コードの響き、キャラクターがよくわかる 作曲に役立つコードワーク 第6回 ふんわり浮かんだ響き「sus4」【Go!Go! GUITAR プレイバック】


コードがどうやって作られ、そしてどのように音楽に組み込まれているかを勉強していく連載の第6回。今回取り上げるのは、ポピュラー音楽では欠かすことのできない、ふんわりした独特の浮遊感と着地感を味わえるsus4(サスフォー)だ。


文/平川理雄 マンガ/dobby

作曲に役立つコードワーク 第6回(1)

 

作曲に役立つコードワーク 第6回(2)

 

 sus4(サスフォー)とはサスペンディド4thの略で、メジャーコードの3rdが4thへと半音“吊り上がった”状態を示している(譜例①(a))。
 例えばキー=Cメジャーのとき、Cコードはとても安定感のある響きを持つ。その3rdが4thへと吊り上げられるととたんに浮遊感が漂う響きに変化する。なぜそう聴こえるのかは、倍音列という物理的な現象にその理由があるのだが、ここでは話の方向が変わるので省略する。興味のある人は各々調べてみてほしい。とにかく“落ち着くのはここじゃない”感が生まれるのが、このsus4というサウンドだ。
 sus4サウンドの最大の特徴は、ルートの上に完全4度の音があるということ。Csus4ならその構成音の中にF音が含まれているということになる。よって多くの場合、C→Csus4やG7sus4→G7のように、sus4コードとその4thを3rdに“下げた”メジャー系コードの2つを組み合わせて使われることが多い(次ページ参照)。
 3声和音のsus4の他にも、4声和音の「7sus4」もポピュラー音楽では頻繁に使用される。これは7thコードの3rdを半音吊り上げたもの(譜例①(b))。そしてこの7sus4は、コード表記では分数コードとして書かれることも多い(譜例①(c))。
 例として3つを挙げたが、これはどれもG7sus4の別表記だと思ってくれていい。例えば「Dm7onG」というコードを見たら、「G7sus4」のサウンドと解釈して構わない。3つとも共通音も多く、どれをとっても「ルートと完全4度を同時に含む」という点で同じだからだ。その違いは…嘘と思われるかもしれないが、そのコードを書いた人の好み、ということになる。

 

作曲に役立つコードワーク 第6回(3)
 

作曲に役立つコードワーク 第6回(4)

 

作曲に役立つコードワーク 第6回(5)

 

 譜例②はキー=CメジャーのときにI 度(トニック)上でsus4を使った例。
 Dm7 - G7と進んできて、もし2小節目ですぐにCコードを弾いてしまったらそこでおしまい!なのだが、sus4で一旦ふんわりさせてからCに着地してみるとどうだろう。ちょっと爽やかな感じにならないだろうか? 
 注意しなければならないのは「2小節目冒頭のメロディーが3rd音ならsus4は使わない」ということ。その理由はカンタン。それは特徴的な4th音とメロディーの3rdが半音でぶつかってしまうから。爽やかどころかミストーンと言わざるを得ない。
 譜例③は7sus4の使用例。V7と併せてよく使われる。2小節冒頭のG7sus4は「Dm7onGと同じものと思って構わない」と前項で書いたが、こうすることで1小節のDm7からコードが連続することになる(ベースだけがD→Gと変化する)。
 もしバンドにベーシストがいる場合はルート移動はベースに任せておいて、ギターやキーボードはDm7のカッティングを都合6拍分続けるというアレンジもできるわけだ。
 譜例④はこのアイデアを採用しつつ、譜例②と譜例③を組み合わせたもの。sus4の響きによって、全体的にふわふわした柔らかなサウンドを感じられるだろう。

 

作曲に役立つコードワーク 第6回(6)

 

作曲に役立つコードワーク 第6回(7)

 

 sus4系コードは、実はフュージョンやファンク、R&Bなど、エレクトリックギターによるカッティングがカッコいい音楽では定番中の定番とされる。むしろCとかGというコードよりも登場回数が多い曲もある。譜例⑤はそんなカッティングでプレイしてもらいたいパターン。
 登場する分数コードはすべてsus4系で、「GonA=A7sus4」「FonG=G7sus4」「B♭onC=C7sus4」「ConD=D7sus4」「D♭onE♭=E7sus4」だ。ただしここは「ギターのカッティングで」というオススメフレーズなので、ぜひTAB譜に忠実な押さえ方で弾いてほしい。フレット番号が書かれていない部分は全部ミュート(音を出さない)だ。すべてのコード(4声和音=3声和音+1ルート)の押さえ方が、表示されたコードネーム通りの「分母コード/ルート」という音の積み重ねになっているのがわかると思う。
 つまりこの手のサウンドなら、コードネームもsus4表記をするよりも「分数コード」で書いておいたほうが演奏しやすいという好例とも言える。J-POPの中にもファンクっぽい楽曲はたくさんある。「この響きはカッコいいなぁ、何というコードだろう?」って思ったら、それはsus4系かもしれない。

 

作曲に役立つコードワーク 第6回(8)
 


(Go!Go! GUITAR 2017年5月号に掲載した内容を再編集したものです)