ギター初心者の“カベ”攻略法~エレキ編~【Go!Go! GUITAR プレイバック】


miwa やLiSAをはじめ、さまざまなアーティストのサポートギタリストとして活躍中の生本氏を講師に迎え、エレキにありがちな“カベ”の解決方法を伝授してもらった!

 >デモプレイ動画はコチラ!  


講師:生本直毅
PROFILE いくもとなおき/高校卒業後上京し、ヤマハ音楽院に入学。在学中よりプロ活動を開始。23歳から約2年間、ギタリストの西川進に師事。miwa、LiSA、Aimerなどのサポートギタリストの他、アレンや作曲なども行っている。

■HURDLE 1 ソロ/リードプレイで左手がうまく動かない

 

あるある度:★★★☆☆
原因:左手の動きがバタついている
解決策:効率の良い運指を反復練習

 NGあるある 
運指の動きが大きくバタバタしている…

初心者の壁(1)

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初心者の壁(2)

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初心者の壁(3)

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初心者の壁(4)

▲定番のフレーズだが、次の指を押さえるとき、前に押さえていた指を離すのは運指が安定しないためNG!

 ズバッと解決! 
スムーズな運指を習得できる練習フレーズを弾こう!

初心者の壁(5)

▲6弦から1弦に向かって、人差指→中指→薬指→小指と1フレットずつ押弦。1弦まで上がったら、小指→人差指の順番で6弦に戻ってくる。

●生本先生によるワンポイントアドバイス!
指を押さえたままで運指のバタつきを抑える
「定番の運指フレーズですが、ありがちなのが次のフレットを押さえるときにその前の指を離してしまう。これはやらない。指はずっと押さえて、次の弦に行くときは4本の指(人・中・薬・小指)をパッと離してまた同じ動作を繰り返す。そうすることで指がバタつかなくなるんです。ゆっくりでもいいので毎日やってください」(生本)

弦を押さえた指をキープすることで無駄な動きを省略

初心者の壁(6)

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初心者の壁(7)

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初心者の壁(8)

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初心者の壁(9)

▲順番に押弦するが指は押さえたまま。さらに運指の動きを最小限にすべく、待機中の指は弦から離しすぎないように。

折り返しは4本の指を押さえた状態から離していこう

初心者の壁(10)

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初心者の壁(11)

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初心者の壁(12)

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初心者の壁(13)

▲1弦からの折り返しは、4本の指を押さえた状態から1本ずつ指を離していく。弦が変わるときは4本同時に移動。

 

■HURDLE 2 コードチェンジがモタつく

 

あるある度:★★★★☆
原因:無駄な動きが多い
解決策:最小限&効率的な動きを身につける

 NGあるある 
指1本1本を動かすと時間がかかる!

初心者の壁(14)

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初心者の壁(15)

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初心者の壁(16)

▲CからGへのコードチェンジ。写真のように、薬指→中指と1本ずつ指を動かしていては時間がかかりすぎてしまう。

 ズバッと解決! 
 Method 1  コードチェンジは“瞬時”が基本!

初心者の壁(17)

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初心者の壁(18)

▲すべての指を一斉に離し、Gへとコードチェンジ。反復練習が必要だが、移動の際は指板から大きく指を離さずに最短距離で移動することを意識するといいだろう。

 Method 2  ​​​​​​ 共通する指/フォームはキープすべし

共通するポジションは押さえたまま

初心者の壁(19)

▲CからAmへのコードチェンジの場合は、人差指と中指が共通ポジションなので、指を固定したまま薬指だけを動かそう。
 

共通フォームはキープしよう

初心者の壁(20)

▲CからGへのコードチェンジの場合、中指と薬指は弦移動があるものの形は一緒。この形を崩さずに動かすのがポイント。

 Method 3  ​​​​​​ 開放弦を弾く隙にコードチェンジ

コードチェンジ直前の半拍に注目

初心者の壁(21)

▲「ズルい方法ですが(笑)、コードチェンジの直前に開放弦を鳴らして、その間に次のコードの準備をするという方法もあります」(生本)

開放弦を鳴らしている間に…

初心者の壁(22)

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次のコードを押さえる!

