仕組みがわかればコードはカンタン! ギターコードゼミ 第4回 Dフォーム(4弦ルート)【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードを「フォーム」という観点からとらえ、各フォームでの響きや音の厚みを研究してみる連載の第4回目は、4弦上にルートを持った「Dフォーム」。高音側の4本しか使用しないため他のフォームと比べて確かに音は薄い。しかし使用弦が少ないからこそバリエーションが豊富で、トップノートも積極的に動かせるのだ。


文/平川理雄

ギターコードゼミ 第4回(1)

 

ギターコードゼミ 第4回(2)

 

コードとは?

 連載も折り返し地点を迎え、読者のみんなもコードフォームの便利さにだんだん慣れてきただろうか?これまで解説はなるべくわかりやすく書いてきたつもりだが、それでも音楽用語が頻出してくると「ムズかしい~」となってしまう人もいたりして……。そこで連載の後半に向けて、今一度コードについておさらいしておこう。
 まずは誰もが知ってる「ドレミファソラシ(ド)(図1)」。綺麗な音の「階段」がわかるかな?五線譜の線上と隙間に、順番に右上がりに音符が並んでいる。実はその階段はさらに上に行くことができて、それが図2となる。
 その階段を1段抜かしで上がっていくとどうなるか? それが図2の白玉「ドミソシレファラ」で、それを抜き出したのが図3だ。最後にそれを同時に鳴らしたのが図4となる。
 つまりコードの基本は「スケールという音の階段を1段抜かしで同時に鳴らしたもの」ということだ。その階段は上下2つに分類できて、階段の下4段(1、3、5、7)を「コードトーン」、上3段(9、11、13)を「テンションノート」と呼ぶ。またコードトーンの一番下(階段の1段目)には「ルート」という特別な呼び方がある。
 ルート以外の音はそれぞれ半音上がったり(#)、下がったり(b)することで、様々な変化和音が生まれるし、そもそも最初の階段もレから始まるものやファから始まるものだってある。それらを組み合わせることで音楽は作られているのだ。

 

ギターコードゼミ 第4回(3)

 

ギターコードゼミ 第4回(4)

 

フォームの話

 1~4弦のみを使用するフォーム(図5)なので、5・6弦のミュートは必須だ。ブリッジ付近で右手のひらのつけ根部分をあてるなどしよう。1~3弦は人差指セーハ(2弦は中指または薬指)でも可能だが、人(3弦)&薬(2弦)&中(1弦)でそれぞれ押さえる方法もある。その選択は、Dフォームをどのように変化させたいかで決まってくる。また、前後に繋がるコード進行からも指使いは決定される場合もある。どちらにせよ、使用弦が少ないために、指を動かしやすいのがDフォームの特徴だ。このフォームの様々な変化形を弾けるように練習することで自分の指が意思通りに動かせるようになるだろう。つまりギター演奏を上達させてくれるのがこのフォームだ!

 

ギターコードゼミ 第4回(5)

 

構成音の話

[使用弦]1~4弦
[構成音]
度数:R 5 R 3(※R=Root)、階名:ドソドミ、音名:D A D F

 3~4弦がパワーコードを形成している(図6)とはいえ、その音域が高いためにロックのリフで使えるような「パワー感」はない。そのかわり高音側に使用弦が集中しているため、サウンドはとても煌びやかだ。4弦をルートとすれば、1弦=3rd、2弦=オクターヴ上のルート、3弦=5thとコードトーンがそれぞれ1音ずつしか存在しないために各音を動かしやすく、そのためコードの変化形の豊富さはダントツだ。ただし、セーハを使って移調する場合にはセーハで人差指を使用してしまうため、これらの変化には制限が出てくる。

 

ギターコードゼミ 第4回(6)

 

 わずか4つの構成音からなるDフォームだからこそ、音は薄いが多彩な変化をつけられるのが特徴。その構成音は1弦=3rd(F)、2弦=ルート(D)、3弦=5th(A)で、コードの変化形とはこの3つの音を半音や全音動かすことで作り出すことができるのだが、各弦の変化の組み合わせでさらにバリエーションは増える。その詳細は列記したダイアグラムを弾いて確認してもらいたい。いかがだろう? この変化形の豊富さこそがDフォームのスゴさだ!

 

ギターコードゼミ 第4回(7)

 

ギターコードゼミ 第4回(8)

 

ギターコードゼミ 第4回(9)

 

ギターコードゼミ 第4回(10)

 

人気/定番曲で、キーEの曲をピックアップしてみた!
 

「ツイスト・アンド・シャウト」ザ・ビートルズ
ザ・ビートルズのロックな一面が垣間みれるこの曲は、「D-G-A」というシンプルなコード進行。ぜひ弾いて歌ってもらいたい曲。

「真夏の果実」サザン・オールスターズ
もはや日本のスタンダードナンバーと言っても過言ではないこの曲。ちょっと大人な、しっとりとした夏の夕暮れにピッタリな曲。

 

ギターコードゼミ 第4回(11)


(Go!Go! GUITAR 2016年9月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海