物とも遭遇し、まさに充実の1日を満喫した模様です。
★今回のレコードMEMO★
皆さんは音楽をいろいろなシチュエーションで楽しまれていると思いますが、自宅にこもってスピーカーの前に膝付き合わせて聴くのと、その曲が作られた場所で聴くのとでは、少し意味合いが違うものです。
別に良い悪いの話ではないんですが、その曲が作られた国や場所へ実際に行って聴いてみると、散々聴き倒したあの愛聴盤も、また違って聴こえてきたりします。イギリスの田舎で生まれた音楽であれば、現地の田園広がる牧歌的な景色を眼前に、その空気を目いっぱい吸いながら音楽に耳を傾ければ、なんだか妙に納得させられるんです。ああ、ここで生まれるべくして生まれたんだなぁ〜っていう感じで。
音楽は音だけが重要というワケではなくて、そういった環境にも左右されますし、ジャケットのアートワークひとつ異なっても聴こえ方が違いますし、なんならサブスクとレコードで聴くのもまた違う……要は何が言いたいかというと、音楽を聴く、特にレコードで音楽を聴くという行為は、単に聴くだけにとどまらない、まさに丸ごと「体験」であり、いわば「総合芸術」とでも言えるものなのではないでしょうか?
……ってなんか語っちゃいましたが、端的に言えば、レコの楽しみ方は無限大っていうことです。皆さん、どうせならレコードをありとあらゆる角度から思いっきり楽しんじゃいましょうよ!
最後についでになりますが、今回の話の元ネタになった、2枚のアルバムを挙げておきましょう。いずれも一聴すればブリティッシュの原風景が広がる、イギリスを代表する至高の名盤です。聴いたことがない方は、ぜひ一度、いや何度でも聴いてください。一生モノの愛聴盤となってくれるはずですよ! ぜひ!
■Heron『Heron』
発売国:UK
レーベル:Dawn
規格番号:DNLS3010
発売年:1970
■Pete Dello And Friends『Into Your Ears』
発売国:UK
レーベル:Nepentha
規格番号:6437001
発売年:1971
<登場人物 プロフィール>
富和(とみかず)
3度の飯よりレコが好き、ナチュラル・ボーン・レコード・ジャンキー。
好きな音楽はブリティッシュ・ロック。高円寺在住。
ヴァシュちゃん
レコード初心者なオテンバ娘。
レコ部の紅一点.。
キューくん
富和の同級生。
顔も趣味も度を越しているが、根は優しい富和の良き友達。基本CD党。
フレディのおっちゃん
富和の一番のレコ友。
QUEENに全てを捧げる漢。
ボビー
クールに決めるレコード仕事人。
数少ない富和憧れのディガー。
マック店長(テンチョー)
富和行きつけのレコ屋、ディスクオニオン高円寺本店の店長。
Text&Comic:山中明(ディスクユニオン)
Edit:大浦実千