【レコードジャンキー富和】第35話「初詣に行くづら!」
mysoundマガジン読者の皆さまにはもうお馴染み、レコードの深遠なる魅力をお伝えする【レコにまつわるエトセトラ】、独自の視点で推薦盤を紹介する【秘密レコード〜 レコ屋がこっそり教える、ヒミツのレコメンド】。その著者であるディスクユニオン新宿ロックレコードストア店長の山中明氏による、漫画連載が【レコードジャンキー富和】です。得意のイラストを武器に間口はより広く、しかしディープな内容をポップにお届け!
第35話では初詣に向かうべく、着物姿でおめかしをしたヴァシュちゃん。意外な誘いをしてきた富和に対して「え? 神社にレコードないよ?」とツッコミを入れつつも、しっかりと円盤模様に仕立てられた一張羅を着て、ワクワクと胸を高鳴らせているようですが…。
お正月らしい着物姿でそろえたレコ部の面々(with フレディのオッちゃん)と合流して、みんなで向かった先はまさかのレコ屋。“掘り初め”をしたあとは無事に本物の初詣も済ませたメンバーたちに、今年も良いレコとの出会いがあらんことを!
★今回のレコードMEMO★
この季節にはこれを聴きたい! そんな四季折々にピッタリなレコードってあるものです。
サウンドの雰囲気がその季節に合うっていうこともありますし、そもそも季節に合わせて作られた曲ということもありますが、それらは総称して「シーズンもの」と呼ばれています。いや、私が個人的にそう呼んでいるだけかもしれませんが……。
そんなシーズンものにも誰もが知ってる大定番から、ちょっと通好みのものもあるもの。今回は作中にちょっと渋めの具体例を挙げさせていただきましたので、少し補足しておきたいと思います。
■ CAN『Silent Night』
レーベル:Virgin
規格番号:VS166
発売年:1976
ドイツが誇るクラウトロック・アイコン、CANによる「きよしこの夜」カヴァーを収録したシングル作。
結構なんていうことないインスト・カヴァーとも言えますが、そこはやっぱりCAN。世紀の凄腕ドラマー、ヤキ・リーベツァイトの淡々としたマシーン・ビートが、ドイツ特有の硬質なグルーヴを生んでいます。
なお、本作のオリジナルはやはりドイツ盤となりますが、上にはあえて英国盤を挙げています。というのも、英国盤のほうが圧倒的に入手しやすいからなんですが、ドイツ盤には存在するピクチャー・スリーヴがないのが玉にキズ……。
■ Beverley『Happy New Year』
レーベル:Deram
規格番号:DM101
発売年:1966
世にあるハッピー・ニュー・イヤー・ソングの中でもとりわけエッジの効いた、しかし、まったく陽が当たることはなかった、ブリティッシュ・サイケ裏名作シングル。
この曲がこんなにハイ・クオリティーなのも、そのワケは至って単純明快。作曲ランディ・ニューマン、ピアノにニッキー・ホプキンス、ダメ押しでファズを踏み倒すギターがジミー・ペイジ……そんなの良いに決まってます!
なお、彼女はのちに英国SSWアーティスト、ジョン・マーティンと結婚し、ビヴァリー・マーティンとアーティスト名も変更。そして、夫婦デュオ、ジョン&ビヴァリー・マーティンとして『Stormbringer!』等の名作を残すこととなるのですが……その話はまた別の機会にでも。ではまた次回をお楽しみに!
<登場人物 プロフィール>
富和(とみかず)
3度の飯よりレコが好き、ナチュラル・ボーン・レコード・ジャンキー。
好きな音楽はブリティッシュ・ロック。高円寺在住。
マローン
富和の相棒の猫。
レコード部のアイドル。
ヴァシュちゃん
レコード初心者なオテンバ娘。
レコ部の紅一点.。
キューくん
富和の同級生。
顔も趣味も度を越しているが、根は優しい富和の良き友達。基本CD党。
フレディのおっちゃん
富和の一番のレコ友(レコード友達)。
QUEENに全てを捧げる漢。
ボビー
クールに決めるレコード仕事人。
数少ない富和憧れのディガー。
シルおばさん
富和を幼少の頃から見守り続けてきた育ての親。
マック店長(テンチョー)
富和行きつけのレコ屋、ディスクオニオン高円寺本店の店長。
フリップ先生
レコ部の顧問。音楽は詳しいがレコードには疎い。
Text&Comic:山中明(ディスクユニオン)
Edit:大浦実千