【イントロマエストロ藤田太郎が厳選】神イントロソング 年別TOP10 ~2008年編~


ある編曲家は言いました。「編曲(アレンジ)」は、良いイントロができたらほぼ完成。それが、できるかできないかで大きく違ってくる。
名曲には、すべて良いイントロあり!そんな素敵な「神イントロ」からはじまる曲を、bayfm「9の音枠」水曜DJを担当し、クイズルーム「ソーダライト」のイントロクイズでお馴染みのイントロマエストロ藤田太郎が、経験と知識を駆使し当時の音楽トレンドや背景なども含め、リリースされた年でくくった独自のランキングを決定。そのTOP10を紹介してきます。

第19回目の今回、フォーカスするのは「2008年」

 

北京オリンピックで、北島康介が平泳ぎ100m、200mで金メダルを獲得し、オリンピック史上初の平泳ぎ2大会連続2種目制覇を達成、女子ソフトボールも悲願の優勝を果たし、ノーベル賞では、南部陽一郎、小林誠、益川敏英が物理学賞、下村脩が化学賞と、あわせて4人が受賞するなど、世界に名を刻む日本人の活躍が目立ちました。国内では、お笑い芸人、麒麟の田村裕が書いた自身の幼少時代から相方との出会いまでを記した自伝『ホームレス中学生』が200万部を突破し、エド・はるみのギャグ「グ~!」が大ブレイク。"ゲリラ豪雨"や"アラフォー"といった、今の時代では当たり前になったワードが流行語になった年でした。そんな2008年という時代にヒットした音楽はどんな曲だったのか。厳選した「神イントロ」という切り口で、それまでとは違う楽曲の楽しみ方を見つけてくれたらうれしいです。それでは、カウントダウン!

 

神イントロソング_第10位
 

第10位:「大声ダイヤモンド」AKB48
発売日:2008年10月22日
編曲:  井上ヨシマサ
イントロ秒数:13秒

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10位は、この曲からレコード会社をキングレコードに移籍した、AKB48の「大声ダイヤモンド」。
グループのプロデューサーで、この曲の作詞を手掛けた秋元康が雑誌のインタビューで「この曲辺りからメンバーと同年代の、特に若いファンが増えてきました」と語るように、グループの大きなターニングポイントになった1曲です。そうなった理由は、これでもかというくらいに混じりっ気のない、まっすぐな歌詞とサウンドで青春を描き、振り切った!といっても過言ではないほどの甘酸っぱさを感じること。13秒のイントロで響くポップなバンドサウンドから、アノコロのほろ苦い気持ちを思い出し、グッとくる人も多いのではないでしょうか。全力で"大好きだ"と叫び、"好きって言葉は最高さ"と連呼する言葉が、爽快に胸を打つこのナンバーから、2008年神イントロソング紹介、スタートです!

 

神イントロソング_第9位
 

第9位:「転がる岩、君に朝が降る」ASIAN KUNG-FU GENERATION
発売日:2008年2月6日
編曲:ASIAN KUNG-FU GENERATION
イントロ秒数:19秒

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「出来れば世界を僕は塗り替えたい」この曲は、このフレーズからはじまります。
世の中がイメージするロックンロールという言葉を具現化するのなら、"塗り替えてやる"の方がしっくりくるかもしれません。でも、この曲は違います。"出来れば"からはじまっている時点で、すでに後悔が垣間見える心情が読み取れますが、大事なことはそこじゃないのです。人生を悔やむのではなく、転がり続けることを選んだことを肯定してくれる曲なのです。優しく包み込むように柔らかなギターが存在感を放つイントロから、凍てつく世界でサバイブし続けるあなたに寄り添う感傷的なロックナンバー。2022年放送のアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』のエンディング曲としてカバーされ、若い世代へも浸透したこの曲を2008年神イントロソング9位で紹介。年を重ねれば重ねるほど深みが増し、未来のランキングではもっと上位にランクインしているかもしれません。

 

神イントロソング_第8位
 

第8位:「綺麗ア・ラ・モード」中川翔子
発売日:2008年10月22日
編曲:本間昭光
イントロ秒数:12秒

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8位は、不二家「LOOK ロイヤルモード」CMソングに起用された「綺麗ア・ラ・モード」。
作詞を手掛けた松本隆、作曲を担当した筒美京平が、レコード会社から80年代っぽい曲を作って欲しいという依頼を受け制作されたこの曲。そのアレンジを手掛けた本間昭光は、ラジオのインタビューでこう話しています。「80年代っぽいのですが、しっかりとこの時代(2000年代)の音なんですよね、設計図がしっかりしてるので、そこを含めて筒美京平ワールドなんだろうなって思うんですけど、でも、“音色は今の感じにしてちょうだい”っていうオーダーでくるんですよねで、絶対、ここは外さないでというところは譜面に指示されていました。」完成した楽曲は、イントロ一音目から、幸せを吸い込む、優しく麗しいピアノの音色が響く大人のバラード。聴けば聴くほど、新しい発見に出会える、歌謡曲の様式美をアラモードし、アップデートしたスイートなこの曲に、イントロから酔いしれてください。

