【イントロマエストロ藤田太郎が厳選】神イントロソング 年別TOP10 ~2007年編~


ある編曲家は言いました。「編曲(アレンジ)」は、良いイントロができたらほぼ完成。それが、できるかできないかで大きく違ってくる。
名曲には、すべて良いイントロあり!そんな素敵な「神イントロ」からはじまる曲を、bayfm「9の音枠」水曜DJを担当し、クイズルーム「ソーダライト」のイントロクイズでお馴染みのイントロマエストロ藤田太郎が、経験と知識を駆使し当時の音楽トレンドや背景なども含め、リリースされた年でくくった独自のランキングを決定。そのTOP10を紹介してきます。

第18回目の今回、フォーカスするのは「2007年」

 

第1回東京マラソンが開催され、東京ミッドタウンが開業と都心に華やかな動きが目立つ中、宮崎県知事の東国原英夫が県議会での所信表明で言った言葉「どげんかせんといかん」が新語・流行語大賞を受賞と地方活性も盛り上がり、NTTドコモがパケット定額制、Googleが携帯電話専用検索エンジン提供開始と、インターネット関連サービスがより一般化していきました。 
夏には35℃以上の猛暑日が続き、タレントIKKOの決め台詞「どんだけぇ~」、小島よしおのギャグ「そんなの関係ねぇ」が流行り、ネットカフェ難民の数が増えはじめる混沌としたトピックが多い年だった2007年という時代にヒットした音楽はどんな曲だったのか。 
厳選した「神イントロ」という切り口で、それまでとは違う楽曲の楽しみ方を見つけてくれたらうれしいです。それでは、カウントダウン! 

 

神イントロソング_第10位
 

第10位:「イケナイ太陽」ORANGE RANGE 
発売日:2007年7月18日 
編曲: ORANGE RANGE  
イントロ秒数:13秒 

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10位は、堀北真希が主演を務め、フジテレビ系列で放送されたドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』のオープニング曲に起用された「イケナイ太陽」。 
このドラマは主演の堀北真希の他に、小栗旬、生田斗真、水嶋ヒロ、岡田将生、木村了、溝端淳平など、その後、多くのドラマや映画で主演を務めていくメンバーが出演していたことが今も語り草になっている作品です。そのドラマのオープニングを華々しく飾ったのはこの曲のイントロ。まさしくタイトル通り、昭和歌謡の「イケナイ」雰囲気に、甘酸っぱい隠し味を加え、ギターを中心としたバンドサウンドで響かせるこのイントロは、秘密を隠し続けながらも全力で駆け抜けていく『青春』ドラマをアオハルな色に染めました。 
徐々に高鳴る鼓動を止められない、ドキドキな気持ちを心地よく表現しているこの曲が10位。そして、ドキドキする曲が続きます! 

 

神イントロソング_第9位
 

第9位:「熱帯夜」RIP SLYME 
発売日:2007年7月25日 
編曲:RIP SLYME 
イントロ秒数:34秒 

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9位は、Coke+iTunesキャンペーンのCMソングに起用された「熱帯夜」。 
"Rip Slyme"という文字がコカ・コーラのロゴ風に描かれている女性の水着がジャケットに描かれているこの曲のテーマは『真夏の夜の愛のラヴ・アフェア』。ブラジルの女性シンガー、クララ・ノニスの「Sabia」の冒頭のフレーズをサンプリングしループさせたイントロは、言葉で表すと"妖艶"。「ホテらす ネツタイヤ」、「燃え上がる愛のFire」というドキドキする歌詞フレーズを、艶めかしく響かせます。猛暑が続いた2007年の夏を熱く彩ったこの曲は、リリースから16年の時を経て2023年にTik Tokで再ブレイクします。艶めかしさよりも、誰もがすぐに参加しやすい振付をつけた"チョイダサ"な感じがウケているのも、キャッチーでシンプルなサウンドのループに人懐っこさがあったからではないでしょうか。時代を越えて、お前らも、オレらも虜にするイントロはエモーショナル!当然のランクインです! 

