ギタリストが知っておくべき用語をすべてカバー! Go!Go! 音楽用語辞典 第3回 か・き・く・け・こ【Go!Go! GUITAR プレイバック】

日本語や英語、はたまたイタリア、ドイツ、ラテン語まで入り交じっている音楽用語。本来の意味や語源を知ることで君たちの音楽人生はより豊かになる! これは、ギタリスト、バンドマン目線で書き下ろした至極の音楽用語辞典である!
解説/平川理雄
か行
◆か
・開放弦
・階名
・カッコ
・カッタウェイ
・カッティング
・ガットギター
・カポタスト
・上手(かみて)
・空ピック
・カルテット
◆き
・キー
・ギグ
・キメ
・逆アングル
・逆リハ
・キャビネット
・休符
・教会旋法 (チャーチモード)
・強弱記号
・強拍
◆く
・くう(くい)
・クラシックギター
・クリック
・グリッサンド
・クレシェンド
・クロス
・クロマチックスケール
◆こ
・コーダ
・コード
・コーラス
・コル
・コンサート
・コンソール
・コントロールノブ
・コンビネーションオブディミニッシュトスケール
・コンプレッサー
・コンボ
・コンボアンプ
◆か
●開放弦
ギター 奏法
弦楽器において、指板やフレットを押さえずに鳴らす弦。ゼロフレットの意味からタブ譜では「0」で記譜される。
●階名
音楽用語 理論・作編曲
音階上の各音の名称を指す。イタリア語での音名「ドレミファソラシ」の使用が一般的。音名と違って固有名ではないため、たとえばD音から始まるメジャースケールでも「ドレミファソラシ」と、「移動ド」で歌うことができる。
👉音名
●カッコ
音楽用語 記譜
楽譜の反復記号に付けられた記号。このカッコが付けられている場合、そこで指定された回数でのみその中に進む。「X times」と書かれてあれば、合図があるまでそのカッコの中を繰り返し演奏する。
●カッタウェイ
ギター 形状
ギターのハイポジションでの演奏性を上げるため、ネックの付け根付近を深くえぐったボディの切り込み。ネック下側だけならシングルカッタウェイ、ネック上側もえぐられていればダブルカッタウェイと呼ぶ。
●カッティング
ギター 奏法
ギターでストローク奏法とブラッシングを組み合わせたリズミカルな演奏方法。単音の実音とミュート音を併用する場合には単音カッティングと呼ばれる。
●ガットギター
ギター 種類
ナイロン弦を使用したギターの総称でクラシックギターの別称で使われることもある。ガットは本来羊などの腸を材質とした弦だったが、現在ではほぼナイロンが使われている。
●カポタスト
ギター ツール
ギターのネックに取り付け、全ての弦を同じフレットで同時に押さえつけて固定する器具。略して「カポ」と呼ばれ、例えば3フレットにセットすれば「3カポ」という。カポの付いたフレットを開放弦とみなすことができるので、開放弦が使えず押弦が困難なキーの曲でもシンプルなフォームで弾くことができる。
●上手(かみて)
用語 録音・PA・ステージ
舞台用語で、客席から見たステージの右側。
👉下手(しもて)
●空ピック
ギター 奏法
ギターのオルタネイトピッキングで、実際に音を出さずに空振りすること。それによりストロークの手順が一定となり、難しいリズムパターンも正確にピッキングができる。似た用語に「ゴーストノート」があるが、これは実際には演奏しないのに演奏しているように聴こえる音のこと。「音を飲む」という表現もされる。
●カルテット
音楽用語 編成
四重奏。4人編成のバンド。
◆き
●キー
音楽用語 理論・作編曲
ある音を主音とした音階とその音階からなる和音を総合したもの。日本語では調と呼ばれ、長調(メジャーキー)と短調(マイナーキー)の2つがある。どの高さでドレミファソラシドを弾くか(主音から、長調なら全全半全全全半、短調なら全半全全半全全という音程で作られた音階)によって五線譜上に♯や♭の数と位置で表示される。
👉調
●ギグ
用語 録音・PA・ステージ
小会場での演奏会やライブのこと。英語ではこう呼ばれることが多い。
👉ライブ、コンサート
●キメ
用語 リズム