初心者の壁(23)

▲8分音符のコードチェンジ直前は、次のコードチェンジに向けての準備として開放弦を鳴らしてもOK。開放弦を鳴らして問題ないのかと心配になるかもしれないが、極端に遅いテンポの曲でない限りはサウンド的にも気にはならない。

●生本先生によるワンポイントアドバイス!
瞬時にすべての指を変える練習をしましょう
「コードを覚えても、曲として演奏しようとすると左手(コードチェンジ)が追いつかない人は多いです。僕はアーティストにギターを教えることもありますが、知らないコードを教えるときにだいたいつまずくのがコードチェンジ。それはエレキ/アコギ共通ですね。
コードチェンジがスムーズにできない人は、だいたい指を1本ずつ動かすんです。それだといつまでたってもできないので、最初は鳴らなくてもいいから指を同時にチェンジする。C→ Gだとして、瞬時にすべての指を変える練習をするんです。最初は絶対に無理ですけど、何回もやっていくうちに徐々に弾けるようになっていきます。あとは、共通するポジションは押さえておく。たとえば、CからAmだったら人差指と中指は同じポジションだなとか。そういう場合は、指を離さないで押さえたままにしておくことです」(生本)

■HURDLE 3 弾いているとノイズが鳴ってしまう

 

あるある度:★★★★★
原因:弾かない弦をミュートしていない
解決策:右手と左手のミュート方法を知る

 NGあるある 
右手がどこにも触れていない  

初心者の壁(24)

▲単音を弾く場合、右手で低音弦などに触れておく必要がある。この動作を怠ると、ノイズが鳴りっぱなしになってしまう。

単音のときにミュートしていない

初心者の壁(25)

▲1弦を弾く場合。人差指以外の指が何もしていない状態はNG。使っていない指を駆使して他弦をミュートしよう。

 

 ノイズが鳴る原因って何なの!? 
演奏中のノイズは弾き手次第で消える!
ノイズが発生する原因はいくつか考えられる。音を歪ませすぎるとノイズは発生するし、低品質なシールドケーブルもノイズの原因に直結する。それをクリアしてもノイズが発生する場合は、弾かない弦をミュートしていない場合が多い。たとえばミスピッキングで違う弦を弾いてしまったり、振動で他の弦が鳴ってしまうケースだ。

 ズバッと解決! 
 Method 1  ​​​​​​ 右手で弾かない弦に触れる

初心者の壁(26)

▲写真は3弦を弾こうとしているところだが、このとき、右手の小指球(小指の付け根から手首のあたりまで)は4〜6弦に軽く触れている。そうすることで、間違えて4弦を弾いてしまったり振動で他の弦が鳴ってしまったときのノイズを抑えることができる。

 Method 2  ​​​​​​ 高音弦を弾くときは人差指・中指でミュート

初心者の壁(27)

初心者の壁(28)

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初心者の壁(29)

▲1弦を弾く場合、写真のように人差指や中指を2〜6弦に軽く触れた状態(ミュート)にしている。写真は薬指で1弦を押さえているが、人差指で1弦を押さえる場合も同様、人差指の先と中指を使って他弦をミュートする。常にミュートは意識してプレイするようにしよう。

 Method 3  ​​​​​​ 2〜4弦を弾くときは左手総動員でミュート

初心者の壁(30)

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初心者の壁(31)

▲1弦は比較的簡単だが、難しいのは2〜4弦を弾くときのミュート。彼は中指や薬指で低音弦に触れつつ、人差指の腹部分で1〜2弦に触れてミュートしている。さらに完璧なミュートをしたい人は、親指で6弦をミュートしよう。

●生本先生によるワンポイントアドバイス!
右手の手刀部分を低音弦などに触れたり、鳴らさない音は常にミュートしておく
「ノイズが鳴る場合は、右手と左手でミュートすることで解決します。単音弾きだったら、右手の手刀に近い部分を低音弦などに触れたり、押弦で使っていない余っている指で弾かない弦に軽く触れてミュートします。これもルールがないので、鳴らさない音は常にミュートすることを意識しておく。たとえば、1弦しか鳴らさないとき、それ以外の5本の弦は絶対に鳴らないようにミュートする。そこに関しては中学高校の頃からシビアに考えていましたね。だからエレキを練習するときは、絶対にアンプかアンプシミュレーターを使って練習したほうがいい。生音だと意外とノイズに気づかなかったりするので」(生本)

