仕組みがわかればコードはカンタン! ギターコードゼミ 第3回 Cフォーム(5弦ルート)【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードを「フォーム」という観点からとらえ、各フォームでの響きや音の厚みを研究してみる連載の第3回目は、5弦上にルートを持った「Cフォーム」。押弦と開放のバランスがよいCフォームの響きはとても心地よい。でもCコードって1つでは…? いやいや、ここでもいくつかの変化やポジションチェンジが可能なのだ。


文/平川理雄

ギターコードゼミ 第3回(1)

 

ギターコードゼミ 第3回(2)

 

フォームの話

 Cフォームは薬(5弦)・中(4弦)・人(2弦)の3本の指の指先を立て押弦(図1)。やっかいなのは2弦1フレットを押さえる人差指で、この指が1弦や3弦の開放弦に少しでも触れてしまったら、途端に音が途切れてしまう。人差指の爪は短く切っておかないとCフォームは鳴らせないのだ。しかし1~3弦部分さえしっかり鳴れば、Cフォームは各フォームの中でも響きのバランスはもっともよいかもしれない。それは4~1弦が[押・開・押・開]と、押弦と開放弦が交互に並ぶため、押弦による音程感と開放弦によるきらびやかさが両立しているからかもしれない。フォームをズラして移調する場合には小指を4フレット分伸ばさなければならないので、こちらはあまり実用的ではない。

ギターコードゼミ 第3回(3)

 

構成音の話

[使用弦]1~5弦
[構成音]度数:
R 3 5 R 3(※R=Root)、階名:ドミソドミ、音名:C E G C E

 低音部がド・ミ・ソと3度堆積され、高音部でもド・ミと3度がくり返されている(トップノートは3rd)。3度音程を多く含むため(2・3弦の間だけ4度)、とてもシンプルで聴きとりやすい和音なのが特徴(図2)。そして3度を積み重ねた和音は、アルペジオでの音の並びがことのほか美しいのだ。しかも2本の開放弦が含まれているため倍音成分が多く、楽器全体もよく響いてくれる。ただし3rd が2つ存在するためマイナー系コードに展開させることはできず、変化和音はメジャー系に限られるというのも特徴。

 

ギターコードゼミ 第3回(4)

 

 変化和音の種類は少ないが、他コード(フォーム)との連結という点から見るとCフォームも中々頼もしい。たとえば[G - Cadd9]というコード進行を図3(a)のように押さえて弾いてみよう。Gコードは2弦に3フレットの5thを加えた変化形(響きはGのまま)で、CコードはCadd9とし、1弦3フレットの5thを加えてある。5・6弦を押さえた人・中をそのまま4・5弦に移動するだけの変化だが、1~3弦は共通のためトップが維持され、とても親和性の高いコード進行となっている。また図3(b)は[CM7 - FM7]というコード進行。ここでのFM7はEフォームのFコードから5・6弦を省略して4弦をルートとしたフォーム。1弦を開放にしてM7thを鳴らした変化形だ。こちらのコード進行も、左手の移動はとてもラクなのに、響きはオシャレな感じになる。こんなふうにコードフォームは、前後のコードとのつながりから決定されることはとても多い。

 

ギターコードゼミ 第3回(5)

 

ギターコードゼミ 第3回(6)

 

ギターコードゼミ 第3回(7)

 

 3rdが2つ存在(内1つは開放弦=1弦)してしまうため、Cフォームのままではマイナー系コードに変化させることは不可能で、すべてがメジャー系コードとなる。2弦開放で「CM7」、3弦3フレットを押弦で「C7」、2フレット押弦で「C6(小指を5弦に使用)」、2弦3フレットを押弦で「Cadd9」、1弦3フレット(トップノート=5th)を押弦した「C」など。マイナー系を弾きたければAフォームやEフォームを選択する必要があるが、この場合Cフォームと同じ5弦3フレットをルートとするAフォームからのマイナー系が一般的だろう(図5)

 

ギターコードゼミ 第3回(8)

 

ギターコードゼミ 第3回(9)

 

 他の4つのフォームで弾くCコードも覚えておこう。例のごとく違いのポイントはトップノートと音の厚さ(使用弦の本数)だ。Aフォーム[トップ=5th /5音]、Gフォーム「トップ=ルート/6音」、Eフォーム[トップ=ルート/6音]、Dフォーム「トップ=3rd /4音」。Cコードをどのトップノートで弾きたいのかによって使い分けること。たとえば曲のエンディングにおいてCコードで終わるとき、Cフォームで1発ジャラーン、Dフォームでもう1発ジャラーンとやれば、トップノートのEがオクターブ移動するので、よりエンディング感が強くなる。

 

ギターコードゼミ 第3回(10)

 

人気/定番曲で、キーEの曲をピックアップしてみた!
 

「空も飛べるはず」スピッツ
キーCならではの優しい響きが持ち味。出てくるほとんどのコードが3和音ということもあり、歌うにも弾くのにも最適。

「ふるさと」
幅広い世代に歌い継がれる暖かみのあるメロディはキーCならでは。オンコードを使ったコード進行自体がメロディのように美しい。

「ヒカレ」​​​​​​​/ ゆず
ギターのCコードはとても美しく響く。キーCの曲は、開放弦を多用するオープンコードが多いので、弾き語りにぴったり!​​​​​​​​​​​​​​

「イマジン」​​​​​​​/ ジョン・レノン
世代、国境を越えたワールドスタンダード曲。キーCというシンプルさが、曲のメッセージ性をより強く訴えてくる。

 

ギターコードゼミ 第3回(11)


(Go!Go! GUITAR 2016年8月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海