【レコードジャンキー富和】第30話「文化祭でレコ売るづら!」

mysoundマガジン読者の皆さまにはもうお馴染み、レコードの深遠なる魅力をお伝えする【レコにまつわるエトセトラ】、独自の視点で推薦盤を紹介する【秘密レコード〜 レコ屋がこっそり教える、ヒミツのレコメンド】。その著者であるディスクユニオン新宿ロックレコードストア店長の山中明氏による、漫画連載が【レコードジャンキー富和】です。得意のイラストを武器に間口はより広く、しかしディープな内容をポップにお届け!
第30話では、いきなり危ないレベルで両目をかっ開いた富和が、文化祭の出し物を宣言するところからスタート。わたあめ屋さんがやりたいというヴァシュちゃんのかわいらしい要望を一喝して、強引にレコ屋の出店を決めた富和ですが……。
明らかに小学生向けではない(プライス的にもジャンル的にも……)品揃えのレコが売れるわけもなく、ランチと称して消えた富和。そのすきに現れたオリジナル・パンクス風の中学生に絡まれてレコ部のピンチ……と思いきや、王道少年漫画風の展開を経ての結論、ヴァシュちゃん最強説に行き着きましたとさ。
★今回のレコードMEMO★
みなさんはレコードを売った経験ってありますか?
レコ屋に売りに行ったり、ネット・オークションに出品したりっていうことじゃなくて、自分のレコードをその手で直接お客さんに売った経験の話です。
正味な話、ここ日本でそんな経験をするのってそんなにイージーじゃないんですが、参加しようと思えばなんやかんやと場は見つかるのかもしれません。最近はレコード・フェアとか、フリーマーケットとかも増えてますしね。
で、突然なんでこんな話をするのかというと、レコードを売ることって、買ったり聴いたりすることとはまた別の楽しさが広がっていると思うんですよ。私もレコード業界に20年以上いますが、いまだに飽きずに……どころか、年々その情熱が増していってるっていうのも、いろいろなレコードの楽しみ方を知っているからだと思います。
自分で買って聴いてコレクションして……っていうだけじゃなくて、誰かのためにレコードを売る——。
想像してみてください。あの手この手で頑張って売ったレコードは、もちろん自分の得にもなるんですが、やがて誰かの血肉(=コレクション)の一部にもなるワケです。そして、ひょっとしたらその自分の売ったレコードは、誰かの人生を丸ごと変えてしまうかもしれないのです。かつての自分がそうだったように……。
そんなことを考えていると、どうしようもなく楽しくて誇らしい気になるもので、やっぱりただ自分のために買って聴くだけじゃもったいないって、改めて思った次第なんです。まぁ要はつまるところ、レコ屋稼業のススメっていうヤツでした!
ではまた次回!
<登場人物 プロフィール>
富和(とみかず)
3度の飯よりレコが好き、ナチュラル・ボーン・レコード・ジャンキー。
好きな音楽はブリティッシュ・ロック。高円寺在住。
ヴァシュちゃん
レコード初心者なオテンバ娘。
レコ部の紅一点.。
キューくん
富和の同級生。
顔も趣味も度を越しているが、根は優しい富和の良き友達。基本CD党。
フレディのおっちゃん
富和の一番のレコ友。
QUEENに全てを捧げる漢。
ボビー
クールに決めるレコード仕事人。
数少ない富和憧れのディガー。
マック店長(テンチョー)
富和行きつけのレコ屋、ディスクオニオン高円寺本店の店長。
Text&Comic:山中明(ディスクユニオン)
Edit:大浦実千