 

神イントロソング_第8位
 

第8位:「鱗(うろこ)」秦基博 
発売日:2007年6月6日 
編曲:亀田誠治 
イントロ秒数:22秒 

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8位は、シンガーソングライター秦基博のセカンドシングル「鱗(うろこ)。」 
爽やかなピアノのイントロから「夏の風」を感じることができるノスタルジーなこの曲は熱いシャウトで、身にまとった物は捨てて、魚のように泳いでいけ!と歌います。その理由は、ずっと想い続けていた人へ気持ちを伝えたいから。この曲は、一歩前へ進むことを決意するラブソングなのです。この想いは、名作漫画とのコラボへと繋がっていきます。発売から10年後の2017年に、漫画『タッチ』の原作者あだち充の書いたキャラクターが登場する映像と、この曲がコラボしたミュージックビデオが作成され話題に。映像を観ながら流れてくるイントロを聴くと、歌詞の主人公の気持ちに強く入り込み、応援している自分に出会えます。それはまさに"青春"。どんなに年を重ねても、アノ頃の気持ちに戻してくれる名イントロです。 

 

神イントロソング_第7位
 

第7位:「哀歌(エレジー)」平井堅 
発売日:2007年1月17日 
編曲: 亀田誠治 
イントロ秒数:19秒 

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7位は、渡辺淳一原作小説を、豊川悦司、寺島しのぶ出演で映画化した『愛の流刑地』の主題歌に起用された「哀歌(エレジー)」。 
平井堅が原作と脚本を読み、触発された感情を、初の“女性視点”で書き下ろした情念と哀愁が漂うこの曲のイントロは、ピアノの儚いメロディを静寂のストリングスが引き立てるように響き、美しさを超えた恐ろしさを感じます。アレンジを手掛けたのは、8位の「鱗(うろこ)」のアレンジも担当した亀田誠治。好対照な雰囲気のピアノイントロをこの年に2曲完成させていることに脱帽です。背中合わせの不安と悦びを感じるイントロからスタートし、5分20秒後に迎えるアウトロも素晴らしい。すべての出来事が黒く染められるように、ピアノの鍵盤1音だけが鳴り響くという衝撃的なサウンドでこの曲は終わりを迎えます。このラストを聴くと、恐ろしいと感じていたイントロが、安らぎの音に聞こえてしまうマジックを、ぜひ味わってみてください。 

 

神イントロソング_第6位

 

第6位:「Lovers Again」EXILE 
発売日:2008年1月17日 
編曲:Jin Nakamura 
イントロ秒数:10秒 

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この曲のプロデュースを手掛けた松尾潔は、自身のSNS、X(旧Twitter)でこの曲を"人肌恋しい季節に寄り添う曲"と表現しています。2001年にボーカルデュオCHEMISTRYがデビューして以降、"メロウ"と表現される、柔らかくて心地良い甘さを持つ、うっとりするような男性ボーカル曲がチャートを賑わすようになっていきます。その声に似合う季節は冬。甘く心地良い声は、寒さを優しく包み込むように響き、温もりを感じ、胸がキュンとなる体験をした方も多いのではないでしょうか。「Lovers Again」は歌い出しから「初雪にざわめく街」、「スカイブルーのマフラー」とリアルな冬の情景が浮かぶフレーズが登場します。そのフレーズをよりドラマティックに演出するのが、クリスタルな美しさと儚さを持った響きで高鳴るイントロ。人肌恋しい季節を音楽で表せ、という問いの解答は、このイントロ!といっても過言ではありません。熱い刹那を感じるこの曲は、令和の冬も盛り上げます。 

 

神イントロソング_第5位

 