 

神イントロソング_第7位
 

第7位:「星間飛行」ランカ・リー=中島愛
発売日:2008年6月25日
編曲:  菅野よう子
イントロ秒数:19秒

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7位は、アニメ『マクロスフロンティア』の挿入歌に起用された「星間飛行」。
松本隆作詞曲が2曲続きます。アニメに登場するヒロインで歌姫のひとり、ランカ・リーの声優を担当した中島愛(なかじま めぐみ)のCDデビュー作であるこの曲のイントロは、サビ前の決めフレーズ『キラッ!』を、最上級の眩さに輝かせるための入り口として、しっかり役目を果たしているトキメキが溢れるバンドサウンド。そのサウンドにイングランドのハードロック・バンド、Deep Purpleの「Smoke on the water」を彷彿とさせるギターリフが登場し、ソリッドな雰囲気を加えています。編曲を手掛けた菅野よう子の、古今東西の多様な音楽ジャンルの要素を巧みに取り入れるセンスも『キラッ!』と光るナンバー!アニメソングの枠組みを越えて、多くの人に届いてほしい神イントロソングです。

 

神イントロソング_第6位

 

第6位:「Ti Amo」EXILE
発売日:2008年9月24日
編曲:Jin Nakamura
イントロ秒数:25秒

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6位は、明治「Melty kiss」のCMソングに起用された「Ti Amo」。
プロデュースと作詞を手掛けた松尾潔が「大橋純子の「たそがれマイ・ラブ」のような、ソウル歌謡的な雰囲気を醸し出す、艶のある曲」をテーマに制作したこの曲は、「好きになってはいけない わかってた 初めから」「もっと早く会えたら あなたと向きあえたら ふたりの歩幅も合わせられたのに」というフレーズが印象的な女性目線で描いた大人のラブソング。その雰囲気を冒頭から演出するイントロは、メランコリックなダンスパフォーマンスが加わりやすい躍動感のあるR&Bサウンドの中に、情熱的で儚げなスパニッシュギターの音色が、葛藤する愛を表現するように響くメロウなアレンジ。第41回日本有線大賞と、第50回日本レコード大賞を受賞という、記録としても2008年を代表するナンバーは、神イントロランキングでも堂々のTOP10入りです。

 

神イントロソング_第5位

 

第5位:「truth」嵐
発売日:2008年8月20日
編曲:  前口渉
イントロ秒数:14秒

5位は、メンバーの大野智が出演を務めTBS系列で放送されたドラマ『魔王』の主題歌「truth」。
前年に「Love so sweet」、「Happiness」をリリースし、2008年も「Step and Go」、「One Love」と、軽快なポップサウンドが駆け抜けるナンバーで確固たる地位を確立した人気アイドルがこの曲で表現したのは"哀愁"リズミカルなストリングスのイントロから「負」の連鎖が続く歌詞を、物憂げなボーカルで繋ぎ、サビの頭で叫ぶ「悲しみ」のフレーズで哀愁の最高到達点へと導く。透明なままの願いを嘆き続けた先に、ポップさの中に絶妙な"翳り"が垣間見えるスタイルを確立した曲のタイトルが「truth」。カッコいい!

 

神イントロソング_第4位

 

第4位:「愛をこめて花束を」Superfly
発売日:2008年2月27日
編曲:  蔦谷好位置
イントロ秒数:13秒

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4位は、ドラマ『エジソンの母』の主題歌に起用された「愛をこめて花束を」。
心地良いピアノソロから楽器の音が一斉に響くイントロから晴れやかな気持ちになるナンバー。歌が入ってからも、曲の終わりに向かえば向かうほど昂揚感が高まっていくアレンジも心を打たれます。作曲を手掛けた、多保孝一は自身のSNS、X(エックス)で、この曲を制作に関して、こう話しています。「(この曲は)16歳の時に作った曲で、その時は違うタイトルと歌詞でした。23歳の時に偶然掘り起こし、メロディとタイトルを今の形に変え、歌詞は花束をキーワードに全て書き直しました。原曲から丁度10年目の節目の出来事でした」もしかしたら世にでることがない可能性もあった曲が、巡る巡る時を超え、今や結婚式など、祝典を優雅に彩るスタンダードナンバーとなったと思うと胸が熱くなります。優しさと力強さを兼ね備えた神イントロは時代を越える!素晴らしい。

 

神イントロソング_第3位

 