複数の楽器が揃えて演奏するために、特に指定された部分。アンサンブルのポイントとしてとても重要。ユニゾンと混同されることがあるが、「キメ」はリズム的であるのに対し、ユニゾンは複数の楽器が同じ旋律を演奏することを言う。
●逆アングル
ギター 奏法
ピックの握り方で、ヘッド側の辺を上向きにすることで弦のタッチを丸くする方法。ジャズギターで多く用いられるが、ジミ・ヘンドリックスもこの握り方。
👉ピッキング
●逆リハ
用語 録音・PA・ステージ
複数のバンドが出演するライブの際、本番とは逆の順序でリハーサルを行うこと。特に大掛かりな機材の出し入れがある場合、逆リハで使った順に機材を舞台袖にしまっておけば、本番ではその逆(つまり本当の順番)で機材を出すことができる。
●キャビネット
ギター アンプ
スピーカーをはめ込んでいる箱のこと。スピーカーキャビネット。箱の材質や容積によって音色も大きく変化する。ギター用アンプには、アンプヘッドとキャビネットが一体化しているコンボアンプと、分割されているスタックアンプがある。
👉コンボアンプ、スタックアンプ
●休符
音楽用語 記譜
音を止めている間の長さを五線譜上に表記したもの。全休符、2分休符、4分休符、8分休符、 16分休符、32分休符などがある。
👉音符
●教会旋法 (チャーチモード)
音楽用語 コードスケール
古くはグレゴリオ聖歌の分類に使用されていた旋法。それを応用してジャズでは、通常のメジャーキーでもマイナーキーでもない楽曲のためにこれらの旋法(モード)を使用した。さらにそこから転じ、アドリブ演奏を行う際のスケールの名称としてもモード名が使用されるようになった。
👉モード
●強弱記号
音楽用語 演奏指示
強弱の度合いを示す記号。p(ピアノ)、f(フォルテ)、cresc.(クレシェンド)など。
●強拍
音楽用語 理論・作編曲
小節または拍子の強部。「弱拍」の対語。
👉拍、弱拍
◆く
●くう(くい)
用語 リズム
リズムのアクセントの位置がアタマ拍からズレていること。小節線の直前の音符にアクセントがあって、その音符と次の小節アタマの音符がタイで繋がっている場合にこの言い方をする。正式な呼び名はシンコペーション。
👉シンコペーション
●クラシックギター
ギター 種類
リュート属の撥弦楽器でナイロン弦を使用した、ギターの元祖とも言える存在。別名ガットギター。ボディの表板は平らで、丸いサウンドホールが空けられている。
●クリック
機材 録音・PA・ステージ
メトロノーム音。多重録音を行う際にこれをリズムのガイドとして聴きながら演奏することで、別々に録られた複数のトラックの演奏が一致する。
●グリッサンド
ギター 奏法
高さの異なる2音間を連続音によって結び付けた演奏方法。似たものにポルタメントがあるが、そちらは音階以外の中間音も含む。ギターやベースでは、開始音と到達音の両方が確定しているものをスライド、どちらかあるいは両方が曖昧な音になっているものをグリッサンドと呼ぶのが一般的。gliss.と略称。
👉スライド
●クレシェンド
音楽用語 演奏指示
強弱記号の1つで、だんだん強く。cresc.と略記。「<」で表記されるものと同じ。
👉デクレシェンド
●クロス
ギター ツール
ギターやベースのボディに付いた汗や汚れを拭き取る布。ボディや塗装を傷めないために、楽器用のきめの細かいものが最適。楽器ケースには常に入れておきたいアイテム。
●クロマチックスケール
音楽用語 コードスケール
1オクターブを12個の半音音程で分割した半音音階。
◆け
●ゲージ
ギター 弦
弦の太さ。ゲージの違う弦セットに張り替えるとネックに掛かる張力が変わるため、調整が必要になる場合がある。またナットやブリッジの溝もゲージに合わせる必要があるため、場合によってはパーツの交換を伴う。
●ケーブル
ギター ケーブル
配線材の総称。ギターとアンプを接続するケーブルは特にシールドとも呼ばれることもある。エフェクター間を繋ぐための短いものはパッチケーブルという。
👉シールド
●弦
ギター 弦