第5位:「若者のすべて」フジファブリック 
発売日:2007年11月7日 
編曲: フジファブリック 
イントロ秒数:16秒 

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「若者のすべて」は、作詞・作曲を手掛けたフジファブリックのフロントマン、志村正彦が地元の山梨県で幼い頃から親しんできた河口湖湖上祭の花火を思い描いたものと言われています。イントロで高鳴る鍵盤のリフレインは、楽しかった想い出が蘇ってくるように響き続けます。それはまるで、走馬灯のように。志村正彦は2009年に29歳の若さで亡くなりますが、亡くなってから10年後の2019年に想い出の河口湖湖上祭にて「若者のすべて」を湖に響かせ、夏の夜空に花火を打ち上げるという企画が行われました。「最後の花火に今年もなったなあ  何年たっても思い出してしまうな」夏の終わりに聴くとセンチメンタルな気持ちになる、だけどそれは少し温かい。この曲は、これから今以上にさらに"名曲"として語り継がれていくでしょう。この曲の神イントロを聴くたびに、私はそう思い続けています。 

 

神イントロソング_第4位

 

第4位:「睡蓮花」湘南乃風 
発売日:2007年6月6日 
編曲: MINMI,Yoshitaka "Gakkey" Ishigaki,湘南乃風 
イントロ秒数:25秒 ​​​​​​​

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私は、J-POPの大きな魅力の一つとして、様々な音楽ジャンルが融合できる点だと考えます。聴いたことが無いリズムでも、歌謡曲の哀愁と融合することで大衆に受け入れられ、ヒットを記録した曲を私はたくさん知っています。「睡蓮花」のイントロは、打ち込みの琴の音色を、軽やかに且つ、艶やかに響かせる和風サウンド。そこにHAN-KUNのハイトーンボーカルが、水面に光る美しい花を煌びやかに描くフレーズを古風な雰囲気で響かせるところから一遍。ソウルとカリプソを合わせた、トリニダード・トバゴ発祥のポピュラー音楽で”ソカ”のリズムへ!そこに『濡れたまんまでイッちゃって!!』という、勢いを感じずにいられないパンチラインが炸裂し、タオルを回しながらオーディエンスと盛り上がる一体感を演出!プロデュースを手掛けたMINMIのグローバルな視点でJ-POPを捉えたサウンドアプローチに脱帽です。 

 

神イントロソング_第3位

 

第3位:「チョコレイト・ディスコ」Perfume 
発売日:2007年2月14日 
編曲:中田ヤスタカ 
イントロ秒数:7秒 

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2007年のヒットソングを語る上で、Perfumeを外すことはできないでしょう。NHKと公共広告機構の共同キャンペーン「リサイクルマークがECOマーク。」のCMソングに起用された「ポリ リズム」と、リリース後、バレンタインの季節になると街中でかかるようになった「チョコレイト・ディスコ」の2曲で、いまでは"エレクトロミュージック"といった方がポピュラーかもしれない"テクノポップ"サウンドと、プロデューサー中田ヤスタカの名前が音楽業界に浸透していきました。耳の早い音楽ファンの間では数年前から話題となっていたアイドルのブレイクは、その後ロックフェスに出演する際に、アイドルが出演することの是非がネット上で盛り上がるなど物議を醸していきましたが、そんな状況をあざ笑うかのように、この曲は、果てしなくポップなピコピコサウンドのイントロ7秒だけで、私たちの心躍らせたのです。ときめいている女の子も、気にしないふりな男の子も、みんなが振り向かせたこの曲のTOP3入りは当然!教室が、いやいや日本中がダンスフロアでしょ! 

