【レコードジャンキー富和】第25話「レコード夏合宿に行くづら!(日本帰国編)」

リアルタイムで触れてきた世代だけではなく、若い世代も巻き込みながら盛り上がりを見せている近年のレコード・ブーム。そんな中でレコードの深遠なる魅力をお伝えするべく、ディスクユニオン新宿ロックレコードストア店長の山中明氏が、なんと漫画の連載をスタート! 得意のイラストを武器に間口はより広く、しかしディープな内容をポップにご紹介していきます。
第25話では、いよいよレコ部の1週間にわたるイギリスでの夏合宿も終わりを迎える寸前、という場面からスタート。飛行機の離陸時間も迫る中、帰路を急ごうとするキューくんやフレディのオッちゃんの声も聞こえないほどに、富和は「レコ土産」選びに夢中なようで…。
ボビーやマック店長など先輩方へのお土産選びから、自分の世界に浸ってしまい周りが見えていない様子の富和。しびれを切らしたヴァシュちゃんの号令で一致団結したレコ部の面々による実力行使で、なんとか強制帰国の途についたのでした…。
★今回のレコードMEMO★
みなさんはカンパニー・スリーヴというものをご存じでしょうか? そして、ご存じの方はコダワリをお持ちだったりするでしょうか?
カンパニー・スリーヴとは、作品ごとに作られる独自のインナー・スリーヴとは異なり、リリース元のレコード会社が制作する、共通デザインのインナー・スリーヴのことを指しています。英語にすれば「Company Sleeve」となりますので、「CS」と略されて表記(以降、略語表記)されたりもします。
なお、LPや7”シングル等、サイズに関係なくCSというものが存在していますが、今回はLPのCSに限定した話をしたいと思います。まぁ、概ね共通しているんですが、ちょっとだけニュアンスが異なるので、一応前置きしておきます。ややこしいですけど。
CSには同時期の推しの作品が掲載されていたり、レコードの取り扱い方からプラスチック・バッグの危険性(窒息の危険があるため、乳幼児の手の届かないところに云々)他、いろいろな注意事項が書かれていたりと、そのデザインは千差万別です。
ただ、時期ごとにデザインは共通しており、この作品にはこのCSが付いているはず、みたいな整合性を取ることも可能となっています。
ここでレコード・ジャンキー的ポイントとして押さえておきたいのは、CSは独自のデザインではなく、言っても外からは見えないよねっていうこともあって、大切に扱われてこなかったことが多いということです。
中古市場で回っているレコードの中には、異なる時期のCSや、今新品で販売されている無地のスリーヴ等、リリース当時とは異なるものに変えられてしまっている個体も少なくないのです。
そんなこともあって、やっぱりレコード・ジャンキーは、全てをリリース当時の条件でビシッと揃えたいという蒐集欲がモリモリ湧いてくるのですが、そんな時にうれしいのが「CSの単体販売品」です。
日本のレコ屋では見かけないですし、海外でもたまにある程度ではありますが、CSだけが5枚とか10枚とかセットになって売られていることがあるんです。こういうのを買って常備しておくと、いざという時に役に立ちますよね……って、ジャンキー以外は気にしなくて良い話でした……。ではまた次回!
<登場人物 プロフィール>
富和(とみかず)
3度の飯よりレコが好き、ナチュラル・ボーン・レコード・ジャンキー。
好きな音楽はブリティッシュ・ロック。高円寺在住。
ヴァシュちゃん
レコード初心者なオテンバ娘。
レコ部の紅一点.。
キューくん
富和の同級生。
顔も趣味も度を越しているが、根は優しい富和の良き友達。基本CD党。
フレディのおっちゃん
富和の一番のレコ友。
QUEENに全てを捧げる漢。
ボビー
クールに決めるレコード仕事人。
数少ない富和憧れのディガー。
マック店長(テンチョー)
富和行きつけのレコ屋、ディスクオニオン高円寺本店の店長。
Text&Comic:山中明(ディスクユニオン)
Edit:大浦実千