ロック史を創ってきた者たち 世界が愛したギターヒーロー名鑑 vol.3 ジミー・ペイジ【Go!Go! GUITAR プレイバック】

 

唯一無二のプロデュース能力で、ロックの進化に貢献したレジェンド

ロックギターヒーローにスポットを当てて紹介するコーナーの第3回。ベック、クラプトンとくればもちろん今回はジミー・ペイジの登場だ。黒人音楽から誕生したロックに白人音楽や民族音楽をたくさん盛り込んだ天才の素顔に迫ろう!


文/平川理雄 マンガ/dobby

世界が愛したギターヒーロー名鑑  vol.3(1)

 

世界が愛したギターヒーロー名鑑  vol.3(2)

 

 本名ジェイムス・パトリック・ペイジ。1944年1月9日にロンドン北東部のミドルセックス州(現ロンドン自治区)ヘストンで生まれ、8歳頃までノーザンプトンで育ち、それ以降はサリー州エプソムに両親2人と移る。子供の頃はラジオから流れるアメリカ音楽が大好きで、特にカントリー&ウェスタン(C&W)系のレス・ポール&メリー・フォードやチェット・アトキンスがお気に入りだった。
 13歳のとき、両親は彼にスパニッシュのアコースティックギターをプレゼント。ロックンロール(特にC&W的アコギ・サウンド時代のエルヴィス・プレスリー)やロカビリー、C&Wなど幅広い音楽をプレイしていった。17歳頃には地元でも有名となり、ニール・クリスチャン&ザ・クルセイダーズというバンドに加入したが、美術系のアートスクールにも進学。在学中からスタジオ・ミュージシャンとしての活動も開始した。膨大な数のレコーディングを行う日々が続いた’64年末頃、エリック・クラプトンがヤードバーズを脱退するのを受けてジミーにオファーが掛かるが辞退し、友人であるジェフ・ベックを推薦。しかし’66年5月にはベーシストとして加入。後にギターに転向しジェフとのツイン・ギターが成立した。ジェフが脱退したヤードバーズは’68年7月に解散。
 契約が残っていたジミーは急遽メンバーを集めたのだが、“ニュー・ヤードバーズ”として揃ったのがロバート・プラント(vo)、ジョン・ポール・ジョーンズ(b)、そしてジョン・ボーナム(ds)。翌月バンドはその名前を変え、’69年1月、新たなバンド名をタイトルとしたアルバム『LED ZEPPELIN』を発表。ロックの歴史に新たなページが追加された。
 このバンドの特徴はアコースティックサウンドやブルース、ポップスを含めたその音楽の多様性。これは若い頃のジミーの広い音楽性が反映されているからに他ならない。また、ギター奏法やレコーディング技術においてのアイデアも多彩で、ボウイング奏法やオープンチューニングの使用などでもそれが発揮されている。

 

世界が愛したギターヒーロー名鑑  vol.3(3)


 ジミーの音楽的多様性を反映する楽器群をここですべて紹介するのは不可能なので、代表的な機材を。エレクトリックギターは活動初期にはフェンダー・テレキャスターを愛用。その後’58年製や’59年製他何本かのギブソン・レスポール、’68年製ギブソンのEDS-1275(ダブルネック)など。アコースティックはハーモニー・ソヴレインH-120やマーティンD28など。もちろんシタールやマンドリンも忘れてはならない。
 アンプはSUPRO1624DUAL TONE、マーシャル1959、リッケンバッカー・トランソニック、ハイワット・カスタムヘッドなど。エフェクターはVOXクライベイビー(ワウ)、ロジャー・メイヤーVoodooファズ、ハモンド・レスリー・スピーカーなどを使用。これらの組み合わせ以外にもアンプに立てるマイクの位置も考慮しなければならないので……奥が深すぎる!

これぞ!ジミー・ペイジの定番サウンド

 

世界が愛したギターヒーロー名鑑  vol.3(4)

ジミーと共にロックシーンに衝撃を与え続けてきた愛器と言えばレスポールだ。ピックガード付きのモデルをメインに使用。

 

世界が愛したギターヒーロー名鑑  vol.3(5)

アンプは基本的にマーシャルを使用。BASSを抑えることによりギターのピックアップの切り換えとトーンノブのコントロールで多彩なサウンドを得る。ワウ、ファズは欠かせないエフェクターだ。

 


(Go!Go! GUITAR 2017年2月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海