 

■HURDLE 4 サウンドの抜けが悪い

 

あるある度:★★★★★
原因:音量が小さいか音色が悪い
解決策:最適な音量とアンプの調整を行う

 NGあるある 
まずは音が抜けない“原因”を突き止めよう
「ロックはリアピックアップで弾きたい願望はあると思うんですけど(笑)、音が細くなりがちなので難しい。ジャキーン!とした音はギター単体で聴いたときに派手なんですけど、バンドに入ったときにシンバルの音と重なって抜けなかったりするんです。抜けない音でいくら音量を上げても聴こえないから、抜けない原因は音量が小さいからなのか、音色が悪いかをまずは考えてほしい」(生本)

 

初心者の壁(32)

▲ギター本体のトーンがゼロだと、音がモコモコしてしまうので音は抜けない。モコモコしている場合はまず確認してみよう。

アンサンブルの音域を考える

初心者の壁(33)

▲図のようにどの楽器がどの帯域にいるのか考えた上で、ギターが2人いる場合はサウンドの住み分けなどをメンバーと話し合おう。帯域のかぶりが音の“濁り”につながるのだ。

 ズバッと解決! 
●生本先生によるワンポイントアドバイス!
アンプの設定とか弾き方に問題があります
「音が抜けないのは、アンプの設定もそうですけどミュートとも関係してきますよね。ギターの音が濁っていたら、アンサンブルに混ざったときに余計に出てこない。あとはアンプの設定とか弾き方もあります。タッチが弱いと抜けません。設定で言うと、右の図のように音がシャーシャーすぎてスカスカな場合、音がモコモコしている場合、歪み過ぎている場合です」(生本)

 Method 1  ​​​​​​ 音が細くてスカスカな場合のツマミ

初心者の壁(34)

▲「音が細い場合は、だいたい音が高音域に寄っているときなんです。中低音域が出ていないとそう感じるので、上の図のツマミの位置からトレブルとかプレゼンスを落としてベースやミドルを上げる。ピックアップもリアだったらフロント寄りにしてみるのもいいですね」(生本)

 Method 2  ​​​​​​ 音がこもっている場合のツマミ

初心者の壁(35)

▲「これは音がスカスカの逆なので、ここからベースを少し下げて、トレブルやプレゼンスを上げます。意外にミッドを上げると音が抜けてきたりするんですよね。あとは、ピックアップをフロントで弾いていたらセンターやリアにしてみましょう」(生本)

 Method 3  ​​​​​​ 音が歪みすぎている場合のツマミ

初心者の壁(36)

▲「音を歪ませすぎると、音が細くなってしまうことがあります。この場合はもちろん歪み量を落とす。でもそのぶんプレイの粗が目立つので、歪みを落とす勇気も必要です(笑)。普段からあまり歪んでいない音で練習しておくことも大事です」(生本)

 Method 4  ​​​​​​ ピックアップポジションの選択も重要

初心者の壁(37)

初心者の壁(38)

▲音作りが原因で音が抜けない場合も多いが、ピックアップの選択も大事。音がスカスカで細い場合は、リアではなくフロント寄りにするといいだろう。

 

 Special Advice 
プロの現場での音作り
「楽曲とかジャンル感に合った音色を作らないといけないので、それに合わせたギターやピックアップのチョイス、弾き方を考えます。音色って奥が深いので、僕もまだ旅の途中なんですけど…。エレキの場合は特にいろんな機材を通るじゃないですか。エフェクター、シールド、ピックアップ…いろんな要素があるので、こういう音を出したいっていう明確なイメージがないと作れない。あとは、音色をギター単体で考えないほうがいいですね。バンドアンサンブルに混ざったときに、ギターはこういう音であってほしいという視野がないとダメ。“ 俺の音最高だろ!” と思っても、みんなにとってはうるさいなって思われたら意味がないので。だから、ある程度幅広く対応できる機材を持っていきます」(生本)
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(Go!Go!GUITAR 2019年1月号に掲載した内容を再編集したものです)

 


 

Edit:溝口元海

 

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