弦楽器に張られた、音を鳴らすための線。ギター用の金属弦はスティール弦と呼ばれ、ニッケル、ブロンズ、ステンレスなどの材質がある。他にもナイロン(ガット)弦や、金属弦の表面に皮膜が施されたコーティング弦などがある。
●弦高
ギター 弦
弦楽器における弦と指板、またはフレットとの距離。高すぎても低すぎても演奏に支障が出る。エレクトリックギターではブリッジの駒のネジで調整できる。また弦高を大きく変更させたい場合には、ネックとボディの接続部の仕込み角を調整する。
●弦長
ギター 弦
弦楽器におけるブリッジとナット(0フレット)との距離。ロングスケール、ミディアムスケールなどと言い表す。
◆こ
●コーダ
音楽用語 記譜
楽曲を終わらせるために特に付け加えられた終止部分。譜面では「to𝄌」から「𝄌Coda」に飛ぶ。複数回飛ぶ必要がある場合には「to𝄌①」、「to𝄌②」と番号が振られる。
●コード
音楽用語 コードスケール
和音の構成音が一目でわかるように記号化されたものでコードネームと呼ぶ。ルート、3度、5度、7度(以上コードトーン)と、9度、11度、13度(以上テンションノート)の指定がされてある。記譜者や本によって表記が異なる場合(CM7とC△7、Cm7とC-7など)も多いので、同じコードネームでも複数の書き方に慣れておこう。
●コーラス
音楽用語 理論・作編曲 エフェクター
①メインボーカルをサポートする合唱パート。バックグラウンドボーカル。②楽曲構成上、テーマ(主題)を提示してある部分。海外のポピュラーソングはバース(序奏)とコーラスという2部形式で作られているものが多い。③エフェクターの一種。原音からわずかに音程をズラした音を発して原音と合成することによりサウンドを揺らす(モジュレーション)機器。
👉フェイザー、フランジャー
●コル
音楽用語 演奏指示
元々はスコア(総譜)に使われる用語で、「〜に従って」「〜と同じように」の意。そこから転じたポピュラー音楽での記譜では、「〜の部分と同様の演奏で」の意味で使用される。例えばA'をAと同様に演奏する場合には「Col. A」と書く。
●コンサート
用語 録音・PA・ステージ
演奏会のこと。ポピュラー音楽では、ホールなどで行うような比較的大規模の演奏会をコンサートと呼ぶことが多い。
👉ギグ、ライブ
●コンソール
機材 録音・PA・ステージ
操作卓。ミキシングコンソールの略。PAミキサー。本来はパイプオルガンの操作台などのことを指す。
●コントロールノブ
ギター パーツ
ギターやアンプに付いている可変式のノブのこと。回して操作することでボリュームやトーンを調節する。
👉ポット
●コンビネーションオブディミニッシュトスケール
音楽用語 コードスケール
あるディミニッシュ7thのコードトーンと、その半音上のディミニッシュ7thコードを足して1オクターブ以内に収めた8音音階。ドミナント7thコードのときに多く使用される。
●コンプレッサー
機材 エフェクター
①オーディオ信号のダイナミック・レンジを圧縮する装置。入力信号がある一定のレベルを超えると、入力信号が大きくなるに連れて逆にゲインが減少し、出力信号の増大を防ぐ。②その原理を応用したギター用エフェクター。音量を一定に整える使用法や、アタックの強調された音を作る使用法、サステインを伸ばす使用法など、その目的に応じて得意とするメーカーや製品が異なるので注意。
👉リミッター
●コンボ
音楽用語 編成
小編成のジャズバンド。編成上の人数については決まりはなく、一般的に3 〜8人程度の編成に対して使われる。大編成のビッグバンドとの対比で使われる。
●コンボアンプ
ギター アンプ
ギターアンプの種類。プリアンプ、パワーアンプ、キャビネットの3つの機能が一体化されて1つの箱に収まっているタイプのアンプ。プリ/パワーアンプとキャビネットが分離されているものはスタックアンプと呼ばれる。
👉キャビネット、スタックアンプ
(Go!Go! GUITAR 2015年7月号に掲載した内容を再編集したものです)
Edit:溝口元海