 

神イントロソング_第2位

 

第2位:「明日晴れるかな」桑田佳祐 
発売日:2007年5月16日 
編曲:桑田佳祐 / 弦・管編曲:島健 
イントロ秒数:26秒 ​​​​​​​

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2位は、山下智久、長澤まさみが出演し、フジテレビ系列で放送された月9ドラマ『プロポーズ大作戦』の主題歌に起用された「明日晴れるかな」。 
ドラマで山下智久が演じた主人公岩瀬健は、過去にタイムスリップし「ハレルヤチャンス」で新しい未来を手に入れていきます。些細なことがきっかけで変わっていく未来のシーンを見ていたドラマの視聴者は、私もあの時こうしていれば今と違った生き方をしていたかもしれない、と、自身の過去を振り返った人も多かったのではないでしょうか。しかし、現実の世界はそうはいきません。この曲は、日常で起こることに悩み、苦しみ、くじけそうになったとしても、現実をしっかりと受け入れ、そこから自分はどうするかをしっかりと考える人に信じていれば必ず道は開ける!と、歌う希望の歌です。優しく雄大なスケールで、情感あふれるピアノが響くイントロで、涙した人もいるでしょう。まだ見ぬ人生は、夢ひとつ叶えるためにある。というフレーズで語る美しいバラードナンバーは、令和になった今も、これから先も、後悔しないように生きることの強さと素晴らしさを囁き続けるのです。 

 

神イントロソング_第1位

 

第1位:「Happiness」嵐 
発売日:2007年9月5日 
編曲:北川吟 
イントロ秒数:25秒 

1位は、二宮和也と櫻井翔が主演を務め、TBS系列で放送されたドラマ『山田太郎ものがたり』の主題歌に起用された「Happiness」。 
この曲の人気がずっと変わらず、愛され続けている理由の一つは歌詞です。昭和から平成に変わった1990年代前半に流行った曲の多くを”頑張ろうソング”という括りで揶揄する風潮もありますが、その時代から15年経った2007年にリリースされたこの曲の歌詞は、薄っぺらいエールの言葉だけが並んでいるわけではありません。歌っている嵐、5人のメンバーが新しいことをやろうと挑戦し続けている、当時の想いが言霊として乗っているからこそ、この曲は、輝き続けているのです。「走り出せ 走り出せ 明日を迎えに行こう」「君だけの音を聞かせてよ 全部感じてるよ」がむしゃらに生きることのカッコよさを綴る歌詞を彩るイントロは、ベース音が「デッ・デッ・デー デッデッデッデー」と響く「恋のリズム」とも呼ばれるモータウンビートで、曲に躍動感と高揚感、そして爽快で甘酸っぱい雰囲気を演出する多幸感溢れるサウンド!人気を不動のものとしていた嵐が、満を持してリリースした珠玉のポップナンバーを2007年の神イントロ1位とさせていただきます! 

 

【2007年神イントロランキングの総評】

甘酸っぱい青春、情念、人恋しさなど、昭和の時代から多くの曲で歌われてきたテーマを平成にアップデートし、イントロから納得のサウンドで聴かせてくれる曲がランクイン。 
​​​​​​​世代が違う方と聴いてきた音楽の話をする時に、今回ランクインした曲が登場しても、しっかりと共有と共感ができる曲が揃ったTOP10でした。 

 


 

【2007年イントロベスト25】

ランキングは25位まで決定したので、11位以下も下記に紹介します。
(藤田太郎調べ) 

 

ランキング1-10位ランキング11-20位

ランキング21-25位

 

さらに、YouTubeでイントロクイズとして楽しむことができます。

うたドン!【イントロクイズ】

 

 

【Profile】

藤田太郎

「30,000曲のイントロを0.1秒聴くだけでわかる男」イントロマエストロ。bayfm「9の音粋 」水曜日のラジオDJ、Tokyo FM『ももいろクローバーZのSUZUKI ハッピー・クローバー!』音楽コメンテーターを担当。フジテレビ『99人の壁』に出場し、ジャンル「90年代J-POP」でグランドスラム達成。日本初のクイズ専門店「ソーダライト」で毎月イントロクイズを出題中。

 

 

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Text&ランキング:藤田太郎