第3位:「キセキ」GReeeeN
発売日:2008年5月28日
編曲:GReeeeN
イントロ秒数:22秒

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3位は、TBS系列で放送されたドラマ『ROOKIES』の主題歌「キセキ」。
「キセキ」は音楽配信「着うたフル®」で史上最速のミリオンヒットを達成し、2009年5月28日にギネスで「日本で最も売れたダウンロード・シングル」と認定されています。「キセキ」は、2008年のヒットソングを語る上で切り離せない、有料音楽配信サイトから自身の携帯電話へダウンロードして音楽を楽しむ、最大45秒を切り出した「着うた®」や、フル尺ダウンロードの「着うたフル®」サービスで、最も人気が高かった楽曲です。この曲が、他の「着うた®」人気曲と一線を画していたのは、イントロから人気が高かったこと。サビの45秒で心を掴めばダウンロード数を伸ばすことができる「着うた®」は、フルで聴いた時にイントロの印象が残らない曲が非常に多かったのですが、不良高校の野球部が甲子園へ行く物語のドラマの感動的なシーンで、サビからではなく、シンプル且つ感傷的なピアノが響くイントロからこの曲が流れたことで、イントロ”も”人気の「着うた®」ヒットソングとなったのです。音楽配信の歴史という観点から観ても2008年神イントロにこの曲がランクインするのは、意味のあることだと私は思います。

 

神イントロソング_第2位

 

第2位:「LIFE」キマグレン
発売日:2008年5月14日
編曲:GIRA MUNDO
イントロ秒数:30秒

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2位は、ボーカル&ラップ担当のKUREIと、ボーカル&アコースティックギター担当のISEKIの2人組ユニット、キマグレンのセカンドシングル「LIFE」。
シングルチャート最高位は14位とTOP10にはランクインしていないのですが、神イントロ3位の「キセキ」と同じく、「着うた®」や「着うたフル®」といった音楽配信で支持された曲です。配信での人気から、この年の『NHK紅白歌合戦』にも出場しました。私が「キセキ」よりも「LIFE」を上位した理由は、イントロがキャッチーだから。エモーショナルな気持ちにしてくれるラテンサウンドのイントロは、令和の時代に、聴く人全員の胸を熱くさせます。そのサウンドに乗せて響く「君は誰の為に生きてるの?」というフレーズは、2008年よりも、今の方がグッとくると感じるのは私だけではないでしょう。自分を殺して笑顔を作ってる、すべてに届いてほしい神イントロです。

 

神イントロソング_第1位

 

第1位:「HANABI」Mr.Children
発売日:2008年9月3日
編曲:小林武史 & Mr.Children
イントロ秒数:20秒

1位は、山下智久、新垣結衣が出演し、フジテレビ系列で放送されたドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の主題歌に起用された「HANABI」。
2008年の音楽シーンは、CD売上の他に、配信、カラオケ、アニメのタイアップでロングヒットを記録する曲など、ヒットの意味が多様化し、それぞれのヒットが世の中に定着していった時代でした。その中で、救命救急センターで働く医師と看護師が、災害医療に奮闘する姿を描くドラマを彩る主題歌として「誰も皆 問題を抱えている だけど素敵な明日を願っている」というフレーズを力強く響かせ、どんなことがあっても、もう一回、もう一回と、あきらめない言葉を繰り返し、誰一人として、おいていかない決意を歌うこの曲は、この年以降に放送されたドラマ『コード・ブルー』シリーズすべてのテーマとして起用され続けています。私にはそれが、変わっていくことも、変わらないことも肯定する、音楽を楽しむすべての人に「間違っていないよ」と寄り添っているように感じるのです。悲しみを抱いている人も、今を信じて全力で突き進む人も引き込んでいくのが、儚さと強靭さが同居する鍵盤の音が響く20秒のイントロ。J-POPの真髄を付き、聴き手の心を信じ続けるこの曲を2008年の神イントロ1位とさせていただきます!

 

【2008年神イントロランキングの総評】

「着うた®」、「着うたフル®」といった音楽配信ヒットが目立ち、その聴き方に最適な、携帯の小さなスピーカーからでも音がクリアに聴こえる、高音域を単音で響かせるイントロが多かった年でした。そんな時代にあった音を意識しつつも、その先の時代も色褪せず、さらに新しいファンを獲得し続ける曲がTOP10に並びました。音楽文化の歴史と共に楽しめるランキングになったのではないでしょうか。

※着うた®、着うたフル®は株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズの商標登録です。

 


 

【2008年イントロベスト25】

ランキングは25位まで決定したので、11位以下も下記に紹介します。
(藤田太郎調べ) 

 

ランキング1-10位ランキング11-20位

ランキング21-25位

 

さらに、YouTubeでイントロクイズとして楽しむことができます。

うたドン!【イントロクイズ】

 

 

【Profile】

藤田太郎

「30,000曲のイントロを0.1秒聴くだけでわかる男」イントロマエストロ。bayfm「9の音粋 」水曜日のラジオDJ、Tokyo FM『ももいろクローバーZのSUZUKI ハッピー・クローバー!』音楽コメンテーターを担当。フジテレビ『99人の壁』に出場し、ジャンル「90年代J-POP」でグランドスラム達成。日本初のクイズ専門店「ソーダライト」で毎月イントロクイズを出題中。

 

 

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Text&ランキング:藤田太郎